ワイン、ハム、チーズなど、日本に輸入食品は数あれど、どれをとっても素晴らしいという訳ではありません。スーパー等で、手の届く値段の輸入食品に挑戦したのもの、あれ、こんな味だったかな・・と思わされるのもよくあること。とはいえ、食の展示会まで足を運べば、「これは!」という味に出会えるものです。素晴らしい味わいなのに、日本ではまだほとんど触れることがないという製品はまだ多いもの。今回はFoodex Japanで出会ったとびきりの味をご紹介します。
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3月5日から8日まで開催されていたFoodex Japanはアジア最大の食の展示会。国内外あわせて2500社以上が参加し、幕張メッセまで足を延ばした来場者は4日間で7万人を超える程。Foodexは、誰もがより一層のビジネスをもとめて参加する、出展者、来場者ともにかなり気合いの入った展示会なのです。フランスからの出展企業は72社。広大な会場内で約4時間、これは!と思えるチーズやワイン、フランス的なものを探し求めました。
まずひときわ印象的だったのが、「薬糧開発株式会社」さんのブースで試食したモッツァレラ。モッツアレラチーズといえばあまり味がしない、というイメージでしたが、これは違う。不思議なことに口に入れた瞬間、噛む前からもうただ者ではないことがわかってしまうのです。上質なお団子のような柔らかさとモッチリした弾力、しっかりしたコクと、ほどよい塩気を感じる味わい。「ポンテレアーレ」というイタリア産のこのチーズは100%水牛の乳だけを使用。水牛にストレスを与えず、飼料や環境からこだわることで上質なチーズをつくることが可能となったのです。あまりにハッとさせられる味わいなため、Foodex内で一度試食したチーズ業者の方が社長さんを引き連れて戻って来ることもあったとか。しっかりとしたコクと味わいがチーズ自体にあるため、トマトとほんの少しのオリーブオイルを合わせるだけで本当に絶品になりそうです。このチーズ、現在は渋谷西武百貨店の地下やヒカリエの地下で購入可能。1つ1300円以上するにも関わらず、年末年始には店頭から品物がなくなるほど人気だったそう。
お次は生ハム。フランスの数あるブースの中でもひときわ行列が目立っていたのは、ピエール・オテイザさんの生ハムがあるブース。フランスで非常に有名な豚肉加工製品の生産者、オテイザさんは、自ら生ハムやソシソンを切り分け、沢山の人に笑顔で試食を勧めていました。5年前から日本に進出しているというオテイザさんの生ハムは、さらりとした上質な味わいで、後味もすっきり。生ハムやサラミにありがちな脂の重さを少しも感じず、いくらでも食べられそうな軽やかさがあるのです。最近では日本のパン屋さんが本格的なフランスパンのサンドイッチをつくるためにこの生ハムを使い始めたそう。「研究熱心な日本のパン職人たちはバスクのメゾンまで見学に来たんだよ」と嬉しそうに話してくれたオテイザさん。カリッとした皮のバゲットに、うっすらと塩気を感じる、とろけるような生ハムは、想像しただけでも美味しそう。「日本は僕にとって魅力的な国なんだ。日本人は本当に質のいいものをきちんと愛でてくれるからね。」フランスでもあえてスーパーなどには卸さず、自社ブティックや選び抜かれた店にだけ製品を置くオテイザさんの肉製品。日本では紀伊国屋、サンドイッチはビゴの店などで購入することが可能です。
チーズに生ハムがあれば美味しいワインが欲しいもの。フランスブースは今年も半分以上がワインという印象。山ほどワインの瓶が立ち並ぶ中、ひときわ印象に残ったのは2つのワインメゾンでした。
1つ目はシャブリを生産しているDomain Jean-Marc Brocard(ドメーン・ジャン・マルク・ブロカール)というメゾン。何種類も試飲した中、こちらのワインは口に含む前からグラス一杯にふわっと香りが漂いました。これはただ者ではない・・その印象は間違いなく、口一杯に海の香りのようなふくよかな味わいが広がります。葡萄からできているのに磯の香りを思い起こさせるこのワイン、新鮮な魚介類ととても合いそう。日本でも有名なシャブリですが、シャブリにはシャブリ地区という大きな地区だけでなく、より等級の高いプルミエ・クリュという地区、そして最上級のグラン・クリュという畑があり、こちらのグランクリュはブグロという丘で収穫された葡萄を使用。グラン・クリュは鋭さや冷たい印象が一切なく、ふくよかな味が口一杯に広がります。このワインはパテやソシソンなどの肉製品ともとてもよく合い、お互いの味わいを引き立て合って、幸福な時間をもたらしてくれる程。一杯のワインでここまで食卓が味わい豊かなものになるのか、と思わされたワインです。
約4時間、ひたすら歩き、試食を重ねた中で、最後の最後に出会った極上ワインがありました。ラベルからして美しく、ひときわ目を引くスラッとしたスタイルのアルザスワイン。そこには「ゲヴルツトラミネール」の名。これは格好の機会!と試飲させてもらうと、口一杯に幸せな甘い香りが広がります。極上の葡萄を丸ごと口に含み、ゆっくりとかみしめた時のような味わい。甘いのに後味がとてもさっぱりしていてついもう一口欲しくなってしまいます。こちらはCave de Ribeauvillé(カーヴ・ドゥ・リボヴィレ)というアルザスのメゾンで、一社で約60種類の異なるワインを生産しているそう。沢山の人が試飲していたリースリングも非常にすっきり、さっぱりとした味わいで、飲んだ後さわやかな気分になる程でした。このメゾンのワインはどれも非常に質が高く、グラス片手に何種類も試飲しようとする人たちでブースは賑わい、隣り合った人と、これは美味しい、いやあれも、是非飲んでみて!と会話に花が咲きました。こちらのワインはフランスでは5ユーロから25ユーロ程度の値段で、まだ日本では発売されていないそう。こんなにも美味しいゲヴルツトラミネール、次に出会えるのがいつかわからないというのは本当に残念。日本での販路を探しているそうですので、アルザスワインに興味がある方には是非試してほしいメゾンです。
本当に美味しいもののまわりには自然と人が集まり、「これは素晴らしい!ぜひ味わってみて!」と見知らぬ人との話も弾みます。日常に幸せのひとときを加えてくれる、生産者の思いがつまった本当に美味しいものたち。そんな製品が展示会でだけでなく、より一層私たちの身近になる日が早く来てほしいものです。
ピエール・オテイザさんの商品 エモン トレーディングカンパニー http://www.aimons-net.com/
シャブリ Jean-Marc Brocard www.brocard.fr
アルザスワイン Cave de Ribeauvillé www.vins-ribeuville.com