Browsing: コートドブール

降りしきる雨の中シャトー・メルシエに到着すると、悪天候をものともせずに働き続ける人たちがいた。醸造所には収穫されたばかりのブドウを載せたトラックが到着し、ただちに選果が始まっていく。 選ばれたブドウの中にはオーク・チップがパラパラと投入される。「これは味ではなくて色のためなんです。今年はかなり大変な年で、皮がすでに痛んでいるとワインがいい色になりません。そんな時にはオークチップで色を定着させるんです。」と生産者一家のイザベルさん。 シャトー・メルシエは300年以上前からボルドーの右岸、コート・ド・ブールで続くシャトー。合計で48ヘクタールのブドウ畑をもち、環境に配慮した栽培方法、アグリクルチュール・レゾネを実践。悪天候な中で中心となり指示を出すのはイザベルさんの父親だ。お兄さんも醸造を担当し、イザベルさんは主にマーケティングを担当。「私はここで育ったんだけど、長いことアメリカのホテル業界で働いていたの。それで1年前に戻ってきたわ。」今は販売促進や輸出入を主に担当し、今でも年に4ヶ月くらいは海外で過ごしているという彼女。「20年前はここに戻ってきたいとは思わなかったけど、帰ってみたら、今の生活の方が100%いいって断言できるわね」と笑う。家族の他にも7人のスタッフがおり、収穫時にはいつも10人以上の大所帯で食を囲み、冗談を言っては笑い合っている。華々しい生活に区切りをつけ、家族の絆で結ばれて、しっかりと地に足のついた生活を心底楽しんでいる、そんな様子がうかがえる。 [pro_ad_display_adzone id= »1569″]…

ポツリ、ポツリと雨音が天井に響く中、薄暗い空間に蝋燭の大きな炎が揺らめいている。その後ろには樽で熟成中のワインが静かに眠る。いくつもの蝋燭の光の下、赤黒く映るワインを静かに注いでもらう。グラスを鼻に近づけただけで、香りがスッと立ちのぼる。このワインはただものではない、それがすぐに伝わってくる。ワインというのはきっと造り手に似るのだろう、ふとそんなことに気がついた。 [pro_ad_display_adzone id= »1569″]…