シャトー・フォンロックは1931年創業、栽培面積17.6ヘクタールという、家族経営の小規模シャトー。こちらのワイン「シャトー・フォンロック Château FONROQUE 2014」はグラン・クリュ・クラッセの中でもひときわ優雅でなめらかだ。黒ブドウ品種のメルローが主体で造られるサンテミリオンのワインは女性を思わせるなめらかさやエレガントさが特徴とはいえ、このワインのしなやかさは会場内でもトップクラスで、口いっぱいに優雅で柔らかい味わいが広がっていく。その秘訣は何かと尋ねると、実はこちらはサン・テミリオンでも初期に有機栽培に移行し、2006年にはブドウ畑全てが有機栽培(アグリクルチュール・ビオロジック)認証に、2008年にはビオディナミの認証まで取得したというこだわり派。「ボルドーは湿気が多く、虫もつきやすいからビオディナミにするのは手間もかかるし簡単ではありません。ビオディナミはホメオパシーのように、植物自身が病気を予防し、自分で戦う力をつけるもの。ビオディナミにしてからフレッシュ感やミネラル感がより感じられるようになり、味わいも良くなったんです」とシャトー・フォンロックのカロリーヌさん。こちらはフランスでの価格は約35ユーロで、日本にも輸出しているという。
また、家族経営で栽培面積18ヘクタールというシャトー・ジャン・フォール(Château Jean Faure)のワインも絶品だ。こちらは他のサン・テミリオンのワインに比べ、少しスパイシーなニュアンスがある。その理由を尋ねてみると5%マルベックを使っているからだという。とはいえ、このワインの凄さは独特のスパイシー感だけでなく、複雑な味わいが絶妙なバランスをとって、味わい深い豊かなワインになっていることだ。メルローは45%だけにとどめ、カベルネフランを50%も使用しているため、カベルネフランの繊細な優しさと、メルローのふくよかさが絶妙な味を醸し出しす。シャトー・ジャン・フォールも2017年に有機栽培の認証を取得。日本へ向けては残念ながらまだ輸入業者を探し中とのことで、フランスでの小売価格は約50ユーロ。50ユーロというのはサンテミリオンのグランクリュ・クラッセでは平均的な価格だが、このワインはそれだけの価値がある美味しさだ。日本では広尾のレストランひらまつで味わうことができ、パリではボンマルシェや数店舗のモノプリでも見つけることができるという。