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コート・ド・ブール シャトー・マルティナ Château Martinat

ポツリ、ポツリと雨音が天井に響く中、薄暗い空間に蝋燭の大きな炎が揺らめいている。その後ろには樽で熟成中のワインが静かに眠る。いくつもの蝋燭の光の下、赤黒く映るワインを静かに注いでもらう。グラスを鼻に近づけただけで、香りがスッと立ちのぼる。このワインはただものではない、それがすぐに伝わってくる。ワインというのはきっと造り手に似るのだろう、ふとそんなことに気がついた。

 

 

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シャトー・マルティナのステファンさんは見るからに繊細そうな人物だ。初対面の印象は、ワイン生産者というより小説家か哲学者。優しそうな目の奥には物事の本質をとらえる鋭さが感じられる。ステファンさんはもともとはパリで働いていたが、20年程前にこちらのシャトーを購入。ボルドーのコート・ド・ブールで質の高いワインを生産し続けている。醸造所には昔ながらの四角いコンクリートのタンクが並ぶ。「シャトー・マルティナ」はまずこちらのタンクでアルコール醗酵させて、屋根が高い先程の熟成庫にて14ヶ月新樽で熟成されている。ほんの4ヘクタールの畑でとれたブドウだけでつくられる「エピキュリア」は、早いうちから批評家達に絶賛されたとあって、シャトー・マルティナは世界的に有名だ。そのため世界の輸入業者がここを訪れ、ステファンさんはこの場所で自らのワインを語るという。ソファーすらあり、蝋燭の光と美味しいワインでつい緊張もほぐれてしまう。真剣にワインの味と向き合うだけの空間とは明らかに趣向の異なる試飲室。ワインはただ香り高い飲み物なだけでなく、哲学的思索を深め、舌を喜ばせ、笑顔を生み出し、人生の味わいを増すのに欠かせない・・・訪れた者をそんな気にさせる豊かな時が流れている。

蝋燭の火の下、注がれた「シャトー・マルティナ 2009」は決して期待を裏切らない。鼻を近づけた瞬間にグラスから立ちのぼるフローラルな香り、ブラックチェリーのようで繊細な味わい。こくがあり、柔らかな肉料理やスモークチーズにも合いそうだ。ほんのりとスバイシーで後味はすっきり。こちらは70%メルローで、20%がカベルネ・ソーヴィニヨン、10%がコート・ド・ブールに特徴的なマルベック。世界15カ国に輸出しているという「シャトー・マルティナ」は日本でも購入可能。ステファンさんは毎年3月に幕張メッセで開催されてるFoodex JAPANにも3年続けて参加している。シャトー・マルティナとともに来日する数々のコート・ド・ブールの素晴らしいワイン、是非味わってみてほしい。

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