paris-bistro japon

ブルゴーニュ地方、ディジョンのファンタスティック・ピクニック Fantastic Pique-nique

 

picnic_bourgogne2 ピクニックはフランスの1つの文化。フランス語には「ピクニックする」という動詞があるほど、この国の「草上の昼食」は生活に溶け込んでいる。

そんなピクニックを大々的に打ち出して、フランス人のみならず、観光客まで巻き込んでピクニックを楽しもう!というイベントが9月26日から3日間、ブルゴーニュ地方約30カ所で開催された。

これは »Fête de la Gastronomie »(美食の祭典) 企画のひとつ。美食の祭典は2010年にフランス料理がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け、せっかくだから毎年それをお祝いしようという意図で計画されたもの。パリやブルゴーニュ地方のみならず、ガストロノミー(美食)の国際基地として選出されたディジョン市でも多くのイベントが開催された。ディジョンはブルゴーニュ地方の首都で中世からの街並が残り、ワインとガストロノミーの都として知られる街だ。

 

 ディジョンの街中で開催された「ファンタスティック・ピクニック」は、2時間程の市内ツアーの後、参加者とともにピクニックをするというもの。「今年のテーマは伝統なので、ディジョンの伝統であるマスタードを中心に添えました」とディジョン観光局のフローランスさん。行程はまずディジョンの伝統的なマスタード店を見学し、それからブルゴーニュ民俗博物館を見学、伝統的マスタードの試食、最後にピクニックというものだ。ブルゴーニュ民俗博物館は中世の頃の暮らしぶりを、等身大の人形や、テーマごとの可愛らしい展示で視覚的に理解できるようになっている。

かつての修道院であったという民族博物館の中庭は、美しい回廊で囲まれている。その一画でディジョンマスタード騎士会の方々による昔ながらのマスタードづくりが実演された。マスタードはカラシナの黒い実を水と塩と酢を混ぜたものに4時間浸し、少しやわらかくなったら専用の臼でひいて作るそう。さて、お味の程は?というと、びっくりする程辛く、わさびのようにピリッとしており、一瞬で目が覚める。これは昔ながらの製法だが、ディジョンではカシスやパンデピスなどを加え、味を一層まろやかにしたものなど十種類以上販売されており、土産物屋でも手に入る。

 お昼になると博物館の裏庭でお目当てのピクニック。木陰の下にはアペリティフのブースが用意されており、その場でつくられたディジョン名産のカクテル、キールが参加者に配られる。「これは昔ディジョン市長をしていたキールさんが自分で作ってよく飲んでいたアペリティフ。ブルゴーニュの白ワイン、アリゴテを3分の2、アルコール20度のカシスを3分の1でつくるのが最高に美味しいのよ!」とフローランスさん。確かにアリゴテの強い酸味とカシスの甘味が非常にバランスよく、もう一口、また一口、と軽く飲めてしまう。カウンターにはキールだけでなく、チーズを使ったシュー生地のグジェールや、パセリとハムのパテなど、ブルゴーニュ名物のおつまみも楽しめるようになっている。柔らかい風の下、木陰で楽しむアペリティフは気持を軽やかにしてくれる。

 

「美食の祭典をすることが決まり、何かしようということになったとき、私たちはオリジナルなピクニックをすることに決めました。ピクニックをすることで、地元の人たちと観光客を合わせたかったんです。パリから来る人もいますし、ブルゴーニュに来た外国人も参加します。観光局が主催するものも多いので、観光客も来やすいですよね。出会った人たちが気軽に会話できるように、全てのピクニックにはテーブルクロスのかかった大きな席が用意されているんですよ」とブルゴーニュ観光局のコラリーさん。お昼は自分で用意してきてもいいし、パンやサラミ、マスタードなどの特産品が詰まったランチボックスもその場で購入可能。こちらの会場では芝生でごろ寝を選ぶ人が続出し、緑の中でリラックスした空気が漂っていた。ブルゴーニュ全域で開催されるだけあり、車があればシャトー主催のブドウ畑でのピクニックにも参加ができる。ワインに美食に自然の下でのピクニック、まさにフランスらしいのんびりとした1日の過ごし方。好天が続くという9月のブルゴーニュに来る機会があればぜひ楽しんでみてほしい。

Quitter la version mobile