paris-bistro japon

シャンパーニュ・マスタークラスで出会ったおすすめシャンパーニュ

10月5日、東京の西麻布にて、シャンパーニュ・マスタークラスが開催された。シャンパンという愛称で親しまれているシャンパーニュは、フランス北部のシャンパーニュ地方で伝統的な製法で造られた発泡性ワインのみを指す。使用可能な品種はピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネの3種類のみで、主にモンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブランの3つの地区で生産されている。

今回のマスタークラスは、その中でもヴァレ・ド・ラ・マルヌの多様性を知るというもの。マルヌ川沿いに広がるヴァレ・ド・ラ・マルヌは、黒ブドウのピノ・ムニエの栽培が盛んな地域。生産者も数多く来日し、解説と細やかで的確なテイスティングを行ったのは銀座レカン、シェフソムリエの近藤佑哉さん。シャンパーニュの3つの品種のなかで「シャルドネは凛とした酸、ピノ・ムニエはまろやかさ、ピノ・ノワールはストラクチャーが特徴的」と近藤さん。各メゾンのブレンド比率を見ると、生産者の方向性がわかるという。

ここでは12種類のシャンパーニュを試飲した中で、特に印象的だった3種類をご紹介したい。シャンパーニュ・フィリップ・デシェル Champagne Philippe Dechelle「ブラン・ド・ノワール エクストラ・ブリュット Blanc de Noirs Extra Brut 2014」は、ピノ・ノワール100%でビンテージという贅沢なワイン。乾燥させたリンゴのような味わいのすっきりした酸が、心地よく目を覚ましてくれる。泡がとてもきめ細やかで、カモミールやローストアーモンドの香り。ふんわりした泡だちのバターやキノコのソテー、鶏のクリーム煮など、上質なバターを使用した料理と相性がよさそうだ。

次にご紹介したいのは、ロゼのシャンパーニュ。シャンパーニュ・ダニエル・ゲルボー Champagne Daniel Gerbauxは1901年から続く家族経営で、7haの畑を所有。環境配慮型の農業を実践し、フランス農業省による環境認証のHVE認証を2年前に取得した。「ル・ロゼ・ブリュット Le Rosé Brut」はピノ・ムニエ、ピノ・ノワール80%、シャルドネ20%。苺を思わせる華やかな香りで、ボルドーのクレレのように、赤ワインに近い味わいがある。泡はムースのように滑らかで、ストラクチャーもしっかりしている。後味に心地よい渋みが感じられ、表面を香ばしく焼き上げてスパイスを効かせた鶏や牛肉のグリルによく合いそうだ。

最後におすすめなのが、「シャンパーニュ・メテエ・ペール・エ・フィス Champagne Météyer Père et Fils」の伝統的なシャンパーニュ。こちらは1860年から続くメゾンで、現在は5代目のフランクさんが生産者。シャンパーニュ地方ではブドウを栽培してネゴシアンに売る生産者も多いなか、こちらのメゾンは独立して栽培から醸造まで行っている。環境にも配慮し、フランス農業省による環境認証HVEを取得。量よりも質を重視し、厳選して収穫したブドウのうち、一番搾汁のテット・ド・キュヴェのみを使用している。10種類のキュベがある中、最も歴史的なキュベ、「カルト・アルジャン レゼルブ Carte Argent Réserve」はピノ・ムニエ34%、ピノ・ノワール33%、シャルドネ33%。泡が驚くほどきめ細やか、シームレスで非常に心地よい。一番搾汁のみを使用しているだけあって、後味にもえぐみ等がなく、まさにピュアな味わい。非常にエレガントなので、繊細な味わいを大切にしたフランス料理や懐石料理にも合いそうだ。こちらのメゾンはシャンパーニュ地方をユネスコの世界遺産に登録する際にも貢献したことで知られ、シャンパーニュはヴェルサイユ宮殿やエリゼ宮にも納品されているという。来日したアンナさんのおすすめは、青いボトルが特徴的なキュヴェ・マリンCuvée Marine(写真参照)。華やかでフルーティ、うまみやコクが感じられ、日本の出汁が効いた料理にも合いそうだ。着物も日本の芸術も好きというアンナさん。日本が世界に誇る繊細な味わいに、シャンパーニュ・メテエ・ペール・エ・フィスのシャンパーニュはとてもおすすめだ。

Champagne Philippe Dechelle

Champagne Daniel Gerbaux

Champagne Métier Père et Fils

By Miki IIDA

【関連記事】

シャンパーニュの製造方法

発泡性のシャンパーニュの誕生

Quitter la version mobile