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11月21日(木)はボジョレー解禁。それに先立ち、渋谷のクラブ、コンタクトでカウントダウンイベントが開催された。ボジョレーワイン委員会は2年前から世界的なカウントダウンイベントを開催しており、昨年のパリに続いて今年は東京が選ばれた。日本はボジョレー・ヌーヴォーの25%を消費する非常に重要な国であり、日本が選ばれたのはごく自然な流れだったという。 ボジョレーワイン委員会会長のドミニク・ピロン氏によれば、2019年のボジョレーの気候は一筋縄ではなかったそうだ。春の霜、夏にもアラレの被害があり、収穫量はマイナスに。とはいえ9月には素晴らしい天候に恵まれたおかげで、品質は素晴らしい。現在世界的に、重たくしっかりとしたワインより、軽やかでアルコール度数も低く、土着品種を使ったワインが愛される傾向にある。また、ワインだけでなく、ワインと共に誰かと過ごす時間を楽しむこと自体が好まれるようになってきた。ボジョレーの土着品種であるガメイで造られ、軽やかなボジョレーはまさにそんな時代のニーズにピッタリとマッチした存在なのだ、と会長。 ボジョレー地区で生産されるワインはボジョレー・ヌーヴォーだけに限らない。ボジョレー・ワイン委員会は、パリでもボジョレーの時期になると、この地区で生産される、より高品質なワイン、「クリュ・デュ・ボジョレー」のプロモーションも行っているという。日本でのクリュの消費量はまだボジョレー全体の10%程度だというが、少しでも認知度を上げようと、今回も解禁前にはクリュの無料テイスティングを開催し、生産者たちも駆け付けた。 祝祭的な雰囲気や友人たちと盛り上がりたい時にピッタリな、軽やかでフルーティ、かつ何杯飲んでも飽きのこないボジョレーのクリュ。そんな雰囲気を体感してもらおうと、今回はフランスから著名なDJファルコン氏が来日し、ボジョレー片手にエレクトロミュージックのリズムに乗って踊れるブースも用意され、来場した外国人たちで賑わった。海外からも注目されているクラブ、コンタクトの音響やDJは本当に素晴らしく、24時を迎える頃には盛り上がりも最高潮に達し、まるでフランスにいるかのよう。 さて、待ちに待った24時が過ぎ、解禁された2019年のボジョレーは?数種類をテイスティングして印象的だったのはフルーティさと軽やかさ。ヌーヴォーはクリュよりも一層ふわっとする軽やかさがあり、これがあればますます踊てしまいそうなほど、祝祭的な味わいである。解禁の盛り上がりに包まれて、DJブースは24時を超えても踊りたい人たちでますます賑わいをみせている。ボジョレー・ヌーヴォーは一年中楽しめるものの、日本で一番売れるのは11月と12月にかけてだという。解禁イベントだけでなく、クリスマスまでの友人たちとの集まりに、軽やかでフルーティ、飲んでいると心が踊りだすようなボジョレーを合わせてみては?

私たちが「ボジョレー」と聞いて真っ先に思い浮かべてしまうもの、それは赤い小花模様が印象的なジョルジュ・デュブッフ社のボトルでしょう。ジョルジュ・デュブッフ社が今年日本に輸入するボジョレー・ヌーヴォーは110万本以上。今年は地下鉄内でも宣伝するというこのボジョレーはすっかり私たちの目に馴染んでいます。フランスでもボジョレーの象徴であり、ボジョレーの帝王とさえ呼ばれるジョルジュ・デュブッフ氏。ボジョレーにある会社の試飲室で、デュブッフ氏にインタビューをさせていただきました。 試作中のグラス一杯のボジョレーを手に、グラスを傾かせては色合い、滑らかさ、そして香りを愛おしむように確認していくデュブッフ氏。ひとたびそれを口に含めば次から次へと尽きることなく繊細な味わいを表現していく様はまるで詩人を思わせます。会社のラボにはこの秋収穫されたばかりの試飲用のワインがズラリ。それらを日々120種類以上試飲し、頭の中に明確に味を記憶し、アッサンブラージュに向けてのイメージを膨らませていくデュブッフ氏。世界中にそのワインの名を轟かせ、「帝王」というイメージからは想像もできないような、一人一人の育てたブドウやワインをどこまでも丁寧に観察し、愛おしむ、真摯な姿勢を感じさせる方でした。 Q. デュブッフ社は日本にどれくらいボジョレー・ヌーヴォーを輸出されていますか? A.日本には銘柄の違い、キュヴェ・スペシャル、ビオ、キュヴェ・クラシック、キュヴェ・レストラン含め、10種類以上の異なるボジョレー・ヌーヴォーを輸出しています。輸出に関しては18年前からサントリー社と一緒に仕事をしています。初年度は4万本くらいから始まりましたが、その後サントリー社が日本でのボジョレーのイメージと質を守るために非常に貢献してくれたのです。今年は約112万本を日本に出荷予定です。…

使用品種はガメイのみ ボジョレー地区の赤ワインに使用するブドウ品種は、ガメイのみと決まっています。フランスでは中世以降、ブルゴーニュ地方の人々がガメイに対して、実がつきすぎる、青臭い、味が弱々しいといった悪評を植え付けようとしてきました。けれどもブドウの樹の良し悪しは人間同様、人種や肌の色で決まるものではありません。よくしつけられ、きちんと手入れされ、素晴らしいテロワールで育ったガメイからは偉大なワインができるのです。年代物のボジョレーのブラインド・テイスティングは、非常に著名なワイン専門家にいたっても、ブルゴーニュのグラン・クリュかと思わせてしまうほど。 ボジョレー・ヌーヴォー  ボジョレー・ヌーヴォーはちょっとパラドキシャルなワイン。メドックの格付けワインやシャブリのグラン・クリュなどは非常に高額とはいえ、ブドウの収穫は機械頼みということも。それに対してボジョレー・ヌーヴォーの収穫は基本的に手摘みです。ボジョレー・ヌーヴォーを造るにはブドウを房ごと使用しないといけないため、ブドウを粒単位で収穫していく収穫用機械は使用できません。また、ガメイ種は他の品種に比べるとかなり背が低く、一般的な機械はうまく通りません。そのため、毎年9月になると1万人を超える人たちが世界各地からブドウの収穫にやってきます。結果として、ボジョレー・ヌーヴォーという一般消費者向けのワインは他の地方産のワインよりもよっぽど生産費用が高くついてしまうのです。それなのにボジョレー・ヌーヴォーは他より安く売られるというわけです。 日本では経済危機や東日本大震災があったとはいえ、ボジョレー・ヌーヴォー消費の勢いはとどまるところを知りません。日本は世界の中でもボジョレー・ヌーヴォー輸出先のダントツ1位。ボジョレーにとって日本は非常に重要な市場です。とはいえフランス人からは不可思議に思えることも。どうして日本ではボジョレー・ヌーヴォーがこんなにも有名なのに、ジュリアナスやムーラン・ナ・ヴァンなど、ボジョレー地区のクリュについてはほとんど知られてないのでしょう?ボジョレーのクリュは味わいの繊細さやエレガントさではブルゴーニュの偉大なワインにもひけをとらないにも関わらず、お手頃価格で手に入る本当に優れたワインなんです。…