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3月8日〜11日まで、アジア最大級の食品・飲料の祭典、FOODEX JAPANが幕張メッセで開催された。コロナの隔離政策のため、海外から来日できる出展者がまだまだ少なかったとはいえ、かなりの賑わいを見せ、のべ来場者数は33,726名となった。特に盛り上がりを見せていたのは日本の出展者が主体のブースで、オルタナティブ・ミートやグルテンフリーなど、新世代の食に興味を抱く人も多く、味も質感も優れたものが多かった。 海外ブースは生産者の来日が少なかったため、普段ほど外国を感じさせる雰囲気ではなかったのが残念だ。そんな中でも、イタリアやベルギーのブースでいくつかハッとさせられる味わいに出会ったので、ここでご紹介したい。 まずはイタリアでワインビネガーのシェア9割を誇るという、トリノで1921年から続くヴァルヴェッロのワインビネガー。ひとくちにワインビネガーといっても、実は味わいに大きなが差あると教えてくれたのが、こちらのワインビネガーだ。単一品種を使用したワインビネガーの中でも特に、樽熟成されたバルバレスコは、美しい琥珀色で、すっきりしたイチゴのような酸味があり、思わずハッとする味わいだ。サラダの味わいには大差ない店が多い中、バルバレスコや、まろやかなピノ・グリージョのビネガーをドレッシングに使えば、サラダや前菜の印象が格段に上がるだろう。最初の一品で心を掴めた店は、往々にして最後まで素晴らしいことが多い。ワインビネガーを変えることで、印象に残るドレッシングを作るのは、費用対効果の高い方法ではないだろうか。 同じくイタリアブースで出会ったのが、非常にこくのあるアマレット。アマレットはお菓子のアマレッティの材料にもなるリキュールだが、「アマレット・ラッツアローニ」は、お菓子のアマレッティを23.5%も漬け込んで作っているという。口に含むと、とろりとしてまろやかで、甘さとほろ苦さ、そして爽やかさを同時に味わえる。そのまま少量で飲んでもいいし、炭酸と割って飲んでもよく、アイスと合わせるのも最高だ。アマレットは杏仁豆腐の杏仁、アニスが味の核となっており、ミラノから約10kmのサロンノはアマレット発祥の地。写真とはパッケージが異なる商品を、「やまや」で扱っており、カリカリした食感でコーヒーによく合う「アマレッティ・デル・キオストロ・デイ・サロンノ」は、Eatalyで扱っている。…

お洒落なカフェやレストランで、茶色と白のデコボコした角砂糖を目にしたことはないだろうか。エスプレッソに入れると程よく溶けて、特に最後の甘苦い一口がたまらない。その砂糖の名前はラ・ペルーシュ。オウムのロゴとオレンジ色の箱がひときわ目を引く、フランスの伝統的な角砂糖。 フランスのカフェでは昔から角砂糖が愛されており、カフェ・クレームを頼むと角砂糖がセットになっていた。そんなフランスでもラ・ペルーシュの砂糖が置かれている店はかなりこだわりのある店だ。グラニュー糖や白い角砂糖と違い、全てが一気に解けきらないから、エスプレッソも始めは苦めで、最後の方にザラっとした食感とともにチョコレートのような甘みを感じ、最後の一口が至福に終わる。ラ・ペルーシュはレユニオン島で栽培されるサトウキビからできており、130年間伝統的なレシピで製造されている。エッフェル塔が生まれた1889年に開催されたパリ万博で、すでに金賞を受賞し、その時代から品質の高さが知られているというから驚きだ。 とはいえラ・ペルーシュの砂糖はフランス人向けに作られており、本場のお菓子は甘すぎるという日本人にはやや大きめだった。そんな中、世界的にも砂糖の消費量を抑える機運が高まっており、従来の角砂糖に比べて40%も軽い、1粒3gのミニキューブを開発。フランス以外の販売先として真っ先に日本が選ばれ、9月から販売開始。フランス菓子の砂糖の量も本場の半分くらいが丁度よいので、きっと日本人にしっくりくるだろう。 新発売のミニキューブは、主にアマゾンや、スーパーマーケット「ロピア」の埼玉地区店舗にて購入可能。美味しいコーヒーで至福の時間を楽しみたい方、紅茶に合う上質な砂糖を探している人にオススメだ。 商品の購入についてのお問い合わせ先:株式会社アルカン・リテール営業部 03-3664-5325

日本中でアルコールが槍玉にあがる今、良質なノンアルコールを探してみても、これだというのに出会うのは簡単ではありません。ワインが飲める状況でも、繊細な料理の味を打ち消さず、その良さをきちんと引き出す優れたワインを探し出すのは至難の技。ノンアルコールが注目される今、どんな料理にも合わせやすい飲み物があればいいのにと思ったことはありませんか。実はフランスには素晴らしい味方がいるのです。 それが高級フランス料理店で重宝されるスパークリングウォーターのサンジェロン。アラン・デュカス氏やジョエル・ロブション氏をはじめ、数々の偉大なシェフに愛され、世界約20カ国の高級レストランで提供されているこの炭酸水は水の女王とも呼ばれています。スパークリングウォーターといえば、最近ではコンビニや自販機でも手に入るようになり、日本でもだいぶ身近な存在に。とはいえ手軽に飲める炭酸水は、コーラのようにむせかえる強炭酸で、それを雷にたとえるならサンジェロンは小雨のような優しい炭酸。強炭酸に慣れていると、これが炭酸?と一見弱々しそうにも見えますが、サンジェロンが高級メゾンに愛されるのは理由があるのです。 ワインの産地、フランスといえども、ガストロノミーが追求する繊細な味を邪魔せず、素晴らしい相乗効果をもたらすワインを見つけるのは至難の技。そんな時、サンジェロンは素晴らしい味方になってくれるのです。小雨のようなささやかな酸は、ひとくち飲む度に、舌に残っていた味を一旦リセットし、次の一口に対する新鮮な味わいや驚きをもたらします。よくあるスパークリングワインのように、強い主張だけが舌にピリピリ残ることはなく、完全な脇役として料理を引き立て、味覚を心地よく刺激し続けてくれるのです。パリの高級レストラン、「キャレ・デ・フィヤン」のシェフ、アラン・デュトルニエ氏は「サンジェロンは味覚をクリアにし、ワインの香りを抑えつつ、料理の風味を引き立ててくれる」と語ります。どんなに美味しい料理でも、口の中でソースや付け合わせなど様々な味わいが混じりすぎ、味覚が麻痺してくると、その良さを存分に味わえなくなってしまいます。サンジェロンは飲むたびに味覚をリセットし、食がもつ本来の味わいを最大限に引き出し、食欲まで刺激してくれる、まるで魔法のような水なのです。 サンジェロンはフランス、オーベルニュ地方の美しい田園風景が広がる一帯にあり、農耕地や工場の汚染とは無縁のピュアな源泉が保たれています。パリのグランメゾン「メゾン・ロスタン」のシェフ、ミシェル・ロスタン氏は「天然の炭酸水で、高品質なベルベットのように口当たりがソフトで柔らかな感覚を得られるのはサンジェロンだけ」と語ります。独特の優しい気泡は、雨や雪解け水が地中深層部まで時間をかけて落ち、地中の火山のマグマが放つ炭酸ガスに触れ、自然の気泡を含んだ水が地上へと湧き出てつくられたもの。独特の柔らかさ、穏やかさと心地よい後味がどこまでも続く、主張しすぎない素晴らしいパートナーだからこそ、料理に真剣にこだわる人に愛されているのでしょう。 国内では、シャトーレストラン…

12月10日〜11日、東京、港区にて「国際カフェテイスティング競技会」日本大会が開催された。会場の扉を開けるとすぐにコーヒー豆の香りに包まれる。会場には真剣な表情でカップを手にするカフェ・テイスターたち。この大会は、世界中から送られてくるコーヒー豆を、ブラインドテイスティングして評価していくというもので、年に一度開催される世界大会だ。金賞に選ばれたロースターはイタリアに本部がある国際カフェティスティング協会(IIAC)によるディプロマが与えられ、金賞のロゴを使用できるようになる。 日本語だけでなくイタリア語や中国語、韓国語などが飛び交う会場にいるのはIIACの認定を受けた30名のカフェ・テイスターたち。半分は日本人で、半分は韓国、中国、台湾から来ているという。使用する言語は異なるとはいえ、同じ認定を受けた彼らは、ネット上のテイスティングシートを使って、各ドリンクの香りや味わいを数字で評価していく。ポイントとなる観点はワインと共通点が多く、外観の色の濃さ、香りの強さや豊かさ、ボディ、酸味、苦味や香りなどについての評価である。対象となった豆は、抽出方法別にカテゴリーが分かれており、エスプレッソ用、フィルターコーヒー用、カプセルコーヒー用など様々だ。隣の部屋では熟練したバリスタ達が、同じクオリティのものを均等に出せるよう、念入りにエスプレッをを抽出する。 今回出品されたサンプルは11カ国から合計289点で、日本のロースターも5社金賞を受賞した。フィルターもしくは類似方法部門で金賞を受賞したのは、東京都のビーンズショップ珈琲楽座の「AJIWAI BLEND」、兵庫県の成田珈琲の「AMAREZZA FELICE…

11月21日(木)はボジョレー解禁。それに先立ち、渋谷のクラブ、コンタクトでカウントダウンイベントが開催された。ボジョレーワイン委員会は2年前から世界的なカウントダウンイベントを開催しており、昨年のパリに続いて今年は東京が選ばれた。日本はボジョレー・ヌーヴォーの25%を消費する非常に重要な国であり、日本が選ばれたのはごく自然な流れだったという。 ボジョレーワイン委員会会長のドミニク・ピロン氏によれば、2019年のボジョレーの気候は一筋縄ではなかったそうだ。春の霜、夏にもアラレの被害があり、収穫量はマイナスに。とはいえ9月には素晴らしい天候に恵まれたおかげで、品質は素晴らしい。現在世界的に、重たくしっかりとしたワインより、軽やかでアルコール度数も低く、土着品種を使ったワインが愛される傾向にある。また、ワインだけでなく、ワインと共に誰かと過ごす時間を楽しむこと自体が好まれるようになってきた。ボジョレーの土着品種であるガメイで造られ、軽やかなボジョレーはまさにそんな時代のニーズにピッタリとマッチした存在なのだ、と会長。 ボジョレー地区で生産されるワインはボジョレー・ヌーヴォーだけに限らない。ボジョレー・ワイン委員会は、パリでもボジョレーの時期になると、この地区で生産される、より高品質なワイン、「クリュ・デュ・ボジョレー」のプロモーションも行っているという。日本でのクリュの消費量はまだボジョレー全体の10%程度だというが、少しでも認知度を上げようと、今回も解禁前にはクリュの無料テイスティングを開催し、生産者たちも駆け付けた。 祝祭的な雰囲気や友人たちと盛り上がりたい時にピッタリな、軽やかでフルーティ、かつ何杯飲んでも飽きのこないボジョレーのクリュ。そんな雰囲気を体感してもらおうと、今回はフランスから著名なDJファルコン氏が来日し、ボジョレー片手にエレクトロミュージックのリズムに乗って踊れるブースも用意され、来場した外国人たちで賑わった。海外からも注目されているクラブ、コンタクトの音響やDJは本当に素晴らしく、24時を迎える頃には盛り上がりも最高潮に達し、まるでフランスにいるかのよう。 さて、待ちに待った24時が過ぎ、解禁された2019年のボジョレーは?数種類をテイスティングして印象的だったのはフルーティさと軽やかさ。ヌーヴォーはクリュよりも一層ふわっとする軽やかさがあり、これがあればますます踊てしまいそうなほど、祝祭的な味わいである。解禁の盛り上がりに包まれて、DJブースは24時を超えても踊りたい人たちでますます賑わいをみせている。ボジョレー・ヌーヴォーは一年中楽しめるものの、日本で一番売れるのは11月と12月にかけてだという。解禁イベントだけでなく、クリスマスまでの友人たちとの集まりに、軽やかでフルーティ、飲んでいると心が踊りだすようなボジョレーを合わせてみては?

東京の街角で美味しいエスプレッソに出会うのは至難の技だ。イタリアでエスプレッソに開眼し、日本でも同じ喜びを味わおうと思った途端、なぜこのささやかな願いを満たすのがこんなにも困難なのかという疑問にぶちあたる。イタリア製のマシーンは至る所に存在し、今時カプチーノが飲めないカフェのほうが珍しい。昔からコーヒーのうんちくを語る人も多く、カフェのガイドブックは毎年何冊も出版されている。それなのに、なぜ心から美味しいと思えるエスプレッソに出会うことがこうも難しいのだろう? 10月9日にACCI GUSTOで開催された、国際カフェテイスティング協会日本による「イタリアの遺産・エスプレッソ」セミナーは、長年のこうした疑問を解決してくれた。一言で言えば、エスプレッソは簡単そうに見えて非常に奥が深いということだ。イタリアで誕生したエスプレッソの文化を担うには熟練した技術と深い知識が必要であり、きちんとした基盤があってこそ、一杯で人を幸福にさせる味が作り出せるというわけだ。 イタリアで発足した国際カフェテイスティング協会(IIAC)は、イタリアのエスプレッソを検証し、定義すること、そしてエスプレッソをきちんと抽出できる人の人材育成を目的として創られた協会だ。IIACによれば、エスプレッソ・イタリアーノの特徴は主に2つあり、1つ目は豆をブレンドすることである。ここ数年、日本でもスペシャリティ・コーヒーやサード・ウェーブの影響で、コーヒー豆も、ブルゴーニュワインのように、単一品種、単一の産地のものをシングル・オリジンで飲むことが流行し、それこそがよいという風潮がある。そんな中でも、エスプレッソの本場、イタリアは、豆をブレンドすることにこだわり続けているという。数々のブドウ品種をアッサンブラージュさせ、ブレンドによる絶妙な味わい深さを作り出すボルドーワイン同様に、イタリアのエスプレッソにもブレンドの美学が貫かれているからだ。実は、イタリアでも150年前までは単一品種の豆を使用していたのだが、シングルオリジンでは複雑な味わいや余韻がどうしても生み出せないとわかり、ブレンドの伝統が生まれていったのだという。ヴァイオリンやチェンバロ、チェロなどの音が美しく重なり合うことで絶妙な深みが生まれる交響曲のように、ブレンドには様々な味わいの良さを引き立てあってバランスをとるという美学がある。イタリアでは世界的に評価の高いアラビカ種だけでなく、ボディ感のしっかりしたロブスタ種も使用するという。「日本ではロブスタ種というと缶コーヒーに使われる質の低い豆というイメージがありますが、素晴らしい品質のロブスタは質の低いアラビカよりもよほど優れているのです」とIIAC理事の横山千尋さん。アラビカ種の余韻、抑揚に、ロブスタ種のビターさ、パンチがあることで、特徴あるブレンドになるという。イタリアでは基本的には5種類以上の豆をブレンドし、13種ほどブレンドするメーカーもある。 エスプレッソ・イタリアーノの2つ目の特徴は焙煎である。日本の場合イタリアン・ローストというと、一番深く焙煎したものを指すのに対し、実はイタリアでイタリアン・ローストというと浅煎りと深入りの中間程度の焙煎なのだという。焙煎において大切なのはチョコレートを思わせる香りを生み出すことである。イタリアのエスプレッソはギュッと凝縮した味わいがあるものの、意外にあっさりしており、さらりと飲めてほとんど胃もたれすることがない。日本の場合は豆を深入りしすぎ、そのために酸化も早まり、酸化した状態の豆でエスプレッソを抽出している可能性があるという。日本で経験しがちな、砂糖を入れたところでごまかしのきかないエグミやきつい酸味は、そのあたりに由来しているようである。…

11月12日、東京、白金の八芳苑にてイタリアワインの試飲会「ワインの国イタリア 醸造家たちの手仕事」が開催され、数多くの生産者が来日した。イタリアワインは土着品種や産地の多様性ゆえに、何から手をつけたらいいのかわかりにくく、自力で判断するのは難しいと思うかもしれない。とはいえフランスワインに比べ、驚くほどコストパフォーマンスの高いワインが多いので、知っておくとワイン選びの幅がぐんと広がるだろう。 日本でも有名なスローフード運動発祥の地、ピエモンテ州はイタリア北西部にあり、フランスと国境を接している。イタリアで有名な赤ワインと言えばキャンティ・クラシコや高級なバローロなどがあるが、ピエモンテはバローロ、バルバレスコを生産する赤ワインの名産地。バローロとバルバレスコは黒ぶどうのネッビオーロで生産される。ネッビオーロはタンニンが強いため、普通のワインのようにブドウを収穫した翌年に出荷することはできず、収穫から出荷まで4年ほど待つ必要があるという。ピエモンテ州ではバルベーラという土着の黒ブドウも生産されおり、原産地呼称DOCGに品種名がつく、バルベーラ・ダスティもかなりオススメだ。 今回数多くのワインを試飲した中で、その品質の素晴らしさ、そして価格のリーズナブルさに再び驚いたピエモンテ州の2つの生産者を紹介したい。1つ目の生産者は「Tenuta Tenaglia テヌータ・テナリア」。こちらは栽培面積30ヘクタールという小規模で家族経営のドメーヌで、バルベーラを使った2種類のワインが素晴らしい。「Barbera d’Asti…

11月5日、ドイツワインの魅力を伝える「最もクールなドイツワイン」の発表会が開催された。「最もクールなドイツワイン」とは、昨年始まった、ドイツらしいデザインとストーリー性に優れた最新のワインセレクション。今年は385本の候補からワイン業界やファッション、クリエイティブ業界の審査員たちによって20本のワインが厳選された。味わいだけでなく見た目やコンセプトも重要で、ラベルの自由なデザインを見ただけでも伝統的なフランスワインとは随分違うのがよくわかる。選出されたワインの生産者の多くも若手だといい、ドイツワインの新しい動きを世界に伝えていくのにピッタリな取り組みだ。ドイツではフランスの生産者たちがこぞって訪れる世界最大のワイン・アルコール飲料の国際見本市、プロヴァインが開催されており、2018年のセレクションはそこでお披露目された。 ドイツワインといえば甘いリースリングというイメージついが浮かんでしまう。しかし、世界のリースリングの生産量の半分をドイツワインが占めるほどリースリングは大切な白ワインの品種であり「今回は甘くないドイツワインが多いということを知ってもらいたいんです」と夏にドイツを視察した、ホテルニューオータニ大阪、チーフソムリエの定兼弘さん。レストランでも食事にドイツワインはちょっと、と思われることもあるそうだが、実際にはキリッとした酸が特徴的で、すっきりした味わいのリースリングが多く存在する。また、ドイツではリースリングだけでなく、フランスで最もドイツ寄りの産地、アルザス地方でも生産されているピノ・グリ(グラウブルグンダー)やピノ・ブラン(ヴァイスブルグンダー)、ブルゴーニュで有名なピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)も生産されている。ドイツワインの面白みは素晴らしい質のワインが各地で生産されているのに、セレクトされた20本ですら平均価格が10〜15ユーロ前後と非常にリーズナブルということだ。「リースリングの最高峰のワインですら、ブルゴーニュの半分くらいの値段で手に入るんです」と定兼さん。国際的なブランド力が最高のブルゴーニュでは、品質がどうであれブランド力で販売することが可能なだけに、高額な値段のわりにイマイチという経験もあるだろう。それに対して、ブルゴーニュやシャンパーニュよりも北部に位置し、かつ丘陵地帯の多いドイツのワイン産地では、ぶどうはゆっくりと時間をかけて成熟し、繊細なアロマとフルーティさに富んでいる。それなのに値段がこの程度というのであればお得という他ないだろう。 今回テイスティングした中で特におすすめなのが、ベスト1に選ばれたというモーゼル産の「2015 Riesling trocken」だ。こちらはリンゴのような香りがあり、非常に爽やかで、すっきりサッパリした飲み心地。後味にほんのりとした甘みがを感じ、なんといっても飲みやすい。情熱あふれる若手の6人のメンバーによる「リースリング・カルテル」社のもので、囚人のようなラベルが斬新だ(8.9ユーロ)。また、赤ワイン、ピノ・ノワールの味わいも素晴らしい。ラインヘッセン産の「2015…

風や緑が心地よくてつい外に出たくなるこの季節、フランス流のアペリティフの時間を楽しむ「アペリティフ in Tokyo 2018」が代官山で開催される。5月18日(金)〜20日(日)の週末に、シャンパーニュ、ワインやビール等フランス産のアペリティフと、日本を代表するフレンチシェフによる粋をこらした一品が驚くほど手頃な価格で味わえる。 日々の暮らしを楽しむことを大切にしているフランス人にとって、アペリティフの時間は欠かせない。アペリティフというのは夕食前に、ワインやパスティスなどの食前酒と、サラミやチップスなどのおつまみとともに、友人たちや来客とゆっくり話をする時間のことだ。窓を開けたりテラスに出したテーブルで、外との一体感を感じながら、大切な出会いを慈しむゆったりした時間。フランスって豊かだなあと実感するのはまさにそんな時なのだ。かしこまった高級フレンチや高級ワインだけが本当のフランスじゃない、もっとカジュアルで気楽なフランスの姿を伝えていこうというこの取り組みは今年で15年目を迎え、ヒルサイドテラスでも年中行事のようになってきた。…

アルザスのキルシュの発見に着想を得て、農民だったアルフレッド・ラヴノーは自分で蒸留所を開きました。彼はのちに、オーベルニュのキナ酒という、ゲンチ アナの根っこを白ワインに浸けたものを発見します。19世紀末にはオーヴェルニャたちのパリ進出に伴って、農場出身のこのアペリティフも高く評価されまし た。それからラヴノーはサレール付近の斜面に生えている黄色いゲンチアナの根っこを使用し、オーク樽の中で浸けました。有名なサレールを彼は1885年に つくります。サレールは瞬く間に評判となり、地方の垣根を越えてパリでも評判となるのです。色とアルコール度数の異なる3つのサレールは今でも輝きを放つ リキュールです。…