批判されるミシュラン王国

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毎年1月に開催される新年度のミシュラン・ガイドの発表はフランス料理会の一大イベントだ。パリではミシュラン自ら大体的なイベントを開催し、注目されるようにしかけているが、この数年で風向きが変わりつつある。現在批評されているのはシェフたちよりも、ガイドであるミシュランの方なのだ。こうした動きは広がりつつあり、ミシュランの信用と評判が疑問視されている。

1999年以来、18年間に渡って3つ星を獲得していたシェフ、セバスチャン・ブラ氏は北海道の洞爺湖にレストランをかまえるミッシェル・ブラ氏の息子である。彼は2017年9月に、ミシュランに今後は自分の店を格付けしないようにと頼み、ミシュランはそれを受け入れた。しかし2019年には2つ星として格付けされていたことを、ガイドで知ったシェフは驚きを隠せない。

3つ星を辞退することは犯罪同様という者や、気がおかしいという意見もある一方で、それは自由への道だととらえる者もいる。あまりに多くの厳しい評価基準が課されるミシュランの調査員による絶え間ないプレッシャーのもとで生きるのはもうやめたいという意思である。

アラン・ドゥトルニエ氏

2019年にはクラシックなフランス料理で知られるパリ1区のキャレ・デ・フイヤントのアラン・ドゥトルニエ氏が、公式な手紙でミシュランの欠点を詳細に表した。その結果ミシュランは2店舗ある彼の店の星を両方取り消した。アラン・ドゥトルニエ氏は、大手ホテル業界や金融業の方に目を向け、もともとの職人気質で家庭的だった側面を失ってしまったミシュランに、もはや独立性がないと述べている。また、近年は写真映えする見た目が、実際の味わい以上に評価されることに疑問を呈している。

ドゥトルニエ氏のセップ茸の料理

彼によれば、シェフやレストランは一連の商業的関係によってこのガイドの支配下にあるという。ミシュランのサイトを通した予約システムへの支払いから、毎月99ユーロのプロ向けプランも存在する。それに加えて、ミシュラン・ガイドのロゴ入り調理器具の販売まであるという。自分の店の将来を考えたとき、誰しもがその提案を断れるわけではないだろう。彼はミシュランの国際戦略についても批判しており、ミシュランの拠り所であるはずのフランス料理を大事にすべきだと主張する。1989年には60万部が売れたこのガイドブックの販売数は、現在では約10分の1程度となっている。アラン・ドゥトルニエ氏は、料理人の団体の協力のもと、ミシュラン審査員の能力の明確な定義を要求している。フランスを代表してきたガストロノミー批評が、まさに今批判にさらされている。

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