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ブルゴーニュ地方 日本とブルゴーニュの素敵な関係 Japon et Bourgogne

10月初旬、ブドウ収穫がちょうど終わりにさしかかる頃、ブルゴーニュでは霧雨が降っていた。ボーヌの街ではプラタナスが紅葉し、道に落ちた枯葉がカサカサと音をたてている。晴天続きで28℃もあった南仏とは違い、同じ日でもこちらの温度は8℃。さ、寒い・・・それがブルゴーニュの印象だ。「ブルゴーニュはね、本当に寒くてしかも湿気があるんです。冬ではマイナス20℃になったこともありますよ!寒すぎると逆に虫もつきませんけどね」とブルゴーニュワイン委員会プレス担当のセシルさん。

「ブルゴーニュを一言で表すと「複雑」ですね」と彼女。それもそのはず、ブルゴーニュ地方には約100のアペラシオンが存在し、その数はフランスで最も多い。アペラシオンはピラミッド状の構造になっており、ブルゴーニュ地方全域のブドウを使えるレジョナルのAOC(地方名:ブルゴーニュ・ルージュ、マコン・ヴィラージュ等)、その上にコミュナル(村名:マルサネ、シャンボール・ミュズニィ等)があり、プルミエ・クリュ(ニュイ・サンジョルジュ・プルミエ・クリュ等)、そしてグラン・クリュ(ロマネ・コンティ、モンラッシェ等)の順に格が上がる。日本では特にグラン・クリュのワインが有名だが、グラン・クリュの生産量はブルゴーニュワイン全体の1.5%のみ。ブルゴーニュワインの生産量の半分以上は実際にはレジョナルのAOCが占めている。レジョナルのワインはフランスでは5ユーロから、日本でも1200円くらいから手に入り、コストパフォーマンスの高いものが多いという。

日本とブルゴーニュは関わりが深く、日本は第3位の輸出先。「日本人は本当にすごいと思います。畑に行くと、この隣の所有者は誰だとか、私たち以上に知っている人もいるから驚きです。」ボーヌに来る日本人はすでに知識のある人が多く、説明するとすぐにわかってくれるのがありがたいという。

ブルゴーニュワインの魅力は優雅さや香り高さ、それに日本の食事との合わせやすさだろう。「ワインを飲み始めた人は重たいものから試しがちですが、よく知るにつれて繊細な味わいの面白みに気づくようになるんです。そして繊細でエレガント、ほどよい酸味のあるブルゴーニュワインの魅力に行き着くというわけです。」和食とブルゴーニュワインとはとても相性がよく、ブルゴーニュワイン委員会では日本語で写真付きのマリアージュのパンフレットを作成。この「ブルゴーニュワイン グルメパスポート」は京都の「瓢亭」はじめ、名だたる店がレシピの監修を務め、赤白様々なブルゴーニュワインとの合わせ方を提案。例えば「ホタルイカと菜の花の焼きびたし」に白ワインの「ブルゴーニュ・アリゴテ」、それから「鶏肉と大根の炊き合せ」に「ブルゴーニュ・ルージュ」など。日常使いのブルゴーニュから特別な日のメニューまで、様々な組み合わせがこと細かに書かれている。冊子だけでなく、10年前から毎年日本でブルゴーニュワインと和食のマリアージュを発掘するイベントも開催されている。

ブルゴーニュワイン委員会は、高価なワインだけでなく、日常的に楽しめるアペラシオン・レジョナルも押している。「たとえばマコンのシャルドネや、クレモン・ド・ブルゴーニュ。クレモン・ド・ブルゴーニュは75年にできたAOCですが、19世紀からの歴史があります。品種はシャルドネ、アリゴテ、ピノ・ノワールなどを使用します。繊細でエレガント、フレッシュでシャンパーニュによく似た味わいです。だいたい1年以上熟成させ、いいものだと18ヶ月は寝かせます。ブラインドテイスティングだとシャンパーニュかと思うくらいに素晴らしいワインがありますよ。」シャンパーニュは日本だと4千円程度はするが、クレモンだと千円台でも手に入る。

ブルゴーニュワインの首都と呼ばれるボーヌの街にはテイスティングのできるブティックがワイン好きを待ち受けている。ワインだけでなく名物のエスカルゴやとろけるブッフ・ブルギニヨンとのマリアージュも是非味わってみてほしい。ボーヌの観光協会は徒歩、自転車、運転手付きのガイドなど数々の産地ツアーも提案しており、インターネットで予約が可能。11月の「栄光の3日間」のワイン競売で有名なオスピス・ド・ボーヌは中心地のど真ん中にあり、観光案内所の目と鼻の先。ボーヌはパリのリヨン駅からTGVで約2時間15分。

ブルゴーニュ名物 牛肉を赤ワインで煮込んだブッフ・ブルギニヨン
ボーヌの観光案内所の前から、市内名所とブドウ畑を巡るミニトレインが運行している
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