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シュミット・キャレールのブドウは背が高く、畑に足を踏み入れると緑に包み込まれるかのようだ。朝露が残る土の上にはチョウがひらりと舞っている。畑には早朝から15人程が集まり、白ブドウのリースリングを収穫中。薄緑の小さな粒を口に含むと、凝縮された甘酸っぱい味わいが口一杯にサッと広がる。冗談を言い合いながら収穫する人の中には、ベルギーから休暇をとって参加する親子の姿も。シュミット・キャレールは、深い温かみのあるビオワイン生産者。ロランさん夫妻と娘さんを中心とした、小ぶりだけれど味わい強いドメーヌだ。 2012年からビオとして認定され、土の香りがふわっと漂う畑にはタンポポや雑草が生えている。ロランさんはビオに移行した理由をこう語る。「僕や家族にとって、ビオは自然なことでした。アルザスでは悪いものが土に染み込みやすいし、子供や次世代にいいものを残したかった。化学肥料を作り、薬品を作り、ロビーイングしてっていうサイクルで、毒まみれになるのをもうやめたいなって。」彼はもともとワイン畑出身ではないが、アルザスにブドウ畑をもつ奥さんと出会い、ワイン造りに関わるように。三人の娘が育ち、今では次女のアンヌ・セシルさんが右腕として働いている。「私にとってワインの仕事は小さい頃から当然そうなるといったもの。父は何度も『本当にいいのか?大変な仕事だぞ?』って、今ですら私に聞くんです。でも今更他に何したらいいのよ」と笑う。今の仕事が本当に幸せなのと語る、情熱的なセシルさん。まさに地に足がついた仕事をしている彼女はとても25歳とは思えない知識とやる気に満ちている。「親子で醗酵方法などで意見が異なることもあります。でも二人ともまだまだ学ぶことだらけ。ワイン造りは一生学ばないといけません。」とロランさん。今年は圧搾後に産業廃棄物となり、蒸留所に運ばれる大量のブドウの房や葉をコンポストとして利用する計画をたてている。「自分の畑で採れたんだから自分の畑に戻したっていいでしょう?でもフランスではやたらと手続きが面倒でね!」と嘆きながらも計15トンになる茎や房を畑に戻そうと奮闘中。 手で収穫されたブドウは小ロットごとに醸造され、合計30近くの種類を生産。基本的に品種のブレンドはしない。醸造所には小ぶりのステンレスタンクが並び、その上から豊富な水が流れている。「これは醗酵温度を保つための仕組みです。14~15℃になるように、醸造所の裏にある川から水をポンプでひくんです。使った水はちょっとだけ温度が高くなるけど、またその川に戻るんですよ。」と、ここでもしっかりリサイクル。ロランさんはビオに対して強い思い入れはあるものの、現在フランスで注目されている「ヴァン・ナチュール」には抵抗がある。「うちがビオにしたのはより素晴らしい品質を手にいれるため。ビオには細かい規定書があり、少量の酸化防止剤の使用が許可されています。自然食品店などで流行っているヴァン・ナチュールは酸化防止剤無添加といいますが、私たちにとって、ワインを安定させ、酢にさせないためには酸化防止剤は必要不可欠。もちろん出来る限り量は減らしています。素晴らしいワイン造りにはブドウ畑も大切ですが、今の技術、特に醸造技術は重要だと思います。 家庭的なあたたかさのある試飲室にはデンマークからやってきた賑やかな一行も。輸入業者の方がここに惚れ込み、毎年デンマーク人を連れてやって来るという。美味しいワインを通して気付けば隣人と会話している。やがてその人が収穫の手伝いにやって来る。そうして口コミで根強いファンが増えるのは、ロランさん家族のあたたかさだけでなく、やはりワインの味わいあってこそ。シュミット・キャレールのワインはどれも非常に味わい深い。凝縮して味わいのギュッとつまったブドウからできるワインはやはり違うと思わせる。 Vin…

2年に1度の世界的なワインの展示会、VINEXPO東京が11月15日(火)〜16日(水)に開催される。VINEXPOはボルドーと香港で毎年交互に開催される、世界最大級のワイン、スピリッツの展示会。2014年には東京でも開催され、世界中から数多くの生産者が訪れた。今年もフランスからは50以上の生産者が出展し、自分たちのワインをプロと消費者に向けてアピールする。生産者と出会える展示会はワインのプロ限定のものが多い中、ヴィネクスポ東京は一般人の参加も歓迎。15日(火)にはボルドーの格付けワインの生産者が一同に会するビッグイベント、ユニオン・デ・グラン・クリュも開催される。入場料さえ払ってしまえばシャンパーニュ、ボルドーの格付けワインから新世界のワインに至るまで、様々なワインを味わい尽くせる。自分好みのワインを探しに、ワインの知識を深めるために、店に置く一本を見つけに、是非足を運んでみてほしい。15日にはユニオン・デ・グラン・クリュだけでなく、ボルドー、メドックのクリュ・ブルジョワの試飲会も開催される。ボルドーワイン好きにとっては1日でワインの経験を深めるまたとない機会。 ヴィネクスポ2014の様子はこちら VINEXPO TOKYO ヴィネクスポ東京…