かつてのフランスではこうしたワインは非常に一般的でした。日曜の長い昼食の際、フォアグラやロックフォール・チーズとともに味わっていたのです。けれども、太るのではないかという不安や、砂糖の添加によってべとつく食感の低質なワインも出回り、次第に敬遠されていってしまいました。
とはいえそれは正当な評価ではありません。なぜなら自然な状態でできた貴腐ワインというのはエレガントで比類のない繊細さがあるからです。
貴腐ワインを生産するのは、他のワインよりよっぽど手間がかかります。収穫用の機械を使うなんて考えられません。ボートリティス菌がブドウに均質についてはくれないため、同じ場所での収穫を何度も行う必要があるからです。収穫は3度回ほど、段階的に続きます。ボートリティス菌は一般的なワイン生産者には恐れられるものですが、貴腐ワイン生産者にとっては別物です。しっかりチェックを重ねていれば、セミヨンやソービニヨン、ムスカデルについた貴腐菌は、酸を減らし、糖分をギュッと凝縮させてくれるのです。
収穫したブドウをタンクに移した後は3回ほど、段階的にブドウを圧搾します。いつだって最終回のものが糖分を最大限に含んでいます。それからステンレスタンクまたはフレンチ・オークの新樽でゆっくりと熟成させないといけません。
今日では貴腐ワインを生産している11の地区が減退に歯止めをかけようとしています。彼らはSweet Bordeauxという団体を設立し、若い世代に黄金のワインの繊細さを再発見してもらおうと、アペリティフのイベントなどを開催しています。貴腐ワインはデザートや、スパイスのきいた料理ともよく合うのです。
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ボルドー 貴腐ワインの生産者
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貴腐ワインと和食のマリアージュ@ボルドー
貴腐ワインと和食のマリアージュ@東京