数あるシュッド・ウエストワインの中でも特におすすめしたい地域がカオールだ。カオールは黒ぶどう、マルベック発祥の地であり、美食の地としても有名だ。日本でカオールのワインというと黒ワインというのが有名で、濃すぎるイメージがあるかもしれないが、ジョルジュ・ヴィグルーのワインは非常にエレガント。マルベック90%、メルロー10%で作られた「Château de Haute-serre シャトー・ド・オート=セール・グラン・ヴァン」はエレガントで果実味が口いっぱいに広がっていく。「カオールには仔羊のAOP「アニョー・ド・カシ」もあり、仔羊によく合うんです」と来日したジャン・マリーさん。「Château de Mercuès シャトー・ド・メルクエス」も品種の配合は同じだが、畑の土壌が異なるために味わいが実に異なっている。砂利や小石メインのテロワールで育ったぶどうのこのワインは、力強さとやわらかさのバランスがとれており、フルーティで飲みやすい。ジョルジュ・ヴィグルーのシャトーにはミシュラン1つ星のレストランも併設されており、産地を訪ねるだけでなく、美食に舌鼓を打ったあとは、素晴らしい空間で心地よい眠りにつくことができる。世界一に選ばれたシュッド・ウエストならではのワインツーリズムを心ゆくまで堪能できそうだ。フランスの地方が好きで、次はどこに行こうかと迷っているなら、シュッド・ウエストも候補にしてみては?