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ボルドー 貴腐ワイン シャトー・ピアダ Château Piada

piada_sauternes4シャトー・ピアダはバルサックにひっそりとたたずんでいる。13世紀から続く歴史、素晴らしい貴腐ワイン、どこをとっても温かみのあるアーティスティックな外観。けれどもシャトー・ピアダは主張しない。まるで自分の価値を認めてくれる誰かがいつの日かやって来るのを、大した期待も抱かず待っているかのようだ。
オーナーのフレデリック・ラランドさんはこの先の予定について「まあ定年になったら売るかもね」とそっけなく語る。その語り口からは想像もできない程に味わい深いワインがここにある。

どこまでも続く目の前の平地には8ヘクタールの畑が広がっている。畑に足を踏み入れると驚くのはブドウの質だ。貴腐ワインって黒ブドウだったかしら?と思うほど、白ブドウだったはずのブドウが均質に黒くなっている。貴腐菌がついたブドウは、粒ごとに成熟具合がまちまちということはなく、しっかり一房上手に色が変わっている。粒のまわりはほこりのような灰色の菌で覆われている。手で収穫したブドウを背負い籠から大きな容器に移し替える時、付着した菌が舞い上がり、そこにはぶわっと煙があがる。フレデリックさんいわく、「煙がでるのは美味しい証拠。」シャトー・ピアダではブドウの中身がジャム状になったものしか収穫しないため、収穫を5回ほどにわけて行うそうだ。

 

 

シャトーに戻って熟成庫を見せてもらう。2日前に樽に入れたばかりというワインはまだブクブク泡が立っている。熟成庫や試飲室には至る所に絵が飾られ、アーティスティックな雰囲気が漂っている。隣にあったワインの貯蔵庫は近年放火にあったという。大切にしていた沢山のワインが水の泡になってしまった悔しさ。フレデリックさんには他にも苦々しい思い出がある。だからもう表舞台には立ちたくない、と思う一方で、その悔しさや情熱をワインづくりに静かに捧げているのだろう、彼のワインはどれも驚く程の味がする。

「ル・オレ・ドゥ・ピアダ Le Hauret du Piada」 はハチミツのような黄金色。なんて美味しい!という以外に言葉が出てこないほど、素晴らしい味わいで後味も心地よい。「シャトー・ピアダ Châteu Piada 2006 AOC Sauterne」はコニャックにも近い芳醇な香りが口一杯に広がった後、様々な味がゆっくりと花開く。やわらかい甘さ、最後にはほんのりとミネラル感。飲み込んでしまうのがもったいない程にゆっくりと味わいたくなる貴腐ワイン。ブドウという果物からこんなにも芳醇な味わいが生まれるものかと驚きを隠せない。
シャトー・ピアダのワインからは、もの静かなフレデリックさんが内に秘めた情熱がワインを通して飲み手に伝わるように思う。マリアージュよりもワインそのものをただゆっくりと味わいたくなる、非常に深みのある貴腐ワイン。一人でそっと物思いにふけりたい夜、創作活動に行き詰まってしまった時など、このワインはきっと力になってくれるだろう。

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シャトー・ピアダ Château Piada
Lalande et Fils
Allée du Château 33720 Barsac
05 56 27 16 13
http://www.chateau-piada.com

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