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コート・ド・ブライはジロンド川右岸、コート・ド・ブールの左隣に位置する6500haの広大なワイン産地。ブライのワイン造りの歴史は古く、対岸のメドックでワイン造りが始まったのが17世紀なのに対し、ブライのワインはローマ時代にすでに名を馳せていた。 ブライの産地を車で走ると、なだらかな丘を上ったかと思えば下り、また上っての繰り返し。起伏に富んだ地形はブドウ栽培を容易にし、丘の斜面にはブドウ畑が広がっている。ここは地形だけでなく日照量にも恵まれており、年平均240日は晴れるという。右岸のブライの生産量の90%を占めるのは赤ワインで、品種は主にメルローを70%程度使用、それにカベルネ・ソービニヨンやマルベックをアッサンブラージュさせている。ブライの赤はコストパフォーマンスの良さで有名で、フランスでは1本7€前後で手に入り、パリのビストロでも愛されている。赤はフルーティさが特徴で、ボルドーの中では軽めのワインといえるだろう。鶏肉のローストだけでなく、魚にすら合わせやすいので、普段の食事にすっと馴染む。まだあまりフランスでも知られていない白ワインも実はかなり素晴らしい。カベルネ・ソービニヨン主体で香り高くフルーティ、こくがあって味わい深さがあり、ボルドー名産の生牡蠣との相性抜群。フランスのソービニヨン・ブランといえばアントル・ドゥー・メールやロワール産が有名だが、両者に勝る程のワインが低価格で手に入る。 [pro_ad_display_adzone id= »1569″] フランス最大のAOCの面積を誇るボルドーは様々な側面を持つ。ザ・ワイン産地という趣のメドックの格付けシャトーもあれば、ブライのように平均12haという小規模な畑を何世代にも渡って守る家族経営のシャトーもある。ここ数年は、20代~40代で後を継ぐ者達との世代交代も起きており、若い世代や女性の造り手も注目されている。ブライの生産者たちは庶民派であたたかく、彼らの造るワインもまた親しみやすさが感じられる。実はブライのワインはフランス国内だけでなく日本でも身近な存在で、日本は第3位の輸出先。毎日の食卓に馴染みやすいブライのワイン、AOC »BlayeCôtes…

グラーヴはガロンヌ川沿いの、川の左岸に位置する地域。グラーヴはボルドー市街地の郊外でもあり、ボルドーの中でも一番歴史あるのブドウ栽培地として知られています。特に外国への知名度は昔から一番高いのです。 グラーヴ地区はペサック・レオニャンのアペラシオンによって二分され、ソーテルヌ、バルサック、セロンという貴腐ワインのアペラシオンを内包しています。グラーヴという名前が示しているように、この地域で特徴的なのは、川の流れによってできた、砂と小石の多い土壌。ここではボルドーの伝統的なブドウ品質を用いた赤、白両方のワインが生産されています。 赤ワインはエレガントで繊細、年を重ねるごとに強くなるスモーキーな香りが特徴的。白ワインは生産量の30%を占めており、力強く、肉付きのよいワイン。熟練した技術で樽熟成された白ワインは非常に素晴らしいワインとなります。

海に近いボルドーは湿気が多く、ブドウにカビがつきやすいため、ビオにするのは難しい。特にボルドー右岸で最も大西洋に近いコート・ド・ブライで、ビオよりもっと規定の厳しいビオディナミを実践するのは簡単なことではなく、現在は2軒のみ。 その1つがシャトー・ロラン・ラギャルドだ。美しいワインラベルに名を刻むブリュノ・マルタン氏は父親から29haのブドウ畑を引き継いだ。父の代も自分の代も、そして息子のマルク氏の代に至るまで畑では除草剤を一切使用しない。 畑に足を踏み入れると青々とした草が生い茂り、ほっとする空気が流れる。もともと土に負荷をかけない栽培法を模索していた彼らは2010年からはビオ認定を受け、2014年にはより規定の厳しいビオディナミの認証(Demeter デメター)を受ける。「ブドウの樹や土を尊重して、できるけ自然な状態でワイン造りをしたかったんです」と息子のマルクさん。畑に草があることで、ブドウの樹と植物が競い合ってブドウの実がより小さく、凝縮されたものになるという。規定よりもあえて収穫量を少なくし、上質なブドウのみでワインを造る。「もともと味は良かったですが、ビオディナミにすることで一層味わいがよくなりました。ミネラルや果実味をもっと感じるようになったんです。ビオディナミでも偉大なワインができると示したかったんです」とマルクさん。こちらは醸造の際の酸化防止剤も最低限しか使用せず、人工的な酵母は一切添加しない。他の産地に比べて湿気の多いボルドーでは、ブドウに害虫がつきやすいため、薬剤の散布は不可欠だが、それもビオディナミの規定に従い、天然素材のみを使用。 [pro_ad_display_adzone…

貴腐ワインと梅干しのマリアージュ?そんなことを口にしたら日本人は笑い出し、ソムリエには怒られそうだ。でもそれが突拍子もない冗談ではなく、貴腐ワインと和食のマリアージュに情熱を注ぐ生産者の言葉だとしたら? サンドリン・ダリエさんはボルドー地方、ソーテルヌの対岸に位置するルピヤックで貴腐ワインを造る生産者。彼女が育ったシャトー・ドーフィネ・ロンディロンは8世代前からワインを造る歴史あるシャトー。こちらは1952年にエリゼ宮所蔵のワインに選ばれるなど、繊細で優雅な味わいの甘口ワインを生産することで知られている。日本でも漫画『神の雫』をはじめ、数々のメディアに登場。日本からの眼差しも熱いものだが、彼女の日本への造詣も深く、来日回数は10回以上。日本で何かを味わう度にこれはうちの何年のワインに合う、これはもっと熟成を重ねたものに・・・と味わいを確認し、頭の中でマリアージュを計算していく姿勢は真剣そのもの。 そんな彼女が9月末にルピアックのシャトー・ドーフィネ・ロンディロンにて提案したのが普段づかいの和食と貴腐ワインとのマリアージュ。「2006年にワインの瓶を抱えて来日して以来、日本とは本当にいい関係を築いていくことができました。今回は私たちのワインが日本でどのように紹介されているか、また、ルピアックがいかに和食に合うかということをフランス人に知ってもらいたかったんです。」屋外のテーブルで日本の話に耳を傾け1989年の琥珀色したルピアックを頂いた。夫のダビッドさんが「20年経った今でもまだフレッシュさが感じられる・・・」と驚きを隠さぬように、繊細な甘さだけでなく、心地よく柔らかな酸味がある。味わいをかみしめてみると、このワインには干し梅を思わせる柔らかい甘味と酸味とがあり、梅干しと貴腐ワインというのがまんざら冗談ではないのかもと思えてくる。 室内に招かれると待ち受けていたのは数々の日本のおつまみ。わさび入りの小さな煎餅、梅入り酢昆布、揚げ銀杏、梅干しに干し梅・・・近所のスーパーで買えそうなおつまみにあの高貴な貴腐ワイン?と日本人なら驚いてしまうだろう。高名なソーテルヌ同様に生産されるルピアックの貴腐ワイン。私たちにとってはまだ貴重で遠い存在の貴腐ワインと、普段使いで気にもとめないようなものを合わせてしまってよいのだろうか?「フランスでも貴腐ワインといえばクリスマスや新年に飲む特別なものと思っている人が多くいるのが現状です。でも貴腐ワインだからといって何も高級フレンチや高級和食に合わせる必要はないんです。今日はもっと日本人の日常に根付いた食品とも合うと伝えたかったんです。」確かにこのわさびと合わせると辛さが和らぐわね・・・とフランス人達が語る横で、おそるおそる梅干しに手を伸ばす。彼女が選んだ梅干しは、酸っぱくて口をすぼめてしまうような梅干しではなく、肉厚で高級感があり、まろやかな味わいで甘味を感じる塩分控えめのもの。梅干しをそっとかみしめ、2011年の「Cuvée Classique キュヴェ・クラシック」を口に含むと梅干しの甘みが引き立ってくる。確かにこれは悪くない。そんな中、何より衝撃的だったのは干し梅とルピアックとのマリアージュ。干し梅は温泉のお土産売り場でみかけるような果肉の弾力を感じるのもの。キュベ・クラシックのやさしい甘さと少しの酸味、そして干し梅ともに甘み、酸味のトーンがほぼ一致しており、どちらも口の中をより一層のやさしさで満たし、より幸せな味わいが時間が生まれていく。日本人やフランス人の固定観念をとりはらい、ひたすら真のマリアージュを追究していくサンドリンさんの真摯な姿に思わずあっぱれと言いたくなった。…

ワインを購入しようとお店に足を運んでみたものの、ズラリと並ぶ瓶を前に途方に暮れたことはないだろうか。日本ではボルドーワインの輸入量がこの5年で50%近くも増加したという。選択肢が豊かになればなるほど1本を選ぶのは難しい。そんな時お店で是非探して欲しいのが金地にVALUE BORDEAUX 100と書かれたバリュー・ボルドーの認定マーク。 バリュー・ボルドーは1000円~3500円までのワインを対象にした、質の高いボルドーワインのセレクション。今年も日本を代表する10人のソムリエ達が450本のワインをブラインド・テイスティングし、高得点を獲得した100本のワインが選出された。バリュー・ボルドーのセレクト基準には質の高さ、コストパフォーマンスの良さだけでなく、日本市場で流通してることも挙げられる。値段だけでなく、実際にも手に届きやすい範囲にあるというのは消費者にとってありがたい。 バリュー・ボルドー2015を紹介するため、7月2日にはコンラッド東京で特別試飲会が開催された。今年のテーマは「見れば見るほど発見がある」。テイスターとして参加したコンラッド東京ヘッドソムリエの森覚氏は、「今年のバリュー・ボルドーはどれを飲んでも美味しく、改めてボルドーはすごいと思いました。特に赤ワインの個性が際立った年ですね」と語る。今年初めてテイスターとして参加した丸藤葡萄酒工業の大村春夫氏は、ボルドー大学で学び、山梨で40年以上ワインを造る。「ボルドーの赤は奥が深い。やっぱりボルドーには勝てないなあ、日本のワインは勝てるのかな、と思いながらテイスティングしてました」と語る。格付けワインではない手頃な価格のワインでも、ハッとさせられる程の味わいに出会えるボルドーワイン。世界のワイン中心地としての自負をもつボルドーの奥深さ、底力に改めて気づかせてくれるのがバリュー・ボルドーだと言えるだろう。…

山道を曲がり、中世のお城のような門をくぐると、一面の深い緑の中、道はどこまでも続いてく。丘の頂上まで行くとようやくシャトーが現れて、シックな女性のアンヌさんと大きな犬が迎えてくれる。シャトー・ラモット・ド・オーは、彼女の両親が購入したシャトーで、今は彼女の子供世代が継いでいる。「1956年に父がここに来て、始めは主にリンゴとか桃を栽培していたの。あんなに美味しいリンゴは食べたことがなかったわ。でも70年にあられが降ってね、果物に傷がついたら売り物にならなくなるでしょう。ちょうどその頃ボルドーでは果物栽培が多すぎて、それをやめてブドウにしたら補助金を出すという制度ができたのよ。それでブドウをメインに変えたのよ。」現在は80ヘクタールを所有し、年間50万本のワインを生産している。フランス国内だけでなく、輸出にも力を入れており、現在85%が輸出されているという。 [pro_ad_display_adzone id= »1569″] 貯蔵庫を見せてくれるというので曲がり道を下っていくと、山の中に掘られたカーヴの入り口がある。扉を開けると真っ暗な洞窟のように深い闇が広がっている。こちらは17世紀にできた貯蔵庫で、洞窟自体は11世紀からあったそう。バイキングの侵略が来た時や、大戦中のレジスタンスの逃げ場にもなったという歴史を感じさせる場所だ。かつてこのあたりでは石を掘っていたそうで、このシャトーの下には地下道がいくつもあるそうだ。非常にひんやりとしたカーヴの中は、天井や壁が鍾乳洞のようにでこぼこと黒光りしていてまさにフランスのワイン貯蔵庫といった雰囲気。「ここは本当に静かでワインにとっては理想的な場所。温度は自然と13℃前後に保たれています。ここには赤ワインの樽が200個貯蔵されていて、ワインが蒸発して壁が黒くなるんですよ。」とアンヌさん。 [pro_ad_display_adzone…

11月11日、虎ノ門のアンダーズ東京にて、料理研究家の平野由希子さんとボルドー・インターナショナル・エデュケーターの米野真理子さんがナヴィゲートする「ボルドーワインでマリアージュを楽しむ会」が開催された。 ボルドーワイン委員会の方による最新のボルドーの状況説明の後は、平野さんによるデモンストレーション。合わせて提供される6種のボルドーワインはどれも2014年のバリュー・ボルドー100本に選ばれたもの。米野さんのテイスティングコメントに耳を傾けながら、6種のタルティーヌとの組み合わせを楽しんだ。  ボルドーワインといえば重厚な赤で、しっかりした料理に合わせるというイメージが強いだろう。とはいえボルドーでは赤だけでなく、ロゼや発泡性ワインのクレマン・ド・ボルドー、それに甘口白の貴腐ワインまで生産しており、意外と多様性に富んでいる。今でこそ生産量の約9割が赤ワインだが、1969年までは白ワインが赤ワインの生産を上回っていたそうだ。その多様性を伝えるために、今回セレクトされた6種のワインのうち赤は2種類のみで、あとは白のクレマン、辛口の白、貴腐の白、それからロゼが選ばれた。 ボルドーワインとのマリアージュというと、自分でするのは難しいと思われがちだが、タルティーヌならお手軽だ。タルティーヌはオープンサンドのようなもので、パンの上にお肉や簡単なサラダをのせるだけで華やかな雰囲気になる。マリアージュを成功させるコツは「そのワインのテイスティングコメントに出てきそうなフルーツやハーブを料理に加えること」と平野さん。 わりとこくがあるボルドーの白、「バロン・ド・レスタック」には洋梨と生ハムのタルティーヌ。ロックフォールチーズと洋梨、くるみを和えて、バターを塗ったパン・ド・セーグルにのせ、その上に生ハムをのせて出来上がり。とろりとした食感が、「バロン・ド・レスタック」にも、より一層こくがある甘口のソーテルヌ「シャトー・オー・モンテイユ・グラン・レゼルヴ」にもよく合っている。フルーティな香りでラズベリーやざくろのような味わいの、さっぱりした辛口ロゼ「レザマン・ドゥ・モン=ペラ・ロゼ」には、ホロホロ鶏とざくろのタルティーヌ。たしかにワインの味わいと共通するフルーツが1つでも入っていると、相性が良く、軽やかですっと食べられる。…

今年も千葉の幕張メッセで、アジア最大級の食の祭典、Foodex Japanが開催された。3月4日から7日までの4日間で約7万5千人の食の関係者が訪れ、フランスからは農務大臣も訪れた。70を超えるフランスブースは、数多くのワインが並んでいるが、もちろんフランスの食の魅力はワインだけでは語れない。 Sopexaのブースではフランス料理のデモンストレーション、他にもブルターニュ地方の海藻、バイヨンヌの生ハム、シャンパーニュに浸して食べるランスのビスケットなど、フランス各地の食文化を発見する優れた場となっていた。 昨年に引き続き会場に姿をみせたアルザスワイン、カーヴ・ド・リボヴィレは今年も多様なワインを用意。リースリング、ゲブストラミネールに続き、勧められたピノ・グリを試飲。甘い余韻が心地よいゲブストラミネールの後味を、スッキリ、さっぱりしたピノ・グリがさわやかに洗い流す。次に勧められた白ワイン、「ピノ・グリ 2008 ヴァンダンジュ・タルディヴ Pinot Gris…

シャトー・ピアダはバルサックにひっそりとたたずんでいる。13世紀から続く歴史、素晴らしい貴腐ワイン、どこをとっても温かみのあるアーティスティックな外観。けれどもシャトー・ピアダは主張しない。まるで自分の価値を認めてくれる誰かがいつの日かやって来るのを、大した期待も抱かず待っているかのようだ。 オーナーのフレデリック・ラランドさんはこの先の予定について「まあ定年になったら売るかもね」とそっけなく語る。その語り口からは想像もできない程に味わい深いワインがここにある。 どこまでも続く目の前の平地には8ヘクタールの畑が広がっている。畑に足を踏み入れると驚くのはブドウの質だ。貴腐ワインって黒ブドウだったかしら?と思うほど、白ブドウだったはずのブドウが均質に黒くなっている。貴腐菌がついたブドウは、粒ごとに成熟具合がまちまちということはなく、しっかり一房上手に色が変わっている。粒のまわりはほこりのような灰色の菌で覆われている。手で収穫したブドウを背負い籠から大きな容器に移し替える時、付着した菌が舞い上がり、そこにはぶわっと煙があがる。フレデリックさんいわく、「煙がでるのは美味しい証拠。」シャトー・ピアダではブドウの中身がジャム状になったものしか収穫しないため、収穫を5回ほどにわけて行うそうだ。 …

シャトー、という名にふさわしい、18世紀の大きな建物の前では大きな黒い犬が迎えてくれる。その後に続いて大扉からゆっくり姿を現したのがキャロリーヌ・ペロマさん。 「ここは50年代に義父が買ったシャトーなんだけど、私たちが1年前に買い直したの。夫は父親のもとで30年前からブドウづくりに関わってるわ。私も昨年から本格的に始めたの。ワイン生産者になってよかったこと?そうね、家族が喧嘩しないでよくなったことかしら」と笑う。シャトー・セロンはすでに26ヘクタールものブドウ畑があり、赤ワインと白ワイン用ブドウを半々で育てている。お義父さんの代には輝かしい時代があったそうで「私たちの役割はもとあったいい状態にまず戻すこと。」そのために二人は醸造所を改良し、新しく醸造スタッフを雇い、シャトーの裏庭にはメルローの樹を植え直した。 収穫真っ最中の畑では、夫のグザビエさんがブドウについて教えてくれる。「貴腐菌がつくと糖分が2倍に増えて、ブドウの果汁が2分の1に凝縮するんです。貴腐ワインのためには凝縮した沢山の糖分が必要です。見分けどころが肝心で、皮が縮まって、でも破れない程度というのが大切です。汁が出てもだめだし、乾燥しすぎてもいけない。」乾燥して小さくなったブドウはまるで干しぶどうのようだが、口に含むと上品な甘みが口いっぱいに広がってくる。 ボルドーの左岸に位置し、皮のすぐ横手にあるこの畑はまるで日本のような湿気がある。貴腐ワインができるのは、シロン川がガロンヌ川に合流する際の温度差で霧ができるから。このあたりは朝は霧に包まれ、空気中に湿気が残る。それが自然と貴腐菌の繁殖を促してくれるのだ。土壌は茶色く湿気を含み、石灰質土壌の表面には沢山の丸い石が現れている。「一口に貴腐ワインといっても畑の場所の違いで風も違えば日当りも違う。うちの畑でできたワインはフレッシュでミネラル感があるんです。」とグザビエさん。 シャトーの中には趣のある試飲ルームがあり、一般にも開かれている。試飲を進めていくと、確かにシャトー・セロンスで特徴的なのはミネラル感だとわかる。貴腐ワインの「シャトー・ド・セロン 2007」は、口に含むとしっかりとした甘みを感じるものの、そのあとミネラル感が残る。男性にも愛されそうな後味だ。「このワインは料理がなくてもそれだけで飲める、シャンパンみたいに特別感のあるワインなの」と語るキャロリーヌさん。シックな佇まいの夫婦があえて長靴をはいてつくるワインは意外にもリーズナブル。シャトー・セロンスのワインは日本にはまだ輸出してないが、2013年11月前半のSopexa主催のグラーブワイン試飲会にて味わえる。…