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なだらかに続く坂をどこまでも上がっていくと、ようやくシャトー・ドーフィネ・ロンディロンの看板が見えてくる。標高約100メートルのルピアックの丘で、サンドリンヌ・ダリエ=フロレオンさん生産するのは貴腐ワイン。  「貴腐ワインは、ブドウの皮にボートリティス・シネレアっていう菌がついてできるのよ」と貴腐の進み具合が描かれたボードを片手に説明してくれる。「でもこれより畑に行った方が断然わかりやすいわよね?」と案内されたブドウ畑には白ブドウ、セミヨンが美味しそうに熟していた。セミヨンは白ブドウだが、貴腐菌がつくとはじめは小さな黒点がつき、だんだんとその範囲が拡大し、最後には黒ブドウのような外観になる。 「皮の厚さをよく見てちょうだい。普通に熟しているのに比べて、貴腐菌がしっかりついているのは皮が薄いでしょ。皮がタバコの巻き紙みたいに薄くなって、中の糖分が凝縮してジャムのようになっているのがいいブドウ。でも皮が破れて汁が出たら駄目なのよ。」ブドウを試食させてもらうとこれが自然の味かと驚くほど甘い。収穫中の畑を歩き「これはいい、これはまだダメ」と房ごとにチェックする彼女。一房ごと、いや一粒ごとに貴腐菌の成熟度合いが違うため、人の目でしっかりと確かめないと収穫は不可能だ。「だから収穫にはすごく時間がかかるのよ。天候にもすごく左右されるしね。同じ畑でも成熟度合いに応じて3回くらい収穫するの。あんまりに大変だから、今は辛口白ワインをメインにする生産者も増えてるわ」 年代物の家具に囲まれた自宅のサロンで昼食とワインをいただいた。はじめに出されたのは「Château Rouquette…