ローズ・ベルヴュに到着すると、バラ色の可愛らしい建物と手入れされた花々が迎えてくれ、ここが愛されている場所なのがよくわかる。コート・ド・ブライでは若い世代の生産者が活躍しており、40代のジェローム氏と、妻のヴァレリーさんはまさにその世代を体現する。
「ボルドーっていうと伝統的なシャトーのように高貴でブルジョワなイメージだけど、実際にはボルドーの4分の3の生産者はそうじゃないのよ。それにワインが重たすぎると食事とのバランスが崩れて飲みきろうっていう気になれないでしょう?私たちが造りたいのは食事に合って、友達とリラックスする時に会話を楽しめる気軽なワインなの」とヴァレリーさん。ジェローム氏はシャンパーニュやオーストラリア、チリなどで、彼女もアメリカやオーストリアなど、ボルドー以外のワイン産地で働いてきた経験を活かし、オープンな考えで従来のボルドーとは異なる試みに挑戦中だ。
彼らが特に力を入れているのが「ヴィニフィカシオン・アンテグラル」というものだ。これは1つの新樽で醗酵・熟成させる方法で最上質のワイン用。まずは樽の蓋を取り除き、樽を縦にしてブドウを入れ、そこでマセラシオンし、醗酵させる。人の背丈より小さい400リットルの樽を使用するため、巨大なステンレスタンクに比べて目も行き届きやすく、現在の状態をチェックするもの簡単だ。浮いてきたブドウの皮や種など固形物とその下にあるブドウの汁をしっかりと混ぜるピジャージュも人の手で行える。醗酵が終わった後は不純物を取り除いてから樽屋を呼び寄せ、再び蓋をしてもらい、18ヶ月熟成させる。「ステンレスタンクというのは固い靴のようなもの。ステンレスではワインはうまく呼吸できません。それに対して木樽には帰宅して履くスリッパの柔らかさ、ほっとする心地よさがあるんです。樽の中だとワインも呼吸できるんですよ」とジェローム氏。この方法により、樽香がワインに移り、チェリーの入ったチョコレートボンボンのような味わいが生まれるという。
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ジェローム氏の造る白ワインは評判高く、香り豊かで軽やかさがあり、生牡蠣と合わせると最高だ。白の »Prestige 2013″はソービニヨンブラン80%、ミュスカデル20%で、新樽で醗酵させ、5ヶ月樽熟成させている。こちらも非常に香り高く、コクのある味わいでほんのりとスモーキー。魚のグリルや香ばしいものによく合いそうだ。赤の »La Rose Bellevue Prestige 2010″も非常に香り高い。口に含むと柔らかく、タンニンもほどほどで後味はほんのり甘い。こちらはメルロー75%、カベルネ・ソービニヨン25%。 »La Rose Bellevue Prestige 2007″はさらに香り高く、より柔らかくなっている。丸みがあって繊細で、ほんのりとスパイシー。「ワインは集まって会話を楽しむためにある」というヴァレリーさん。こんなに素晴らしいワインを口に含めば自然と会話も弾んでしまう。ローズ・ベルビューの白ワインは東急百貨店日吉店などで入手可能。