11月10日、東京、渋谷でブルゴーニュ、フランシュ・コンテ地方の魅力を伝えるプレスイベントが開催された。ブルゴーニュにとって日本は重要であり、コロナが始まる直前まで来日し、外国人向けの規制が解除されて真っ先にやって来たのはブルゴーニュ、フランシュ・コンテ地方の使節団。
ブルゴーニュといえばワインであり、ブルゴーニュのクリマとワイン産地は2015年にユネスコの世界遺産に登録された。ガストロノミーでも名高く、2022年にミシュランの星を獲得した店は38軒も。格式高い店からカジュアルなビストロまでさまざまなタイプの店が揃い、日本人シェフが星を獲得した店も3軒あるという。ブルゴーニュ地方の首都、ディジョンは中心市街地を完全に歩行者空間化し、トラムや貸自転車などを整備した先進的な街としても知られている。
中世の街を散歩しているかのような、心地よい静けさを味わえるディジョンの街に今年の5月、ガストロノミーの聖地、「ディジョン美食・ワイン国際博物館」、La cité internationale de la gastronomie et du vin de Dijonが誕生した。2010年にフランス料理がユネスコの無形文化遺産として登録されたことを機に構想された博物館は、フランスの食に関する全てが揃う。元病院を改装して作られた広大な敷地内には、食に関する展覧会のスペースや、ワインのカーヴ、ブルゴーニュ・ワインはじめ世界のワインの試飲、レストラン、ビストロ、料理専門の本屋などが立ち並ぶ。2023年の10月には1週間、和食や盆栽はじめ、日本に関する展覧会も開催。博物館はディジョンの中心地と駅の間にあり、駅から徒歩で行ける距離にある。
ブルゴーニュ、フランシュ・コンテ地方の名産品は、ブルゴーニュワインだけでなく、ディジョンのマスタード、コンテチーズ、ヴァン・ジョーヌで有名なジュラ・ワイン、アニス入りのキャンディ、アニス・ド・フラヴィニーなどが有名だ。ディジョンではマスタードづくりの体験もでき、コンテにはメゾン・ド・コンテという博物館もあるという。
日本でもファンが多いコンテ・チーズはフランスでもダントツの人気を誇り、AOPチーズの中で生産量がトップだそう。ホールのコンテチーズを見たことがある人は稀だと思うが、コンテは直径60cm、高さ10cmで、重さは約40kgもある。これほど大きなチーズをひとつ作るには牛20頭分のミルクが必要で、昔から酪農家、チーズ職人、熟成士が地域で協力しあって作ってきたという歴史がある。
コンテは熟成度合いが上がるにつれて値段も上がるが、それもそのはず、熟成度合いを実際に比べてみると味わいが全然違う。熟成が上がるにつれ、水分が減ってチーズは固くなり、凝縮感と濃厚なコクや風味がどんどん増していく。そんなコンテに一番合うワインはジュラ・ワインだそう。
ブルゴーニュ・ワインを現地で楽しみたい方には、ディジョンの観光局から予約できるワイン産地のツアーも数多くある。ブルゴーニュにはワイン街道が5つあり、一番有名なのはディジョンからサントネーまで70km続くグラン・クリュ街道。ブルゴーニュワインの良さは味わいだけでなく、生産者が非常にあたたかくもてなしてくれること。350以上のワイナリーが受け入れを行なっており、ブルゴーニュ特有のクリマを肌で感じるためには、車だけでなく、自転車や徒歩での散策がおすすめだ。
ブルゴーニュ、フランシュ・コンテ地域圏議長のマリー・ギット・デュフェさんは「ここには日本人がフランスに求めているものが全て詰まっている」と力説する。2023年にはブルゴーニュ・ワインの三大生産地を舞台にした文化・観光プロジェクト、「ブルゴーニュのワインとクリマ博物館Cité des Climats et Vins de Bourgogne」がボーヌ、マコン、シャブリにて始まる予定。次回フランスを訪れる際はぜひ美食とワインの中心地、ブルゴーニュ、フランシュ・コンテ地方を訪れてみてほしい。
By Miki IIDA
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