5月21日、東京のホテルオークラにてボルドー、サン・テミリオンの格付けシャトーが集まるサン・テミリオン・グラン・クリュ・クラッセワイン試飲会が開催された。会場には18のブースがあり、業界関係者たちが生産者と会話しながら、真剣な表情でグラスを傾けていた。今回試飲が行われたのは2008年と2010年のヴィンテージ。数ある中で特に印象深かった3シャトーを紹介したい。
シャトー・ダッソーの2008年は香り高く、口当たりがフレッシュで、しっかりしたボディとエレガントさを合わせ持っている。シャトー・ダッソーはサンテミリオンに24ヘクタールをもつシャトー。こちらはブドウ収穫は全て手摘みで14~15ヶ月間樽熟成をさせている。新樽の比率は85%。「瓶詰めする直前まで、畑の区画や品種ごとに別れて熟成させることで、細かい味わいに最後までこだわれるのよ。」と生産者のローランスさん。品種はメルロー65%、カベルネ・フラン30%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%。プランタン銀座や楽天などで手に入る。こちらのシャトーが所有しているシャトー・フォーリー・ドゥ・スシャールの2008年は、口当たりがスッキリ、フレッシュなのが特徴的。タンニンはしっかりしているのにさわやかで飲みやすい。
さわやかな水色のラベルがひときわ印象的なシャトー・フォジェールの2008年は口に含むと味わいが口一杯に広がっていく。口当たりがやわらかく、甘みを感じるが、タンニンも豊かで後味はしっかり。サン・テミリオンらしいワインが並ぶ会場内で、ハッとさせる味わいのあるワイン。こちらは37ヘクタールとサン・テミリオンでは大規模だが、ブドウ栽培に非常に気を使い、農薬や化学物質を使わずに育てているという。ビオとしての認定は受けていないものの、環境マネンジメントシステムの国際規格、ISO14001を取得しており、厳しい環境基準の中でブドウを育てている。ブドウは全て手摘みで、最先端の機械を使用してブドウを選別し、樽醗酵も行っている。2008年の品種はメルロー85%、カベルネ・フラン10%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%。楽天などインターネットサイトで入手可能。
18あるブースの中で一番最後に位置していたシャトー・ヴィルモリーヌは7ヘクタールという小さなシャトー。こちらの2010年のワインはグラスに注がれた瞬間から熟れた果実の香りが豊かに広がる。女性的な柔らかさを感じさせるワインで、口の中で様々な味わいが穏やかに変化していく。品種はメルロー95%、カベルネ・フラン5%。2008年のワインは12000本のみと小規模生産だったため、フランスにもう6本しか残っていないという。フランスでは1本約45ユーロ。日本では銀座のレストラン、ベルジュにて味わえる。