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パリのグランド・テイスティング Grand Tasting Paris

いつの日かシャンパーニュを思う存分楽しんでみたい。シャンパーニュまで行ったら沢山堪能できるのかしら?そんな想像とは裏腹に、外国まで足を運んでみても高いものはやっぱり高い。シャンパーニュのメゾンまでわざわざ足を伸ばしても、テイスティングは一杯700円程するのです。だけどワインの国のフランス、探せばやっぱりあるんです。値段を気にせず存分にワインを味わえる場所。なんと40社以上ものシャンパーニュをたった1日で味わえる。それが「グランド・テイスティング」。

映画に映画祭があるように、ワインにはワイン祭という気持で楽しんでほしいという、グランド・テイスティングの開催は2011年で6回目。12月1週目の週末に、パリのルーブル美術館の地下、カルーゼル・ド・ルーブルで開催されました。週末のルーブルの地下は人、人、人!しかもパリでは珍しいことに外国人で込み合うのではなく、ほとんどがフランス人。プロもそうでない人も、仲間と一緒にワインを楽しみにテイスティングに来ています。選りすぐりのワインを集めることをうたったこのサロンには、フランスを中心とする340もの生産者が参加していて、高級な大手メゾンに加え、選び抜かれた若手の生産者のワインも味わえます。

tasting1グランド・テイスティングの入場料は一人あたり20ユーロ。入り口でリーデル社の美しいグラスを受け取ったら、あとは気になるスタンドへ向かって好きなだけテイスティングができるのです。ここではあえて地方ごとにブース分けせず、ボルドーのシャトーの隣にシャンパーニュといったように混ぜ合わすことで、先入観にとらわれないワインとの出会いを楽しめるように仕掛けていました。初テイスティングの私はフランスでのテイスティングの秘訣を教わりながら、千鳥足にならない程度に会場を進んで行きました。

ブルゴーニュの白、シャンパーニュ、ロゼシャンパーニュ、ボルドーの赤、ロワールの貴腐ワイン、コートダジュールの赤など、様々な種類を試させてもらいましたが、その中でも特に感動的だったのはアトリエ・グルメでのチーズとワインのマリアージュ。
グランド・テイスティングでは、アトリエ・グルメ、テロワール講座、マスター・クラスなど、様々なワークショップも用意されていて、私たちが入れてもらったアトリエ・グルメは、チーズとワインのマリアージュの会でした。ここでは、2種類のシャンパーニュと、アルザスワインを1杯、それにコンテチーズと青カビのロックフォールチーズとのマリアージュを楽しむというものでした。フランスが誇る選りすぐりのワインサロンの中で特にワインといったら!どれも目を見張るような美味しさでした。
特に素晴らしかったのは、Comme l’autrefoisというシャンパーニュとロックフォールとの組み合わせ。このシャンパーニュは10年もコルクをつけた状態で保存したとのことで、木のほのかな香りと繊細な味わいで、天にも昇る心地でした。一口食べるだけで細胞が喜んでとろけてしまうようなロックフォールは、アーモンドのような優しい香りで良質のバターのように柔らかく、口の中でゆっくり溶けていきました。これを口にしてからシャンパーニュを味わうとよりシャンパーニュがまろやかになり、無上の喜びを感じてしまいました。フランスにはやはり快楽の味というのが存在するなと実感します。この後いただいたアルザスのゲヴェルツトラミネールも甘くてロックフォールにとても合いました。
沢山のワインを試飲し、もう閉館時間になっていた時、最後に出会ったロワールのワインは、このサロンで飲んだ中で一番美味しく、決して吐き出すことのできない味でした。Quarts de Chaume Domaine des Baumard, blanc 2008はロワールの中でも貴重なシュナン・ブランという白ブドウを使った貴腐ワインだそうで、ハチミツと甘いリンゴのような香り。一口飲むとブドウ全体の奥深い味わいが口一杯に広がって心地よいハーモニー演奏しつづけてくれる、そんな感じのワインです。後味もとてもよく舌の上に残ってくれて、いつまでも幸せな気分でいられる、そんな忘れられないワインでした。ここボマール社のブースではVin de Table Vert de l’Or Moelleux, blancとSavennières Clos Saint Yves, blanc 2007の3種類試飲させていただきましたが、どれもうっとりするような味わいで心底感動し、パリではどこで買えるんですか?日本では?と熱をこめて聞いていたらなんと試飲用にあけたワインを瓶ごといただいてしまいした!本当にありがとうございます。飲む度に幸せになれる素晴らしいワインです。
「グランド・テイスティングはいいワインが集まるけれどちょっとスノッブ」と聞いていましたが、美味しいワインを味わうと嬉しくなるのは誰でも共通してるもの。すると生産者の人との話もはずみ、会場はワイワイガヤガヤ、閉館時間になっても誰も帰る様子をみせません。閉館後のルーブルの地下は新宿西口のように酔っ払いたちが楽しそうに歌っていました。フランスワインはお高くって気難しい? 日本ではそう思われがちですが、ワインは人生をより豊かに楽しむためのもの。本当に美味しいワインとおいしい料理と楽しい会話、それがフランス流の人生の楽しみ方なのです。つい顔がほころんで人におすすめしたくなってしまう、気分が上向きになってしまえる、そんなお気に入りの一本をまずは探してみませんか。

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