5月21日、ボジョレーから10名の生産者が来日し、ボジョレーのクリュを紹介する試飲会が開催された。会場となったのは東京湾の船上で、クルージングしながらボジョレーワインを心ゆくまで楽しむという粋なイベントだ。首都圏が朝から大雨で、皆が雲行きを心配していたものの、奇跡的に雨は降り止み、船は無事出港した。
ボジョレー、といえばどうしても「ボジョレー・ヌーボー」というイメージがつきまとう。毎年11月に大手スーパーや酒販店がこぞって宣伝するからで、実際日本はボジョレー・ヌーボー輸出先の世界トップとなっている。しかし、ボジョレーで生産されているのはヌーボーだけでは決してない。新酒は生産量の3分の1に過ぎず、実際にはクリュ・デュ・ボジョレーと呼ばれる高品質なAOCワインが生産されており、パリのビストロでは随分前からこれらのクリュが注目されている。
美味しいワイン片手に船上で風に吹かれ、レインボーブリッジを眺めていられるというのはまさにフランス的な人生の楽しみ方だ。異国であえて船上パーティを開催し、2日間のためにフランスから来日したボジョレーワイン委員会の英断を讃えたい。ボジョレーのクリュはこのようにリラックスした雰囲気で、美味しい食とともに質の良いワインを味わいたいときに最適なアイテムなのだ。これからの季節、ちょっと一杯テラスで外の空気を感じて飲みたい時にもボジョレーのクリュは向いている。
船上ではボジョレー騎士団の就任式も開催され、今年は瀬川あずささんと、オザミワールドの代表取締役の丸山宏人さんが就任された。「ボジョレーを愛する気持ちは誰にも負けません」と語る丸山さんの店舗ではで20種類ほどボジョレーを扱っているという。11月のボジョレー・ヌーボーのシーズンには、パリ同様に1週間かけてヌーボーだけでなく、クリュの魅力を知ってもらうキャンペーンを展開し、ボジョレーが飲めるロンドンバスが都内を巡回するという。ボジョレーのクリュは価格も2千円代が多く、フランスワインの中では手頃で本当におすすめだ。たいていのワインショップを探すと1本は置いてあるから、ぜひ一度試してみてほしい。
今回の船上試飲会にはジョルジュ・デュブッフ氏の孫のアドリアンさんや、ピエール・フェロー社も参加した。ドメーヌ・ドミニク・ピロンのフルーリーは日本未輸出だが、モルゴンやサンタムールはアルカンのサイトで購入可能。