約10年ぶりにFOODEXに登場したという「アニス・ド・フラヴィニー」もまた、1591年の創業以来、大鍋をゆっくり回転させてお菓子を作り続けている会社。風情溢れるレトロな缶に入った乳白色の小粒の玉は、アニス入りの小さな飴だ。高速道路の売店や空港など、フランス各地で販売されているため、さぞかし大きな会社なのかと思いきや、社員30名程の小さな会社なのだという。製造は今でも修道院の中で行われ、アニスの種を中心にして、15日間じっくりと鍋を回転させて、少しずつ砂糖で衣がけをする。原材料は、アニス、砂糖、天然の香料のみと、いたってシンプル。丁寧に作られた商品は、飴だけでなく、パッケージまで全てフランス製。気品ある白い玉を口に含むと優しい甘みと香りがふわっと広がる。疲れたときや雑踏でのストレスも、これ1粒で吹き飛ぶようなさわやかな気分になれる。日本でも成城石井や雑貨店などで販売されており、一箱500円程度。飴にしては高価だが、一度この味を知ってしまうと、この値段でもつい手を伸ばしたくなる程幸せな味。フラヴィニー村は著名な映画『ショコラ』の舞台となったことでも知られ、現在でも映画のような静かな空気が漂うとという。ブルゴーニュ地方のディジョンから車で1時間程度で、製産の見学、試食も可能(無料)。ブルゴーニュ訪問の際は是非訪れてみてほしい。
年々賑わいを増すFOODEXで、より一層進化していたのがイタリアブース。イタリアで焙煎された豆を使ったエスプレッソが試飲できるコーナーも併設され、バリスタたちが忙しく動き回る。こちらではマシンを提供している第一電化社主催のラテアート体験講座も開催された。ラテアートを作るには、まずはカップにエスプレッソを抽出し、別の容器にミルクに空気を入れて温め、膨らませて撹拌する。温めたミルクをエスプレッソの上から注ぐ時、ミルクをエスプレッソの下方向に流し入れて水面を上げ、絵を書き始める瞬間にミルクをカップにぐっと近づけ、向こう側に向かってスッと線を描いていく。そうするとエスプレッソの茶色の上にミルクの白い丸ができ、その真ん中に線を引くことでそれがハートになるという。言うは易く、行うは難しで、失敗すると茶色の上に白い丸だけが浮かんでしまう。その見た目は美味しそうではないものの、果たして見た目と味に関係はあるのだろうか?「ラテアートを成功させる条件と、美味しいラテを作る条件はぼぼ同じ。だからラテアートの上手い人が作ったカフェラテの方が味も美味しいといえると思います。」と指導してくれた第一電化社の上田さん。自分でエスプレッソの豆をひき、ミルクをあたため、ハートをつくり、絵を描くところまで体験すると、いかに難しいかがよくわかる。最後はジャパン・ラテアート・チャンピオンシップに出場したプロの実演。もちろんその技術は雲泥の差で、ミルクの線が幾重にも折り重なり、気付けば鳥ができている。「ここにちょっと色を加えると一気に可愛くなるんです」と顔を描いてほっぺたをシロップで赤くする。お客様が喜んでくれるように、という想いをこめて作られるカフェラテは、飲む人を幸せにしてくれる。FOODEXには心をこめて作った商品をとにかく一度味わって欲しい、という生産者やその想いを支える業者が世界中から一同に集まる場。食品の良さは味わってこそわかるもの。行けば必ず発見があるFOODEX JAPAN、毎年3月に開催されるので、食に関わる方は是非足を運んでみてほしい。
コンフィズリー・アダム
http://www.dragees-adam.fr
アニス・ド・フラヴィニー
http://www.anis-flavigny.com/index5.html
エスプレッソマシン専門店 第一電化社
http://www.daiichi-mottainai.com