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ル・パルルーはセーヌ川の近くの新しい商業施設、ボー・グルネル・パリからすぐの、色とりどりでお洒落なビストロ。美味しいものがたっぷり食べられるので、この界隈でも人気のお店。 パルルーはデニズさんと甥のエイメリックさんによる経営。二人ともオーベルニュ地方にある標高千メートルの火山台地、オーブラックの出身です。この美しい地域の名前は、この地域固有の牛の名前にもなっています。オーブラック牛はこだわりシェフたちに重宝される、柔らかさと味わい深さが評判の肉。ル・パルルーが勧めるお肉はもちろんオーブラック牛。牛フィレをゆっくりかみしめるもよし、空腹時には2人前で1kgの骨付き肉に挑戦するという方法も。 …

ル・ブイヨン・シャルティエは、パリのエスプリとは何かを伝えてくれる歴史的な店。グラン・ブルヴァール近くの店のに前は、シャルティエ独自の雰囲気を楽しみにしている人たちで日々行列ができている。この店に入ったら、常連客達が自分のナプキンを取り出すという有名な引き出しなど、店内をじっくり眺めてみるといい。ギャルソン達が文字取り駆けぬけながら、客席の紙のテーブルクロスに注文を書き付ける姿を眺めているのも楽しいものだ。 …

有名なカフェ、ドゥ・マゴの目と鼻の先、赤と青のひさしが目印のボナパルトはサン=ジェルマン・デ・プレ地区の中でも最も美しいカフェの1つ。このカフェのテラスからのサン=ジェルマン・デ・プレ教会や広場の眺めといったら最高です。ここはサン=ジェルマン・デ・プレという独特の地域の中で、落ち着いた時を過せる空間なのです。何十年か、ボナパルトは近くの国立美術学校の学生達の行きつけの店でした。店内は最近リノベーションされたばかりですが、この店の心意気を失うことはありません。改装されてから目をひくのは何と言ってもトイレ専用エスカレーター。豪華ホテルのように木目調のエスカレーターで下に降りると、ナポレオンやマリー・ルイーズの美しい写真がゆっくりと出現します。パリでこんな豪華なエスカレーターのあるカフェはきっとここだけ! お料理に関してもこの店は通りいっぺんじゃありません。ブラッセリーでもレストランでもないのに、ボナパルトはとてもいい素材を使った美しい料理を提供しているのです。この店のオーナーのミッシェル・タファネル氏は、オーガニックにこだわる人物。ノルマンディでサレール牛を育てている彼にとって、オーガニックはもはや当たり前のことなのです。 ボナパルトのメニューでは、緑色で書かれた料理はオーガニックの素材を使っていることを示しています。トーストされたパンの上に盛られたオーガニックのサレール牛生肉のタルタルステーキ(18ユーロ)にはじまり、プリプリして味わい深いタイの海老(25ユーロ)やスモークサーモン、オムレツ(9ユーロ)や鶏肉の シーザーサラダ(17ユーロ)も皆オーガニックな素材を使っています。 タファネル氏は出身地のカンタル県の料理も大事にしています。例えば「農家のメニュー」(16ユーロ)のリンゴのコンポートとキャラメリゼされたフルーツの上に盛られたブーダンは、ハムと同じくカンタル県から直送されてきたものです。お食事の後にはとびきり美味しいデザート、特にイチゴのムースがおすすめ。…

ル・ムートン・ブランはパリの西側、ブローニュの森とエッフェル塔に近い美しい地区、オートゥイユ通りにあります。ここはパリの中で最も古い建物のうちの1つで、歴史あるレストラン。モリエールやラシーヌ、ボワローやラ・フォンテーヌのような数多くの劇作家たちが食事をしに来ていた店なのです。 2008年に全く新しいインテリアに改装したムートン・ブランは、雰囲気は少し変わったものの、店の心意気を失うことはありません。古い石材には、様々な色調の金や銅の色が塗られ、この店の有名な客達の肖像画が飾られています。店内は3つの空間に分けられていて、それぞれ雰囲気が異なります。小さな丸テーブルに、お洒落な肘掛け椅子のある空間、また、親密さが感じられる空間、それからクラシックなタイプの長椅子とテーブルのある空間です。 ここではクラシックなフランス料理が味わえます。自家製の田舎風テリーヌに、ピュイのレンズ豆をメインの前に味わってみるのもいいでしょう。マグレ・ド・カナルや牛タルタルステーキ、子牛の腎臓料理のマスタードソースなどがこの店のおすすめです。デザートは自家製で、クレープ・シュゼットやセントジェームスのラムで香りづけされたババなどが、特にお客さんに愛されています。 ル・ムートン・ブラン Le…

東京に飲食店は星の数ほどあれど、リーズナブルで本当に美味しいフレンチを見つけるのは至難の技だ。広尾の「ラ・トルチュ」はそんな類い稀な一軒で、スープを一口味わっただけで、この店は違う、というのが伝わってくる。とうもろこしの冷製スープの複雑で繊細な甘み、アクセントになる塩気の効いたベーコンとの抜群の相性の良さ。これは凄い・・・という驚きは有難いことにデザートまで続いてくれる。肉の焼き加減からクレームブリュレの表面のパリパリ感に至るまで、すべてが絶妙という他なく、フランスで美味しいものに出会った時の湧き上がるような喜びが、東京に居ながらにして味わえる。 「ラ・トルチュ」は見た目は小さな個人経営のレストランだが、実はパリでも高名な日本人シェフ、吉野建氏の店だと聞けばこの質の高さに納得がいく。吉野氏が監修するフレンチが東京に3軒ある中で、「ラ・トルチュ」は一番カジュアルなビストロで、ランチは2400円から、ディナーは4200円からと、値段もいたってリーズナブルだ。 この店で腕をふるうのはパリでの修行後、タテルヨシノで5年間働いてきた猪口玄洋シェフ。「ラ・トルチュでは、テロワールを感じられる料理、つまり自然や大地を意識し、食材や伝統も大切にした料理を提供するように心がけています。素材をあまり複雑にしずぎず、食材に敬意を抱いて、気持ちをこめて料理をしています。」そんな猪口シェフが今情熱を注いでいるのが前菜の「季節の野菜と穀物のテリーヌ50」だ。こちらは50種類もの野菜や穀物をびっしり詰め込んだテリーヌで、食べただけで肌がツヤツヤしそうなほど健康的。もやしやごぼう、オクラなど、1つ1つの味わいはハッキリと個性が異なっており、複数の野菜を口に含んだ時にはじめて味わいが重なりあって溶けていく。それもそのはず、「野菜はゆで時間が違うので1つずつ茹でるんです。この下ごしらえだけで1時間半くらいかかったこともありました」とシェフ。大変でもあえてその手間を惜しまないことで、素材の持ち味が存分に伝わる料理になるのだろう。 前菜には牛タンのスモークとフォワグラのムースをミルフィーユ状に重ねた「牛タンとフォワグラのルクルス」も人気がある。こちらも少し口に含んだだけで、どれほど丁寧に作られているかが伝わってくる。とろりとした牛タンと、クリーミィでコクのあるフォワグラのムースの異なる個性が口の中で混ざり合い、絶妙なハーモニーを醸し出していく。 メインのおすすめはスコットランド産のサーモンをオーブンで数分だけ焼いた「サーモンのミキュイ」。脂がのってとろりとしたサーモンが非常に柔らかく、優しい味わいで、エシャロットやディルが入って少しピリッとしたクリームと見事に調和。他にもパテ・アン・クルートや、秋から冬にかけてはイノシシ、野鳥、鹿などのジビエも堪能できる(サーモン以外は基本的に夜のコース)。…

オー・ブルピフは凱旋門近くにあり、この界隈の人たちを幸せにする、訪れる価値あるビストロだ。旨いワインに数々のご馳走で、心まで元気にしてくれる。この店の客たちは、友人たちと、主人のジャン・フランソワ氏とアメリーさんと一緒に大切なものを見つめ直す時を過ごしにやって来る。 ジャン・フランソワ氏はまさに昔ながらのビストロ店主で、ワイン狂でも知られている。彼は優れた醸造家をよく知っており、ワインをいつも完璧な温度で提供するための急冷装置を店に備え付けたほど。ワインの温度は味わいを大きく左右するものなのだ。これはシャンパーニュだけでなく、ブルゴーニュの白ワインやフレッシュ感を出したいボジョレーにも適している。 …

 パリで雰囲気がいい本物のビストロに出会いたいなら、訪れるべきはルビーです。  ワインにこだわる店の名前は、ボジョレー地方のワインに使う黒ブドウ、ガメイのルビー色に由来しています。パリ1区にあるこの古いビストロは、長いことパリのビストロの血肉となっていた「クリュ・デュ・ボジョレー」と呼ばれる上質なボジョレーを今でも守り続けているのです。店の前に置かれた樽の周りでは、パリジャン達がアペリティフを気楽に楽しみます。  ルビーは本物のビストロの伝統を守り続ける、まさに模範的といえる店。特にパリ1区の、高級店が並び、観光客向けのレストランが多く集まるサン・トノレ通り界隈で非常に重宝するビストロです。常連達は、カウンターで素晴らしい白ワインと生ハムやサラミの盛り合わせ(10€〜)をつまみつつ、隣り合った人たちとの会話を楽しむためにこの店にやって来るのです。特にランチタイムは界隈で抜群のコストパフォーマンスを誇るルビーは沢山の人たちで賑わいます。  カウンターでは、ジャン・フィリップ氏が非常に繊細な白ワインや赤ワインを紹介してくれるでしょう。ルビーは、ワインを自分たちの手で瓶詰めしているパリでも残り少ないビストロの1つ。店の主人はボジョレーを樽買いし、彼自身で瓶詰めするのです。  この店には、ビストロの伝統的料理の見本のようなメニューが存在しています。前菜はポワロー・ヴィネグレット(6€)、フランス産有機エスカルゴ(6個で8€)ウフ・マヨネーズ(5.5€)オーベルニュ地方の青カビチーズとアンディーブのサラダなど。もちろんフォワグラ(15€)も忘れるわけにはいきません。肉好きの方には牛リブロース(22€)または牛生肉のタルタルステーキ(14.5€)も。典型的なビストロ名物、ポルト酒風味の子牛の腎臓(18€)も是非お試しを。オーベルニュ地方のチーズが入ったチーズの盛り合わせ、デザートにはタルト・タタンがオススメです。…

オ・メトロはモンパルナス付近にある、大きな美しいビストロです。このブラッスリーは何年も前からあり、この界隈で非常にコストパフォーマンスの高いお店として、近隣の住民によく知られています。 1996年からビストロの主人を務めるのはヌフさんです。彼は質の良さに対する、信仰ともいえるこだわりを持っています。ブルゴーニュ地方出身で、料理の修行を始めた店がブルゴーニュの三ツ星レストランだった彼にとって、それはごく当然のこと。オ・メトロではオーブンや電子レンジで調理済食品を温めることはありません。フライドポテトも自家製です。牛肉はほとんどサレール牛を使用。厨房では何年も前からオ・メトロでシェフを務めるパトリスさんが、毎日異なるおすすめ料理をしっかりと準備しています。料理はテット・ド・ヴォー、ブルゴーニュ風の牛赤ワイン煮込み、牛肉と人参の煮込みなど、まさにビストロの伝統的料理。ランチの日替わり料理は10.7ユーロで、バジル風味の鶏の串焼きなどが楽しめます。 牛生肉のタルタル・ステーキ(15.5ユーロ)は是非味わいたいメニューで、注文が入ってから準備しています。ボリュームたっぷりでなめらかな口あたりの、バスク地方のルイ・オスピタルのブーダン・ノワール(16.5ユーロ)もおすすめの一品。豊富なメニューの中には、柔らかくてとってもジューシーな、スリー・ダニョーのアリゴ添えもあります。これはボルドー地方、ペサック・レオニャンのシャトー・ラトゥール・マルチヤックのワインと合わせるのに理想的。 この店はワインも丁寧に扱います。お客さんに開けられるのを待つワインの瓶は、ワイン専用の棚でしっかり温度管理されています。もちろん「ビストロ・ボジョレー」としてセレクトされたこの店にはムーラン・ナ・ヴァンやサン・タムール(26ユーロ)のようなボジョレーのクリュのセレクションも。愉快で楽しいひとときを過ごすのにもってこいの、ビストロらしいワインです。 オー・メトロAu…

ル・ミストラルは、ミケル氏の家族が2世代に渡って続けてきた、まさにベルヴィルらしいビストロ。 ここでは、全ての社会階層の人たちが交ざりあっていて、きちんとした装いの老紳士から、サラリーマン、朝か ら白ワインを飲む習慣を今でも守ろうとする労働者たち、恋人たち、旅行者に学生もいます。店主はフランスのロット川沿いでつくられた、エステンというワイ ンをおすすめしています。彼らがパリのビストロの主人の中でもとても珍しい、ワイン用ブドウ園の経営者であるというのも驚くにはあたりません。お昼には、 とてもおいしい前菜+メイン、もしくはメイン+デザートが10ユーロで食べられます。…

イヴ・カンドゥボルド氏は、ピレネー・アトランチック地方の出身。未来のシェフが穏やかな少年時代を過したのは、ふるさとの味わいに満ちた家族の農場の中でした。早くも学校にうんざりしてしまった頑固者のイヴ・カンドゥボルド氏は、14歳の時に全てをやめることを決意。  父親が見つけてくれたレストランでの修行中、彼は厳格さと規則正しさを身につけました。2年間の修行で、オムレツとタルトを完璧に作れるように。  16歳の時からは、フランスの職人の腕を競い合うコンクールの出場者として推薦されています。17歳の時、彼はパリで一番美しい料理の世界に身を置きました。  まずはじめに働くことになった「リッツ」で、迷える小さな田舎者だった彼に目をかけてくれたクリスチャン・コンスタンに出会います。4年間、クリスチャンは彼が成長するように見守り、彼に自分の知識を伝えていきました。魚料理で名高い「マレ」の後、イヴ・カンドゥボルドはソース専門のシェフとしての役割が用意されていた「トゥール・ダルジャン」に移ります。しかし、クリスチャン・コンスタンはすぐにイヴを彼のもとに呼び戻します。「ホテル・クリヨン」の状況が悪化していたのです。もう一度この店を立て直そうという彼らの冒険は4年間続くことになりました。  その後、イブ・カンドゥボルド氏は自分の店を持つことを決意。1992年の5月、26歳の時に、若きシェフは、「レガラード」というパリ14区にあるビストロを購入します。その頃起こっていた第一次湾岸戦争は、彼が今後発展させていくべき事業のスタイルを考えなおさせる機会になりました。高級料理はこの陰鬱な時期にあまり支持されなかったのです。…