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2017年のボジョレー・ヌーヴォー Beaujolais Nouveaux au Japon en 2017

11月の第3木曜といえばボジョレー解禁。空輸されるワインとともにボジョレ・ワイン委員会会長、ジャン・マルク・ラフォン氏も駆けつけて、表参道のCOMMUNE 2ndでボジョレ祭りのオープニングセレモニーが開催された。「ボジョレー・ヌーヴォーは今年で67年目を迎えます。今年はボジョレーの原点である、和気あいあいとしたお祭り気分に立ち返って、若者の多い表参道でボジョレ祭りを開催することにしたのです」とラフォンさん。ワイン好きの歌舞伎役者、二代目尾上松也さんもオープニングに駆けつけて、ボジョレー・ヌーヴォーで乾杯した。

「11月の酉の市と同じように、ボジョレー解禁の時期が来ると秋が来たんだなと感じます」という尾上さん。すっかり秋の風物詩の仲間入りをしたボジョレーだが、ボジョレ委員会のラフォンさんにとって、この時期決まって繰り返される質問は「今年のビンテージは?」ということだ。「2017年はフランスのワイン生産者にとって大変な年でした。春には霜の被害があり、夏には雹が降った地域もありました。けれども乾燥が強く、雨が少なかったおかげでブドウの実は2016年よりも凝縮して糖度も上がっています。だから今年のボジョレは色がより深く、凝縮した果実味があり、包み込むような寛大さのあるワインに仕上がっています。」注がれたボジョレーは確かに新酒とは思えないほどしっかりした色合いで、いちごジャムのような甘い香りがふわっと立ち上る。口当たりはソフトだが、ふくよかで心地よい味わいが広がっていき、なるほど今年のボジョレーは良さそうだ、と思わせる。

フランスでも解禁日から数日間は各地でお祭りが開催され、そのお祭り気分はまるでクリスマス前にサンタが到着したようだというラフォンさん。けれどもボジョレーにはヌーヴォーだけでなく、様々な表情があると伝えることは忘れない。「ボジョレーにはヴィラージュや、素晴らしい品質をもつボジョレーのクリュなど、多様なワインが存在します。コストパフォーマンスが素晴らしいボジョレーのクリュは、高品質の料理を手頃な価格で提供しようとする「ビストロノミー」と呼ばれるタイプのレストランやビストロでも重宝されています。4週間前にベルギーでソムリエなど、プロ向けに行ったブラインド・テイスティングでは、私の造っているボジョレーのクリュ、「ムーラン・ナ・ヴァン」がブルゴーニュの高級産地のワインだと思われだんです」と嬉しそう。フランスではボジョレー生産量全体の40%をクリュが占め、その知名度は年々上がっているものの、ボジョレー・ヌーヴォー輸出先世界一の日本では、残念ながらクリュは全体量の3%。その理由はおそらくボジョレー・ヌーヴォーのイメージが強烈すぎるからだろう、とラフォンさん。

フランスでは第3木曜はボジョレー・ヌーヴォー、でも11月はボジョレーのワイン全体を楽しみましょうという戦略に変え、双方を打ち出すことにした。日本でも数日間の新酒のお祭り気分が終わったあとは、ちょっと落ち着いた気分になってボジョレーのクリュを試してみたらどうだろう?ブルゴーニュにひけをとらない味わいの、素晴らしいガメイが存在することにきっと驚くことだろう。その前にまずは、2017年の秋を感じるボジョレー・ヌーヴォーで乾杯だ。

BEAUJOLAIS MATSURI ボジョレ祭り
開催場所:COMMUNE 2nd(表参道駅 徒歩1分)
開催期間:2017年11月16日(木)から18日(土)まで 11時〜21時
ボジョレ・ヌーヴォー、ボジョレ・ヌーヴォー・ヴィラージュのグラス販売(300円〜)
アーティストによるライブパフォーマンスなどが楽しめる

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