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フランス南西地方 シュッド・ウエストのワイン 

11月27日、広尾のフランス大使公邸にてシュッド・ウエストワインデーのセミナーが開催された。シュッド・ウエストというのはフランス南西地方のことで、トゥルーズ、アヴェイロン、ベルジュラック、ジュランソンなどを含む広大な地域を指している。シュッド・ウエストワインはコストパフォーマンスの高いフランスワインとして知られており、日本でも消費が伸びつつある。2017年には前年比約20%も輸入量がアップした。

シュッド・ウエストはアメリカのワイン・エンツージアストという雑誌の2018年度ワイン産地大賞に選ばれたんです。」とシュッド・ウエストワイン委員会代表のポール・ファーブルさん。世界から注目されているこの産地は、カベルネ・ソービニヨン、メルロー、マルベックなど、国際的なぶどう品種の発祥の地でもあり、130もの土着品種があるという。5年前から日本でのプロモーションに尽力している日本ソムリエ協会副会長の石田博さんによれば、現在、世界のソムリエからもマルベックやカリニャンといった土着品種が注目されているという。「最近は高級フランス料理の店ではほとんどどこでもペアリングのメニューを出しています。前菜からメインを含め約5品ある中で、よく知られた品種だけではペアリングの構成が成り立たちません。そのために知られざる産地の土着品種に注目しているというのも1つの理由でしょう。」南西地方は昔からトリュフや鴨、フォアグラなど美食の地としても有名だ。「フランスの中でも郷土料理がこれほどまでに豊富な地域はありません。ビストロの定番メニューの6−7割はこの地方からインスパイアされたものなんです。」だとすればカスレ鴨のコンフィなど、ビストロらしい料理にこの地方のワインが合わないはずがない。

数あるシュッド・ウエストワインの中でも特におすすめしたい地域がカオールだ。カオールは黒ぶどう、マルベック発祥の地であり、美食の地としても有名だ。日本でカオールのワインというと黒ワインというのが有名で、濃すぎるイメージがあるかもしれないが、ジョルジュ・ヴィグルーのワインは非常にエレガント。マルベック90%、メルロー10%で作られた「Château de Haute-serre シャトー・ド・オート=セール・グラン・ヴァン」はエレガントで果実味が口いっぱいに広がっていく。「カオールには仔羊のAOP「アニョー・ド・カシ」もあり、仔羊によく合うんです」と来日したジャン・マリーさん。「Château de Mercuès シャトー・ド・メルクエス」も品種の配合は同じだが、畑の土壌が異なるために味わいが実に異なっている。砂利や小石メインのテロワールで育ったぶどうのこのワインは、力強さとやわらかさのバランスがとれており、フルーティで飲みやすい。ジョルジュ・ヴィグルーのシャトーにはミシュラン1つ星のレストランも併設されており、産地を訪ねるだけでなく、美食に舌鼓を打ったあとは、素晴らしい空間で心地よい眠りにつくことができる。世界一に選ばれたシュッド・ウエストならではのワインツーリズムを心ゆくまで堪能できそうだ。フランスの地方が好きで、次はどこに行こうかと迷っているなら、シュッド・ウエストも候補にしてみては?

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