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2026年は後期印象派の画家、ポール・セザンヌの死後120年。それに伴い、2025年は彼の故郷のエクサン・プロヴァンスでは「セザンヌ・イヤー」と称して6月末から10月12日まで沢山のイベントが開催される。 エクサン・プロヴァンスの中心的な美術館であるグラネ美術館では、「ジャ・ド・ブフランにおけるセザンヌ展」が開催される。「ジャ・ド・ブファン」はセザンヌが40年程過ごした郊外の邸宅で、自身の絵における様々な実験をしてきた場所だ。エクサン・プロヴァンスの中心的な美術館であるグラネ美術館には世界中から約130点のセザンヌの油絵、デッサン、水彩画が集結する。セザンヌが1902年から1906年まで晩年を過ごしたアトリエ「アトリエ・デ・ローブズ」も大規模な修理を終えて10月12日まで公開される。 エクサン・プロヴァンス育ちのポール・セザンヌはマティスやピカソに多大な影響を与え、モダンアートの父と評される偉大な人物だ。しかし彼は亡くなった後ですら自分の愛した街で偉大な画家として認められるまでに多大な時間を要し、1949年にオープンした街の主要な美術館、グラネ美術館にようやく彼の絵が収蔵されたのは1984年のこと。死後100年の2006年には大規模な企画が開催され、街の入り口にはセザンヌの銅像が設置されたが、街の誇りとして認められるまでに100年を要したというから驚きだ。 セザンヌは銀行業で富を成した父のおかげで絵画の道を歩むことができ、エクサン・プロヴァンスから少し離れた場所にある邸宅「バスティード・デュ・ジャ・ド・ブフラン」で約40年を過ごした。中学時代にエミール・ゾラと出会い、ゾラはセザンヌが彼を助けたお礼にリンゴの入った籠を手渡した。静物画の中でも特にリンゴで知られるセザンヌにとって、リンゴというのは単なる果物ではなく、ゾラとの想い出も含まれているのかもしれない。芸術家の集まるカフェ「ドゥ・ギャルソン」にゾラとともに通ったセザンヌ。その後二人の道は別れ、ゾラは労働者階級を代表する作品をパリで描き、セザンヌはブルジョワ的な生活をしながらエクサン・プロヴァンスの美しい景色を描き続けた。 実際にエクスに来ると、なるほどセザンヌは自分の見たままに絵を描いたんだと思わされるほど、セザンヌの絵から飛び出してきたようなオレンジ色の建物があり、市街地から離れると、まさに彼が描いた田園風景やサント・ビクトワール山が見える。…