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3月7日から10日までの4日間、東京ビッグサイトでFOODEX JAPAN 2023が開催された。幕張メッセから会場を移してアクセスがしやすくなり、生産者も数多く来日したため、かつての賑わいが戻ってきた。巨大な会場を二日間歩いた中で出会った、特におすすめの逸品をご紹介したい。 フランスパビリオンには57社が参加し、数多くのワインやチョコレート、お菓子、パンなどが出展された。その中でもハッとする美味しさだったのが4つのワイン協同組合で構成されているロワール・プロポリエテのロゼ・ダンジューTête de…

11月1日〜2日、東京、浜松町で第11回イタリア料理専門展、ACCI Gustoアッチ・グスト2022が開催された。イタリアの食に関する企業やイタリア料理のシェフが一同に会するこのイベントは、イタリア好きにとっては至福の時間で、新たな発見に満ちている。 会場にはパスタや生ハム、チーズ、ワイン、コーヒー、オリーブオイル、ジェラートなどを扱うブースが並び、本格的に調理したイタリア料理も味わえる。刺激に満ちて心もお腹も満たされるアッチ・グスト2022で出会った逸品をご紹介したい。 アッチ・グストでは例年、絶品のナポリピッツァが味わえるが、それは業務用のピッツァ用石窯や、急速冷凍庫などを開発するツジ・キカイのブースのおかげ。生地がカリッと焼き上がり、ふんわりした味わいのナポリピッツァは、上火480℃、下火530℃の石窯に入れると、たった90秒で焼き上がる。絶品のピッツァを焼き上げる秘訣は単に優秀な窯だけにあるわけではなく、もちろん生地も重要だという。 生地はモンテ物産が扱っている、ナポリのカプート社のピッツァ生地を使用。週に3回ほどピッツァを食べる人が多く、ピッツェリアが立ち並ぶナポリにおいて、7割以上の店が使用しているのがカプート社の小麦粉だそう。日本の小麦粉と違い、小麦粉が粗いため、しっかり焼くと小麦の風味が出て非常に味わい深くなる。小麦粉から生地を作るのは熟練の技術が必要だが、すでに丸められた状態のカプート社の冷凍ピッツァ生地と石窯があれば、素人でも絶品のピッツァが作れてしまいそう。冷凍生地は12時間ほど常温で自然解凍後、発酵させて使用するため、夜のうちに出しておけば、ランチ時には使用可能。巷では冷蔵庫で解凍、発酵するものが多いそうだが、ナポリピッツァは高温で短時間で焼き上げることが重要で、短時間では中心が冷たいこともあるという。カプート社の生地は常温なのでその心配はなく、生地を伸ばしてソースや具をのせて焼くだけだ。ツジ・キカイの「イーナポリ500」はピッツァ1枚分が入る電気式のナポリピッツァ用石窯で、ピッツェリア、カフェ、バールなどで活躍。奥行きは60cmと小さく、絶品のナポリピッツァが簡単に焼けるため、他店と差別化を図りたく、メニュー開発に困っているカフェにおすすめだ。(税抜定価98万円)…

東京の街角で美味しいエスプレッソに出会うのは至難の技だ。イタリアでエスプレッソに開眼し、日本でも同じ喜びを味わおうと思った途端、なぜこのささやかな願いを満たすのがこんなにも困難なのかという疑問にぶちあたる。イタリア製のマシーンは至る所に存在し、今時カプチーノが飲めないカフェのほうが珍しい。昔からコーヒーのうんちくを語る人も多く、カフェのガイドブックは毎年何冊も出版されている。それなのに、なぜ心から美味しいと思えるエスプレッソに出会うことがこうも難しいのだろう? 10月9日にACCI GUSTOで開催された、国際カフェテイスティング協会日本による「イタリアの遺産・エスプレッソ」セミナーは、長年のこうした疑問を解決してくれた。一言で言えば、エスプレッソは簡単そうに見えて非常に奥が深いということだ。イタリアで誕生したエスプレッソの文化を担うには熟練した技術と深い知識が必要であり、きちんとした基盤があってこそ、一杯で人を幸福にさせる味が作り出せるというわけだ。 イタリアで発足した国際カフェテイスティング協会(IIAC)は、イタリアのエスプレッソを検証し、定義すること、そしてエスプレッソをきちんと抽出できる人の人材育成を目的として創られた協会だ。IIACによれば、エスプレッソ・イタリアーノの特徴は主に2つあり、1つ目は豆をブレンドすることである。ここ数年、日本でもスペシャリティ・コーヒーやサード・ウェーブの影響で、コーヒー豆も、ブルゴーニュワインのように、単一品種、単一の産地のものをシングル・オリジンで飲むことが流行し、それこそがよいという風潮がある。そんな中でも、エスプレッソの本場、イタリアは、豆をブレンドすることにこだわり続けているという。数々のブドウ品種をアッサンブラージュさせ、ブレンドによる絶妙な味わい深さを作り出すボルドーワイン同様に、イタリアのエスプレッソにもブレンドの美学が貫かれているからだ。実は、イタリアでも150年前までは単一品種の豆を使用していたのだが、シングルオリジンでは複雑な味わいや余韻がどうしても生み出せないとわかり、ブレンドの伝統が生まれていったのだという。ヴァイオリンやチェンバロ、チェロなどの音が美しく重なり合うことで絶妙な深みが生まれる交響曲のように、ブレンドには様々な味わいの良さを引き立てあってバランスをとるという美学がある。イタリアでは世界的に評価の高いアラビカ種だけでなく、ボディ感のしっかりしたロブスタ種も使用するという。「日本ではロブスタ種というと缶コーヒーに使われる質の低い豆というイメージがありますが、素晴らしい品質のロブスタは質の低いアラビカよりもよほど優れているのです」とIIAC理事の横山千尋さん。アラビカ種の余韻、抑揚に、ロブスタ種のビターさ、パンチがあることで、特徴あるブレンドになるという。イタリアでは基本的には5種類以上の豆をブレンドし、13種ほどブレンドするメーカーもある。 エスプレッソ・イタリアーノの2つ目の特徴は焙煎である。日本の場合イタリアン・ローストというと、一番深く焙煎したものを指すのに対し、実はイタリアでイタリアン・ローストというと浅煎りと深入りの中間程度の焙煎なのだという。焙煎において大切なのはチョコレートを思わせる香りを生み出すことである。イタリアのエスプレッソはギュッと凝縮した味わいがあるものの、意外にあっさりしており、さらりと飲めてほとんど胃もたれすることがない。日本の場合は豆を深入りしすぎ、そのために酸化も早まり、酸化した状態の豆でエスプレッソを抽出している可能性があるという。日本で経験しがちな、砂糖を入れたところでごまかしのきかないエグミやきつい酸味は、そのあたりに由来しているようである。…

観光客が滅多に行かない地区にひっそり佇むカフェ・ロミは土砂降りの日でも常連客で満席だ。高い天井に大きな木のテーブル、うっとりするようなコーヒーの香りと落ち着いた雰囲気で、激しい雨の世界から来ると避難所を見つけたような気持になる。 自家製キッシュやタルト、色とりどりのサラダが並ぶガラスケースの横には注文カウンター。その奥にはコーヒー研究所を思わせる魅惑的な抽出器具がズラリと並ぶ。カフェ・ロミは2010年にプロ向けの焙煎所から始まり、2年後にカフェをオープン。スペシャリティ・コーヒーにこだわり、南米、アジア、アフリカ等の産地を定期的に訪れて買い付ける。奥の焙煎所では毎日シングルオリジンの豆を焙煎し、プロ向けだけでなく一般用にも販売する。カフェでもコーヒー豆の種類が選べる。アエロプレスで抽出したコーヒーはお茶を彷彿させる優しい味わい。まず酸味を感じ、それがやわらく変化していく。優しさ、やわらかさというのはまさにこの店を表すのにピッタリで、店員さんも気さくで店内の雰囲気もあたたかみがあり落ち着いている。一人で来た常連客がパソコン片手に仕事をし、たまに誰かと会話する。スターバックスの理想的な姿がパリにあるなら、それはカフェ・ロミかもしれない。 Café Lomi…