ドメーヌ・ボリー・ラ・ヴィタレルのブドウ畑は森の中に存在する。四方を森に囲まれたこの醸造所は他とは随分様子が 違う。鳥のさえずり、樹々のざわめき、森の中にこつぜんと現れる小さな醸造所。そのすぐ横にはデッキチェアがプールサイドに並んでいる。あたりを一目見た ただけで、心地よい暮らしがあるのがすぐわかる。
オーナーのジャン=フランソワさんはビオワインで知られる人物。98年から有機栽培を始め、もう15年程になる。「ブドウ畑は全部で19ヘクタール。まわ りの山も合わせると60ヘクタールにもなります。このあたりはとても環境がよく、まわりに化学肥料を使う生産者は誰もいません。僕が造りたいのはテロワー ルを感じるワイン。そのためには土壌が重要なんです。土壌が元気で生き生きして、それを反映した質の高いワインを造るにはビオしかないと思って始めたんで すよ。」
畑を案内してもらうと土がふわっと柔らかい。昨日収穫が終わったばかりという畑には黒ブドウのモベードルが少し残る。「収穫は全て手摘みです。収穫時に 良くないブドウはその場で選別し、カゴで運んだらすぐにプレスにかけています。機械がだめというわけじゃないけれど、機械だと少しブドウも痛んでしまう し、土にも傷がついてしまう。やっぱり人手は全てにおいてより優しいと思うんです。」ドメーヌ・ボリー・ラ・ヴィタレルには白い石灰質土壌の「テール・ブ ランシュ」、小石の多い「クレス」それから「シスト」という、それぞれ土壌構成がまるで異なる3つの主要なテロワールが存在する。「この3つのテロワール をもとに、それぞれの特徴を活かした3つのキュヴェを造ります。同じシラーであっても、テロワールによって味わいがかなり違うんですよ。」黒ブドウは主に シラー、グルナッシュ、ムールベードル、白ブドウはクレット、ベルマンティーノ、ボーブラン、シュナンなど、多くの種類を栽培している。
醸造所には、ステンレス、コンクリート、プラスチックを加工したタンクなど、小ぶりのタンクが立ち並ぶ。キュヴェによっては樽醗酵も行うという。テロワールを大事にするため、醗酵は畑の小区画ごとに分けて行い、瓶詰めの1ヶ月前にアッサンブラージュする。
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