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ボルドー右岸 サン・テミリオンのおすすめワイン生産者 Bordeaux St Emilion, Grands Crus Classés

ボルドー右岸のサン・テミリオンと聞くとどんなイメージを抱くだろう。美しい産地で造られる高級ワイン?美味しいけれどもスノッブで近寄りがたい、いわゆる高級ボルドー?実はサン・テミリオンには家族経営の小規模のシャトーが多く、潤沢な資金と最新の技術を生かして理想の味わいを追求し、日々努力を惜しまない情熱的な生産者が存在する。サン・テミリオンと書かれたワインははずれる確率が少ないとはいえ、サン・テミリオン衛生地区からグランクリュまで、実際には様々なレベルのワインがある。その中でも特別クラスのサン・テミリオン・グラン・クリュ・クラッセの試飲会が5月23日、東京、渋谷で開催された。16のシャトーと生産者が参加した中でも、特に印象に残ったワインを紹介したい。

シャトー・フォンロックは1931年創業、栽培面積17.6ヘクタールという、家族経営の小規模シャトー。こちらのワイン「シャトー・フォンロック Château FONROQUE 2014」はグラン・クリュ・クラッセの中でもひときわ優雅でなめらかだ。黒ブドウ品種のメルローが主体で造られるサンテミリオンのワインは女性を思わせるなめらかさやエレガントさが特徴とはいえ、このワインのしなやかさは会場内でもトップクラスで、口いっぱいに優雅で柔らかい味わいが広がっていく。その秘訣は何かと尋ねると、実はこちらはサン・テミリオンでも初期に有機栽培に移行し、2006年にはブドウ畑全てが有機栽培(アグリクルチュール・ビオロジック)認証に、2008年にはビオディナミの認証まで取得したというこだわり派。「ボルドーは湿気が多く、虫もつきやすいからビオディナミにするのは手間もかかるし簡単ではありません。ビオディナミはホメオパシーのように、植物自身が病気を予防し、自分で戦う力をつけるもの。ビオディナミにしてからフレッシュ感やミネラル感がより感じられるようになり、味わいも良くなったんです」とシャトー・フォンロックのカロリーヌさん。こちらはフランスでの価格は約35ユーロで、日本にも輸出しているという。

また、家族経営で栽培面積18ヘクタールというシャトー・ジャン・フォール(Château Jean Faure)のワインも絶品だ。こちらは他のサン・テミリオンのワインに比べ、少しスパイシーなニュアンスがある。その理由を尋ねてみると5%マルベックを使っているからだという。とはいえ、このワインの凄さは独特のスパイシー感だけでなく、複雑な味わいが絶妙なバランスをとって、味わい深い豊かなワインになっていることだ。メルローは45%だけにとどめ、カベルネフランを50%も使用しているため、カベルネフランの繊細な優しさと、メルローのふくよかさが絶妙な味を醸し出しす。シャトー・ジャン・フォールも2017年に有機栽培の認証を取得。日本へ向けては残念ながらまだ輸入業者を探し中とのことで、フランスでの小売価格は約50ユーロ。50ユーロというのはサンテミリオンのグランクリュ・クラッセでは平均的な価格だが、このワインはそれだけの価値がある美味しさだ。日本では広尾のレストランひらまつで味わうことができ、パリではボンマルシェや数店舗のモノプリでも見つけることができるという。

会場には閉会1時間前に完売したクロ・デ・ジャコバンのティボーさん夫妻の姿もあった。栽培面積8ヘクタールで、生産量も4万本という小規模の生産者だが、こちらのワインも非常に香り高く、エレガントで濃厚な味わいだ。ネゴシアンを通してその4万本は世界中に分配されてしまうそうだが、日本でもYamayaなどで手にすることができるという。サン・テミリオンにはグランクリュクラッセといっても家族経営でこだわりをもって根気よく丁寧なワインを生産をし続けている人たちがいる。フランスでの価格が35ユーロから50ユーロというのはかなりの高級ワインだが、これだけの味わいが保障されているのであれば、安ワイン3本と引き換えに買う価値があるだろう。大切な人と過ごす特別な日を考えて、とっておきのサン・テミリオンを持っておくのも悪くない。

Château FONROQUE
Château Jean Faure

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