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11月20日から21日の2日間、東京のフランス大使公邸で「第2回フランス美食の余韻 FOOD EXPERIENCE」が開催された。「フランス美食の余韻」は高品質で多様性があるフランスの高級食材や飲料に特化した商談展示会。より多くの日本人に自社製品の魅力を味わってもらうため、クッキー、バター、シャンパーニュ、チーズ、チョコレートなどの24ブランドが参加した。また、今回はフランス料理の新しい食のトレンドとして、進化しつつある植物ベースの加工食品なども取り上げられた。 会場の奥ではプレス向けのデモンストレーションが開催された。ひとつめは東京の学芸大学に新店舗「グテ」をオープンしたばかりの、セバスチャン・ブイエ氏によるプレゼンテーション。実力と想像力に溢れたリヨン出身のパティシエ、ショコラティエの彼は、リヨンに拠点を置く一方で、18年も前から日本で活動を続けてきた。 「グテ」は子供時代のおやつの時間を思い起こす、どこか懐かしく、遊び心のあるパンや焼き菓子を中心にし、一日中焼きたてのあたたかいお菓子を提供する店だ。セバスチャン氏の父親もパティシエで、彼の父や祖母が作っていたシンプルで美味しいお菓子や家族で食べたお菓子の時間の思い出を大切にしたいという。…

フランス料理の巨匠、ピエール・トロワグロ氏が9月23日に亡くなった。リヨンの西、ロアンヌの彼のレストランは、1968年からミシュランの3つ星を守り続けてきた。彼は1983年に亡くなった兄のジャンとともに、この半世紀における最も偉大なフランス人シェフのとして知られている。ピエール・トロワグロ氏はポール・ボキューズ氏の友人でもあった。彼らはともにフェルナン・ポワン氏の見習いとして働いていたのである。フェルナン・ポワン氏は、1930年代のフランス料理界の巨匠であり、ヴィエンヌにある彼の店「ピラミッド」は初めてミシュランの3つ星を1933年に獲得した店だ。 フランスの数々の名店で腕に磨きをかけた後、トロワグロ兄弟は、父親が1930年にロアンヌ駅前に開いたホテル・レストランを引き継いだ。父に見守られながら、彼らは徐々にフランスの美食会における中心的存在となってゆく。ミシュランの星をはじめて1955年に獲得し、1968年には3つ星を獲得し、トロワグロ兄弟は軽やかで味わい深い「ヌーベル・キュイジーヌ」の頂点に立つことになる。彼らの代表作は、「スカンポ風味のサーモンのエスカロップ」、「トロワグロのショーソン、トリュフ風味」、「ボジョレー・フルーリー風味の牛肉と牛骨髄」などが挙げられる。彼らのテーブルサービスの方法は、のちにフランスの多くのレストランで規範となっていく。それ以前は鶏肉や魚などはホールのサービススタッフが客の目の前で取り分けていた。1995年、ピエール・トロワグロ氏は息子のミッシェル・トロワグロ氏にあとを継がせて引退した。2017年、息子のセザール氏とともに、ミッシェル氏はロアンヌから8キロのウッシュに美しい店「レ・ボワ・サン・フイユ」を開き、3つ星を守っている。トロワグロ兄弟が築き上げた王国は、この地で脈々と続いていくことだろう。