サン・ジェルマン大通りに沿ったサン・ジェルマン・デ・プレ教会のふもとは、12本のブドウの木が植わっている。ここは恐らくパリで一番小さいブドウ畑だろう。
サン・ジュリエナス・デ・プレのブドウ畑にはボジョレ一・クリュのガメイ種の株が植えられている。ガメイはロ一ヌ地方では1千年代から製造されており、その名前はこの地方を通ったといわれるカエサル・シ一ザ一に由来しているといわれる。
1992年以来、サン・ジュリエナス・デ・プレ同業者組合は祭りの雰囲気のあるサン・ジェルマン・デ・プレ広場に集まった。クリシュナ教徒と間違がいそうな赤と黄色の長いマント姿からはお祭り気分が伝わってくる。
毎年、春には名の知れている12人のワイン愛好家に、各一本のブドウの木が割り当てられる。こうして、彼らはサン・ジェルマン・デ・プレのブドウ畑のオ一ナ一となっていくのである。クロ・サン・ジュリエナス・デ・プレの2007年の名付け親の中には、ジョン・シムノンがいたということは特記しておきたい。ワインとビストロに精通している彼は、メグレ警部シリ一ズで有名な小説家のジョルジュ・シムノンの息子。この12人の中にはフランス料理のシェフ、イヴ・カンドボ一ドもいた。
この 儀式を行うために、毎年ジュリエナスの生産者たちがパリに来る。レストラン・プロコープでの晩餐、彼らの子供のような陽気さは、サン・ジェルマン・デ・プレ教会前の広場一杯にみなぎっている。
サン・ジュリエナス・デ・プレ同業者組合が作られたのは、経済的な理由からだった。他のボジョレ一・クリュと同様に、国内市場が停滞し、その上、海外競争が益々厳しくなる中、このサン・ジュリエナスの評判と知名度を高めなければならなかったのだ。
ル・サン・ジュリエナスはボジョレ一の10クリュのひとつで。フル一テイで収穫は今でも手摘み。ボディがしっかりしたこのワインは、5年から8年寝かすことが出来る。