Author Miki Iida

シャンゼリゼ、凱旋門周辺

シャンゼリゼからたった50mという素晴らしいロケーションのメゾン・ド・ローブラックは、ランチは毎日、夜も週4日営業しているパリでも貴重なレストランで、何年も前からこの界隈で中心的存在です。この店は店主のクリスチャンさんの両親が1977年に購入し、彼は妻のエリザベスさんと、この店を肉料理専門店としてオープン。先祖代々の土地に敬意を表し、メゾン・ド・ローブラックと名付けました。 オーブラックはフランス中央山岳地帯にある、手付かずの美しい自然が残る地で、高度1000mに位置する平原。まだそこに農地を所有しているクリスチャンさんのように、多くのパリのビストロのオーナーがこの地域出身です。オーブラックはフランス最高品質の牛の品種名でもあり、クリスチャンさんはオーブラック牛の生産者でもあります。今年開催されたパリの農業サロンでは、彼の雄牛が受賞したほど、素晴らしい牛たちを育てています。この店で提供されるすべての肉は、彼の農場産で、それがまさに彼のレストランをパリの中でも例外的な存在にしている理由です。クリスチャンさんは自分の家畜の幸福と環境を重視して飼育しており、遺伝子組換え大豆も、抗生物質やホルモンも一切使いません。それだけでなく、牧畜が環境に与える影響も少なくしようと努力しており、健康的なオメガ3をベースにした飼料や亜麻を与えています。 骨つきリブロースや牛ヒレ肉、牛生肉のタルタル、ハラミなど、ラ・メゾン・ド・ローヌラックは肉を愛するすべての人が高く評価するレストラン。店内のガラスケースの裏では肉が熟成され、部位によっては七週間ほど寝かされます。ここでは伝統的なポトフのような料理も味わえます。ポトフはフランスの郷土料理でパリの冬で凍りつくような身体を芯から温めます。それからオーブラックといえばアリゴが有名。アリゴはジャガイモのピューレにトム・チーズを混ぜたもので、パリでもとても人気の一品。グリルしたソーセジとともに召し上がれ。 この素晴らしい自家製メニューを彩るのはやっぱりワイン。この店にはなんと700種ものワインリストが存在します。ポムロムのシャトー・ペトリュスのようなフランスを代表する偉大なワインや、コート・デュ・ローヌの卓越したクリュのワインは、上質な牛肉やシャルクトリの盛り合わせの幸せを一層格別なものにするでしょう。 ラ・メゾン・ド・ローブラック…

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フランスやパリでは一体何が起こっているというのだろう?黄色いベスト、「ジレ・ジョーヌ」のデモが始まって4週目の土曜となった12月8日、厳戒態勢がしかれたパリでは激しいデモが起こり、主にシャンゼリゼ通りを中心に、カフェ・フォションなどいくつかのカフェや高級ブティックが被害にあった。ひと月前からフランスでは「ジレ・ジョーヌ」と呼ばれる社会運動が広がりを見せている。これは労働者はじめ、月末の支払いに苦しんでいる人たちが始めた自発的な運動で、完全な車社会の地方から始まった。彼らは日々仕事や買い物に行くのに何キロも車を走らせる必要があり、すでに税金の高いガソリンが、1月に導入予定の炭素税によって値上がりするということで彼らの怒りに火がついた。11月17日からフェイスブック上で、黄色いベストを身につけて高速道路やショッピングモールを封鎖しようという呼びかけが始まった。そして12月1日、フランスの権力一極集中の象徴であるパリ、その中でも特に富の象徴であるシャンゼリゼ通りで激しいデモが行われた。 この運動の発端は炭素税に対する怒りだったとはいえ、それは引き金で氷山の一角であり、問題はより根深いと言われている。「ジレ・ジョーヌ」は、一部の過激派の運動でも、極右が煽って始めたごく一部の人たちの運動でもない。これは、フランスの格差社会や社会的不正義に対して、大変な暮らしの中、なんとかやりくりしている人々の不満や怒りが噴出し、徐々に人々の共感を呼んだことで広がりをみせた運動なのだ。参加している人たちは出自も考え方も支持政党も異なるが、これまで耳を貸してもらえなかった自分たちの声、社会から顧みられなかった自分たちの存在を認めてほしいという想いが共通している。マクロン大統領は年金生活者や失業者、シングルマザーや税金でかんじがらめの個人商店主など、ギリギリ精一杯の暮らしをしている人たちの声を無視してきた。日本向けの報道ではショッキングな映像と逮捕者数だけが衝撃的に映るかもしれないが、この動きはもともと80%のフランス人から支持されており、衝撃的なデモの後でさえ、フランスの世論からかなりの支持を得ているのだ。 とはいえ「ジレ・ジョーヌ」のムーブメントは危険性をはらんでいる。というのは、このムーブメントは選挙という民主的な方法を否定しているからだ。彼らはもはや政治家に失望しており、マクロン大統領や議員たちの辞任を求めている。彼らは自分自身の意見を述べるものの、この動きは代弁者も代表者もいないのが特徴だ。だから政府が対応しようとしたところで、誰と話せばいいのか、彼らの声を最も代弁しているのが誰かがわからない。12月1日の騒然たるデモの後、フランス政府は1月に予定していた炭素税の引き上げをやめ、ガス代や電気代の値上げもやめるという英断をくだした。それにも関わらずこのムーブメントがおさまらないのは、あくまでも炭素税はつもりにつもったこれまでの不満の起爆剤となっただけであり、これまで社会から顧みられずに過ごしてきた人々の怒りがおさまらないからである。フランスは一部の貴族のようなエリートのためではなく、人々のための共和国ではなかったのだろうか?この動きがフランス革命や1968年を彷彿させるのも、そうした市民と権力の対立という構図があるからである。 12月1日のパリでのデモが非常に過激化したのは、政府に対する怒りで心の中は煮えくり返っていても、平和的にデモをしていた人たちの中に、極左や極右の、特殊な武器やペインド用具を持ったグループが混じったからである。郊外の不良たちも夜に店を略奪するためにやってきた。こうして、パリで行われた3回目のデモは最も過激でショッキングなデモとなり、凱旋門がのっとられ、落書きされ、その下にある無名戦士の墓が冒涜されたのをみてフランス人たちは非常にショックを受けていた。凱旋門の前にある「ベル・アルメ」のようにカフェが放火されるというのを目にするのは、パリの歴史的建造物が大幅な被害にあった、パリの市民戦争、1871年のパリコミューン以来の衝撃である。 翌週何が起こるか懸念され、厳戒態勢がしかれた12月7日は、1日に比べると過激な事件は少なかった。それは警察が、デモの参加者たちがシャンゼリゼに入る前に彼らをチェックしていたからであり、砲弾や爆発物を持っていた者たちは全て逮捕された。この日はエッフェル塔、数多くの美術館、近隣の全てのカフェと店が閉まり、多くの店は事前にしっかりとバリケードをはっていた。クリスマス前の1ヶ月は通常の2−3倍の売り上げがある、1年でもっとも大事な時だけに、パリでのこのデモの影響は深刻である。道路やショッピングセンターが封鎖された地方でも、一様に売り上げが下がっている。…

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11月27日、広尾のフランス大使公邸にてシュッド・ウエストワインデーのセミナーが開催された。シュッド・ウエストというのはフランス南西地方のことで、トゥルーズ、アヴェイロン、ベルジュラック、ジュランソンなどを含む広大な地域を指している。シュッド・ウエストワインはコストパフォーマンスの高いフランスワインとして知られており、日本でも消費が伸びつつある。2017年には前年比約20%も輸入量がアップした。 「シュッド・ウエストはアメリカのワイン・エンツージアストという雑誌の2018年度ワイン産地大賞に選ばれたんです。」とシュッド・ウエストワイン委員会代表のポール・ファーブルさん。世界から注目されているこの産地は、カベルネ・ソービニヨン、メルロー、マルベックなど、国際的なぶどう品種の発祥の地でもあり、130もの土着品種があるという。5年前から日本でのプロモーションに尽力している日本ソムリエ協会副会長の石田博さんによれば、現在、世界のソムリエからもマルベックやカリニャンといった土着品種が注目されているという。「最近は高級フランス料理の店ではほとんどどこでもペアリングのメニューを出しています。前菜からメインを含め約5品ある中で、よく知られた品種だけではペアリングの構成が成り立たちません。そのために知られざる産地の土着品種に注目しているというのも1つの理由でしょう。」南西地方は昔からトリュフや鴨、フォアグラなど美食の地としても有名だ。「フランスの中でも郷土料理がこれほどまでに豊富な地域はありません。ビストロの定番メニューの6−7割はこの地方からインスパイアされたものなんです。」だとすればカスレや鴨のコンフィなど、ビストロらしい料理にこの地方のワインが合わないはずがない。 数あるシュッド・ウエストワインの中でも特におすすめしたい地域がカオールだ。カオールは黒ぶどう、マルベック発祥の地であり、美食の地としても有名だ。日本でカオールのワインというと黒ワインというのが有名で、濃すぎるイメージがあるかもしれないが、ジョルジュ・ヴィグルーのワインは非常にエレガント。マルベック90%、メルロー10%で作られた「Château de Haute-serre…

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11月22日、東京、汐留の東京ガススタジオ「厨BO!SHIODOME」にて全国イタリア料理コンクール2018が開催された。これは世界中で開催されている「イタリア料理週間」の一環で、今年で9回目となる取り組みだ。全国のイタリア料理のシェフ56名の中から、ファイナリストとして選ばれた8名が緊張した雰囲気に包まれて決勝戦を行った。 各自の持ち時間は1時間きっかりで、テーマに沿った1品と、パスタを使った1品を作り、通常の盛り付けと審査員用の紙皿の盛り付けまで完了させる。コンクールは前半4組、後半4組という順番で、スタートの合図とともに各自真剣な表情で素早く料理に向かっていった。猪の肉を勢い良くカットし、色とりどりの野菜をリズミカルに刻んでいくシェフ、彩り豊かなソースを時間をかけて作っていくシェフなど、各自の料理の仕方は様々だ。イタリア料理とはいえ、創造性も重視されるコンクールであり、穴子やウニ、サンマやうなぎなど、日本的な食材もふんだんに使用されていた。 今回のコンクールのテーマは「New Italian Lifestyle…

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11月12日、東京、白金の八芳苑にてイタリアワインの試飲会「ワインの国イタリア 醸造家たちの手仕事」が開催され、数多くの生産者が来日した。イタリアワインは土着品種や産地の多様性ゆえに、何から手をつけたらいいのかわかりにくく、自力で判断するのは難しいと思うかもしれない。とはいえフランスワインに比べ、驚くほどコストパフォーマンスの高いワインが多いので、知っておくとワイン選びの幅がぐんと広がるだろう。 日本でも有名なスローフード運動発祥の地、ピエモンテ州はイタリア北西部にあり、フランスと国境を接している。イタリアで有名な赤ワインと言えばキャンティ・クラシコや高級なバローロなどがあるが、ピエモンテはバローロ、バルバレスコを生産する赤ワインの名産地。バローロとバルバレスコは黒ぶどうのネッビオーロで生産される。ネッビオーロはタンニンが強いため、普通のワインのようにブドウを収穫した翌年に出荷することはできず、収穫から出荷まで4年ほど待つ必要があるという。ピエモンテ州ではバルベーラという土着の黒ブドウも生産されおり、原産地呼称DOCGに品種名がつく、バルベーラ・ダスティもかなりオススメだ。 今回数多くのワインを試飲した中で、その品質の素晴らしさ、そして価格のリーズナブルさに再び驚いたピエモンテ州の2つの生産者を紹介したい。1つ目の生産者は「Tenuta Tenaglia テヌータ・テナリア」。こちらは栽培面積30ヘクタールという小規模で家族経営のドメーヌで、バルベーラを使った2種類のワインが素晴らしい。「Barbera d’Asti…

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11月5日、ドイツワインの魅力を伝える「最もクールなドイツワイン」の発表会が開催された。「最もクールなドイツワイン」とは、昨年始まった、ドイツらしいデザインとストーリー性に優れた最新のワインセレクション。今年は385本の候補からワイン業界やファッション、クリエイティブ業界の審査員たちによって20本のワインが厳選された。味わいだけでなく見た目やコンセプトも重要で、ラベルの自由なデザインを見ただけでも伝統的なフランスワインとは随分違うのがよくわかる。選出されたワインの生産者の多くも若手だといい、ドイツワインの新しい動きを世界に伝えていくのにピッタリな取り組みだ。ドイツではフランスの生産者たちがこぞって訪れる世界最大のワイン・アルコール飲料の国際見本市、プロヴァインが開催されており、2018年のセレクションはそこでお披露目された。 ドイツワインといえば甘いリースリングというイメージついが浮かんでしまう。しかし、世界のリースリングの生産量の半分をドイツワインが占めるほどリースリングは大切な白ワインの品種であり「今回は甘くないドイツワインが多いということを知ってもらいたいんです」と夏にドイツを視察した、ホテルニューオータニ大阪、チーフソムリエの定兼弘さん。レストランでも食事にドイツワインはちょっと、と思われることもあるそうだが、実際にはキリッとした酸が特徴的で、すっきりした味わいのリースリングが多く存在する。また、ドイツではリースリングだけでなく、フランスで最もドイツ寄りの産地、アルザス地方でも生産されているピノ・グリ(グラウブルグンダー)やピノ・ブラン(ヴァイスブルグンダー)、ブルゴーニュで有名なピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)も生産されている。ドイツワインの面白みは素晴らしい質のワインが各地で生産されているのに、セレクトされた20本ですら平均価格が10〜15ユーロ前後と非常にリーズナブルということだ。「リースリングの最高峰のワインですら、ブルゴーニュの半分くらいの値段で手に入るんです」と定兼さん。国際的なブランド力が最高のブルゴーニュでは、品質がどうであれブランド力で販売することが可能なだけに、高額な値段のわりにイマイチという経験もあるだろう。それに対して、ブルゴーニュやシャンパーニュよりも北部に位置し、かつ丘陵地帯の多いドイツのワイン産地では、ぶどうはゆっくりと時間をかけて成熟し、繊細なアロマとフルーティさに富んでいる。それなのに値段がこの程度というのであればお得という他ないだろう。 今回テイスティングした中で特におすすめなのが、ベスト1に選ばれたというモーゼル産の「2015 Riesling trocken」だ。こちらはリンゴのような香りがあり、非常に爽やかで、すっきりサッパリした飲み心地。後味にほんのりとした甘みがを感じ、なんといっても飲みやすい。情熱あふれる若手の6人のメンバーによる「リースリング・カルテル」社のもので、囚人のようなラベルが斬新だ(8.9ユーロ)。また、赤ワイン、ピノ・ノワールの味わいも素晴らしい。ラインヘッセン産の「2015…

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11月1日、六本木の割烹小田島で、ボルドー甘口ワインと和食のフードペアリングセミナーが開催された。日本で貴腐ワインというと高価なデザートワインで特別な時に少しだけ飲むようなイメージだ。しかし、産地では1本1500円程度のワインが多く生産されており、意外なことに和の食事と合わせるのに向いている。デザートワインだけじゃない、そんな姿を伝えるために、収穫真っ最中のボルドーから生産者たちが来日した。 「ボルドー甘口ワインの品種は白ぶどうのセミヨン、ソービニヨン・ブラン、ムスカデル。貴腐ワインの鍵となるのは秋の朝、2つの川の合流地点から上がってくる霧で、その霧の湿気によってボートリティス・シネリア菌がブドウに付着し、ブドウを凝縮させるんです。菌の発展段階は場所やブドウによって違うため、収穫も3〜5回にわたって、熟練した者たちの手を借りて行います。とても貴重なワインなので、1本のブドウからとれるのはたったグラス1杯程度」と生産者協会代表のエマ・ボードリーさん。とはいえ、貴重だから消費者の手に届かないというわけではなく、今年もボルドーの10のAOCで5500社が甘口ワインを生産中だ。一番有名なのはソーテルヌだが、それ以外にもバルザック、ルピヤック、カディヤックなど、日本での知名度はまだまだとはいえ、素晴らしいワインを手頃な価格で販売している地区が多くある。 今回のマリアージュを提案したのはソムリエの大越基裕さんと、ワインと和食のマリアージュで知られる割烹小田島の小田島大祐さん。大越さんは「一言でスイートワインにはこれが合うとは言えない」と強調。甘口といっても甘さの度合いや酸の度合いが非常に異なり、それぞれのワインにあった料理を考える必要があるからだ。一般に想像しがちな甘さの強い貴腐ワインだけでなく、2016年の若いワインなどはフレッシュな酸味があり、甘みと酸味のバランスが絶妙で、意外なことに、魚を使った和食との相性が抜群なのだ。例えば「鯛の昆布じめ ウニソース」に「シャトー・ド・マルサン 2016 プルミエール・コート・ド・ボルドー・エ・カディヤック」を合わせると、甘口ワイン特有のこくのある味わいに、脂ののった鯛とシャンパーニュで味付けされたウニの味わいがぴったりと合い、お互いの味わいを高め合う。来日した25歳の生産者、ギョームさんによれば、「このワインは40 %だけ貴腐菌がついた状態で収穫するため、柑橘系のフレッシュな酸味と甘みのバランスが特徴なんです。」こちらは熟成もタンクで行うといい、いわゆる甘口よりも白ワイン的要素が強く、繊細な和食に合わせやすい。 また、「イカの塩辛ゆず風味」に、先ほどより糖度が上がり、アンズのような甘みがある「パヴィリオン・ド・ルーケット 2014…

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シャネル銀座ビルディング最上階にあるレストラン、「ベージュアラン・デュカス 東京」が9月26日(水)にリニューアルオープンする。大きな窓からふんだんに光が差し込み、ゆったりした店内には開放感と落ち着きがある。「以前は90席近くありましたが、席が多いと厨房がどんなに頑張っても限界があると感じ、今回は50席にしたんです」とシャネル社長のリシャール・コラスさん。ベージュは14年前の2004年、シャネルビルと同時に誕生した。モード中心のブランドなのにあえてレストランを入れたのには訳がある。「いつもお世話になっているお客様やパートナーに恩返しする場をつくりたかったんです。座っておいしいものを食べながらフランスの文化が感じられ、お互いの縁がより深くなる場をつくるのがこのビルを建てる時の夢でした。」 日本在住46年というコラスさんは流暢な日本語で思い出を語ってくれる。「このビルを建てるとき、何かテナントを入れるのではなく、自分の考えで店をやりたいと思ってパリの3つ星を全部巡ったんです。あの時は楽しかったなぁ。それで一番考え方や価値観が合うと思ったのがデュカスさんなんです。この人は分野は違うけれども同じ言葉を使っていると。」シャネルとアラン・デュカスのレストランに共通するもの、それは伝統を尊敬しながら現代性を求めることだという。ベージュはまさにそれを具現しており、前菜からデザートに至るまで、料理に通底するのは繊細で、かつ記憶に残る深い味わいだ。アラン・デュカスの料理哲学を受け継ぐ総料理長の小島景さんが、伝統を大事にしつつも、珍しい穀物やこだわりのソースを皿の上で組み合わせ、繊細でモダンな味わいを表現する。選び抜かれた食材の組み合わせが、目や舌に心地よい刺激を与えてくれる。 来日したアラン・デュカス氏にもお話を伺った。アラン・デュカス氏は、高級フランス料理だけでなく、パリのビストロの擁護者としても有名なのだ。「私はレストランもビストロも両方好きで、どちらも経営しています。レストランはビストロよりフォーマルで、より美食が追求される場所。ビストロの特徴は伝統的なフランス料理、温かみのあるもてなし、お客さん同士の和気あいあいとした雰囲気、カジュアルさだといえるでしょう。ビストロはフランス社会において重要な役割を果たしていると思います。ガストロノミーやフランス文化への入り口という点で、特に外国人にとってはレストランより入りやすい。ビストロはフランスのエスプリに直に触れられる場だと思います。」デュカスさんは近々ビストロについての本も出版するという。「パリの130のビストロやシェフを紹介する本を間もなく出版します。その名も”Bistro de…

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ヴァンセンヌの森の中にあるル・プラトー・ド・グラヴェルは、都会の喧騒や慌ただしさを忘れさせてくれる場所。第二帝政風、アール・デコ、アール・ヌーヴォー調のインテリアが見事に調和した店内はエレガントでフランスらしさが感じられる。 パリの東に位置するヴァンセンヌの森は、西側のブローニュの森に次いで大きな緑地。ヴァンセンヌのシャトーや180の種類を誇る動物園があり、パリジャンたちの憩いの場となっている。 プラトー・ド・グラヴェルでは、夏は木陰の大きなテラスの前に流れる水を見ながら、涼を感じることができる。ここには騒音や渋滞、大気汚染も存在しない。パリに居ながら自然に囲まれるという貴重な時間を堪能できるのだ。店の敷地は小川と樹々に囲まれている。パリジャンたちが愛してやまないのはこの店の静けさと魅力的な雰囲気なのだ。 …

ボルドーワイン

7月24日、フランス大使館公邸にて第2回「ボルドー&ボルドー・シューペリユールワイン ソムリエコンクール2018」が開催された。このコンクールは、AOCボルドー、ボルドー・シューペリユールワインの魅力を日本の消費者に伝える大使となるソムリエを選ぶもの。予選を好成績で通過した5名のファイナリスト、筥崎宮迎賓館の千々和芳朗氏、オーベックファン神戸の塚本晃氏、アカデミー・デュ・ヴァンの紫貴あき氏、L’ASの佐々木健太氏、アピシウスの中島一希氏が順々に、緊張した面持ちで決勝に向かっていった。 1つ目の課題は、ボルドー&ボルドー・シューペリユールワインに関するセミナーを一般向けにどのように開催するか、ボルドーの生産者組合に向けて提案するもの。前回は初めから英語またはフランス語でのプレゼンという難題だったが、今回は国際コンクールを目指すソムリエというよりも、日本の消費者にワインを広めてくれるソムリエを広く募りたいという主催者側の想いから、ほぼすべての課題が日本語だった。ファイナリストの中にはアカデミー・デュ・ヴァンの講師が2名もおり、さすがというプレゼン力。プレゼンの中で多かったのは20〜30代の女性をターゲットにし、家庭でも楽しめるボルドーワインの魅力気づいてもらうというものだった。 2つ目の課題はグラスに注がれた4つの赤ワインをテイスティングし、特徴を述べるもの。こちらも皆プロだけあって非常に手慣れており、ワインを少し口に含んだだけで品種から生産年、樽熟成や新樽の比率までスラスラと述べていく。自信たっぷりに答える姿はさすがソムリエという他ないが、各自の答えをよく照らし合わせると年度や品種度合いにもかなりズレがあるようで、そのワインを試飲するわけでもなく、正解を知らない聞き手としては、誰が一番真実を語っていたのかはいまだに謎に包まれたままだ。 3つ目の課題は、ボルドーのワインミュージアムについて説明しなさいというものだ。これは皆、2016年6月1日にオープン、というところまでスラッと答えられたものの、制限時間2分が大いにあまる結果となった。ボルドーのワインミュージアム、La…

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