フランスの伝統菓子「ガレットデロワ」

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フランスの伝統菓子「ガレットデロワ」

フランス人が大好きなお菓子の一つに「ガレットデロワ」がある。キリスト教の公現祭の折に食べるお菓子として古くから親しまれ、年が明けるとブーランジュリーやパティスリーにガレットデロワが一斉に並び始める。
公現祭は、東方の三博士が星に導かれてベトレヘムの馬小屋に赴き、生まれたばかりのイエス・キリストを拝み、貢物をささげたという聖書の言い伝えに基づいている。この時初めて救世主キリストの降誕が世に知られたという意味で「公現」の祝日となった。以前は1月6日と定められていたが、現在は1月1日以降最初の日曜日を公現の祝日としている。元々は宗教行事の一つだったが、今は誰もが家族や友人と一緒にガレットデロワを楽しんでいる。
ガレットデロワのレシピーは地域によって異なる。パリを中心にしたフランス北部ではパイ生地にアーモンドクリームを入れたお菓子だが、南フランスの伝統的なガレットデロワはリング型のブリオッシュに果物の砂糖漬けをのせたものを指す。しかし、近年は北部のガレットデロワが南フランスにも広まり主流になりつつあるようだ。

<フェーヴの役割>
共通するのはどちらにも中にフェーヴと呼ばれる陶製の人形が忍ばせてあること。ガレットデロワを切り分けて配り、その中にフェーヴが入っていた人はその日一日王様になれるという遊びがあり、子供だけでなく大人も結構これを楽しんでいる。だから、ガレットを買うと必ず紙製の王冠がついてくる。


フェーヴはフランス語でソラマメを意味し、昔は本物のソラマメをガレットデロワの中に入れていたという。1880年ころに陶製のフェーヴが作られるようになり、20世紀に入るとこれが普及して色々なテーマのフェーヴが作られるようになった。動物の形をしたフェーヴや漫画のキャラクター、車、お皿、時の話題の人の顔など様々で、毎年登場する新しいフェーヴを楽しみにしている人も多い。様々なフェーヴを交換して集める熱狂的収集家もいる。
ガレットデロワの販売は公現の祝日だけでなく1月末まで約1か月続くため、多くの人はその間に何度も食べる機会がある。家族や友人と楽しむだけでなく、職場でガレットパーティーを開いたり、人の集まるところにガレットが登場してその場の雰囲気を盛り上げる。ガレットデロワにはリンゴの発砲酒シードルがよく合うが、ちょっと贅沢な雰囲気を楽しむ時はシャンパーニュを開ける。

<魅力ある手作りのガレットデロワ>
ガレットデロワは高級パティスリーからスーパーマーケットまで至る所で売られていて価格も質も実に様々。スーパーに並ぶ工場製はともかく価格が手ごろで誰でも気軽に楽しむことができる。残念なのは、ブーランジュリーやパティスリーでも手間を省くために冷凍のガレットデロワを仕入れて販売する例が増えていることだ。冷凍技術が向上したとはいえ、仕入れ製品に頼ればどの店のガレットデロワも画一的な味になってしまう。職人さんが丁寧に手作りしたガレットデロワはそれぞれの個性があり味わい深く、他に代えがたい魅力がある。シンプルなお菓子だからこそ職人の技量が表れ、本当に質の高いものを追求するなら奥の深いお菓子だという。
こうした手作りのガレットデロワを推進する目的で、毎年1月初めにガレットデロワの技量を競うコンクールがパリで開かれている。今年は1月3日に行われ、パリとパリ郊外のブーランジェ、パティシエ約300人が参加した。このコンクールに、日本でこのお菓子の普及に取り組む「クラブ・ド・ラ・ガレットデロワ」主催の全国ガレットデロワコンクールの優勝者が参加している。今年は「ダロワイヨー・ジャポン」のパティシエ、持永定治さんが出場し見事6位に入賞した。優勝したのはパリの7区でブーランジュリー・パティスリーを経営するネリー・ジュリアンさん。優勝がマスコミで報じられると彼女のガレットデロワを求めて遠くから多くの人が来店したという。

6位に入賞した持永さん

<大統領に献上するお菓子>

ブーランジェやパティシエが毎年フランス大統領に直径1メートルほどもある大きなガレットガレットデロワを献上し、大統領が集まったブーランジェやパティシエを前にナイフを入れ共に新年を祝う。この習慣は全国各地に拡がり、今では知事や市長へガレットデロワを献上する催しが広く行われるようになっている。

ガレットデロワをカットするアンヌ・イダルゴ、パリ市長

 

Eriko MATSUURA

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