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文京区本郷にコストパフォーマンス抜群のフレンチがあると聞いて訪れた。カウンターメインの店はすでにランチ客で混み合っており、一人で食べに来る客の姿も。平日のランチは950円〜1500円程で鴨やパテまで味わえる上にボリューム満点。今日はフレンチが食べたいなあ、という気軽な気持ちで本格的な料理が味わえる、そんなありがたい店が本郷のabats(アバ)。「高いとしょっちゅう行けないので、値段はリーズナブルに設定しています。もともと低価格で始めていて、ランチが950円からというのは開店当初から変えていません」とオーナーシェフの門脇憲さん。 アバのスペシャリテは自家製のシャルキュトリーやジビエ。ランチ時でさえ、パテ・ド・カンパーニュや猪のパテ、ジャンボン・ペルシエなどがメニューに並ぶほど。常時30〜40種類あるというシャルキュトリーは全て門脇さんがお店で作る。「テリーヌやアンドゥイエット、ブーダンも、生ハムも全部無添加で作っています。シャルキュトリーは手間が半端なく、1つ作るのに4−5時間ほどかかるんです。だから1日1個くらいのペースで、営業時間の合間や手が空いた時に作るようにしています。」シャルキュトリーというと、つい重たく脂っこいパテなどを想像してしまいがちだが、門脇さんのシャルキュトリーは驚くほど軽やかだ。どれも非常に丁寧に作られており、素材本来の味わいを最大限活かそうとしているのが伝わってくる。盛り合わせにはアルザスの白ワインをお勧めするというのも、なるほどと頷けるほど優しく繊細な味わいなのだ。 ここまできちんと手間をかけ、他では出会えないような肉料理が食べられるだけでもありがたいのに、どうしてこうもリーズナブルでいられるのだろう。18歳でフレンチの世界に入り、当時は1日18時間働いていたという門脇さん。「21歳をめどに海外に出ようと思っていたので、仕事の後もアルバイトをしてました。それでバックパックを背負って、アジアから陸路でヨーロッパに行ったんです。ヨーロッパではパンとサラミとチーズを食べて、1日50キロから70キロくらい歩いてました。」そんな姿は今も変わらない。「キッチンに立つのは昼も夜も自分一人だけ。普段はキッチン一人、サービス一人という体制ですが、今日はランチに50名来て、サービスもキッチンも全部一人でやりました」とさらりと語る。他の店ならあと数人いそうなところを一人でこなしてしまえるからこそ、この値段を維持することができるのだろう。 ジビエやシャルキュトリーを存分に堪能するなら、やはりディナーがおすすめだ。「自家製シャルキュトリー盛り合わせ」(5900円〜)は生ハムやテリーヌ、リエットなどが約15種類盛られており、食べていくうちにシャルキュトリーの奥深さに気づくはず。手作りのブーダン・ノワール(1000円)も、スパイス加減や柔らかさが絶妙で、日本にいながらこの味に出会えることに感動すら覚えてしまう。黒板には山ウズラや山鳩のロースト(ともに4000円)など、旬のジビエやシャルキュトリーのメニューが並ぶ。…