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ブルゴーニュ地方のワイン Le Bourgogne

ブルゴーニュワインが日本人に好まれるのは、繊細な味わいだけでなく、歴史やテロワールとの結びつきにもよるのだろう。というのもブルゴーニュワインの名声は、品種とテロワール、そして造り手とが合い重なって形成されているものだから。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン等の複数品種をアッサンブラージュするボルドーワインに対し、ブルゴーニュでは赤ワインにはピノ・ノワール、白ワインにはシャルドネの単一品種を使用する。ブルゴーニュ地方では白ワインが60%、赤ワイン40%の比率で生産されている。

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ブルゴーニュワインはヨーロッパとフランス の歴史に深く根ざした、世界で最も歴史あるワインのひとつ。千年前、まだ領主達の手に権力が委ねられており、フランス国家が小さな領地しか支配していなかった時代、僧侶達は修道院を建設した。ブルゴーニュではクリュニー会とシトー会の修道僧たちが品種を選び、土壌や気候の違いによってコート・ドール地区の畑 の境界を定めることで、偉大なワインのベースを築く。15世紀にフランス国王より強い権力を持っていたブルゴーニュ公爵の果たした役割も見逃せない。彼は ピノ・ノワールの価値を認め、ガメイという多産で現在ボジョレー地区の主要品種となっているブドウの栽培を禁止する。今日でもブルゴーニュのグラン・クリュは修道僧たちが区切った、石塀で囲まれた畑の小区画を継承している。石塀に囲まれた小区画は「クロ」と呼ばれる。

ブルゴーニュには、ピノ・ノワールに異なる表情を与えるバラエティ豊かな土壌や気候の違いがある。ブルゴーニュではこうした畑の小区画を「クリマ」と呼んでいる。グラン・クリュには600以上のクリマがある。
ボルドー地方のサン・テミリオンとは対照的に、ブルゴーニュワインの階層構造は昔から変わらない。ブルゴーニュには南北4つの地区にブドウ畑が広がっている。
北にまずシャブリ地区があり、その南にコート・ド・ニュイコート・ド・ボーヌからなるコート・ドール地区がある。その南にコート・シャロネーズ地区、一番南にマコネ地区がある。

ブルゴーニュには4つの階層から成る100以上のAOCが存在する。
ピラミッド型の階層の第1段目、ベースに位置するのがブルゴーニュ地方全域のブドウを使える「アペラシオン・レジョナル」で、ブルゴーニュの白、赤や、クレマン・ド・ブルゴーニュ(スパークリングワイン)などがある。

アペラシオン・コミュナル」は、階層の2段目。ブドウを収穫した村名が表示される。(ヴォルネイ、ポマール、ジヴレ・シャンベルタン等)

プルミエ・クリュ」は、階層の3段目。各村のクリマ名を持つプルミエ・クリュ。

グラン・クリュ」はブルゴーニュワインの最上級。ラベルからは村名が消え、グラン・クリュの名前のみが表示される場合が多い。(ロマネ・コンティ等)

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シャブリ

ブルゴーニュ地方の北部に位置するヨンヌ県 のシャブリ地区は、シャルドネから造ったシャープな酸が特徴的で、エレガントな辛口白ワイン、シャブリを生産。シャブリは特に魚介類によく合う。プチ・ シャブリは酸が活き活きして軽やかで、素晴らしい畑のブドウでできるシャブリ・プルミエ・クリュは他に類をみない火打石のニュアンスが特徴的。シャブリ近 郊には赤ワインのイランシーや白ワインのヴェズレーなどのアペラシオンも。

コート・ド・ニュイ

ここにはジヴレ・シャンベルタンやヴォー ヌ・ロマネ等、高名な村名を持つ赤ワインのアペラシオンが30近く存在する。北部ではマルサネがフィサンより軽やかなワインとして評価されている。その南 に位置するジヴレ・シャンベルタンは全て赤ワインの7つのグラン・クリュと多くのプルミエ・クリュをもつ、密度の濃いワインで知られている。モレ・サンド ニやシャンボール・ミュズニィは絹のようになめらかな赤ワインで知られる。クロで有名な小さなAOC、ヴージョも存在する。

コート・ド・ボーヌ
ボーヌの街の南側に位置するコート・ド・ボーヌは、ポマール、ヴォルネイ、ムルソー等、赤と白をバランスよく生産。プルミエ・クリュのあるムルソーや、ふくやかで繊細なモンラッシェなどの偉大な白ワインはこの地区から産出される。

コート・シャロネーズ
若いうちの引き締まったボディの赤ワインで知られるこの地区は、赤、白、ロゼを生産。ブーズロンは、ブルゴーニュ固有の白ブドウ、アリゴテから造られるAOC。リュリイやメルキュリーなどのAOC(赤・白)も知られている。

マコネ
ブルゴーニュ地方の一番南で、ボジョレーとの境界にある。ここではマコンという地方名のアペラシオンで一般向けの白ワインを産出している。ピュィイ・フュセのような上質な白ワインも存在する。

roche de Solutré

ビオには向かないブルゴーニュ

他のワイン産地と違い、ブルゴーニュではビ オワインを多く生産していない。毎年競売にかけられる有名なオスピス・ド・ボーヌのワインにしてもビオではない。生産者たちは湿気が多いブルゴーニュでの 病害虫や菌の繁殖を防ぐため、農薬を使わざるを得ないのだ。それぞれのブドウ畑が隣接していることで、病気に対抗する農薬を散布せざるを得ないとき、それ が隣のビオの畑にも影響を与えてしまい、生産者たちの不和の一因となっている。
ブルゴーニュの多くの生産者たちはビオへの 移行に躊躇している。というのも数年前から悪天候がブドウの樹を襲っているからだ。2014年の6月にも雹がいくつかのグラン・クリュの畑に被害をもたら した。貯蔵庫には沢山のストックがなく、ブドウの収穫量は減る。だからこそ、初年度が通常よりも30~50%収穫量が減るといわれるビオへの移行が難しい 選択なのだ。



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