ロゼでは一風変わった若い生産者を紹介したい。フランス南西部、ルシヨンで2年前からワインを造る「レ・フォルト RES FORTES」のモーリスさんはオランダ人で、イギリスとフランスで暮している。8歳でワインに目覚めたという彼は、畑も醸造施設も所有しないワイン生産者。「ブドウは農家から購入して、醸造設備は借りています。将来は自分の畑を持ちたいかって?特にそうは思いません。農家といい関係を結んでいけばよいのでは?醸造設備はあったほうがいいでしょうけど・・・」グルナッシュ・ノワール、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、シラーを別々ではなく、混醸して発酵させるという彼のロゼ。味わいはフルーティでイチゴのような果実味があり、スッキリとした飲み心地。ワインの造り方もラベルも生き方も斬新だが、味にはゆずれないこだわりがあるのがわかる。
赤ワインが圧倒的多数を占める中、白ワインで有名なアルザスでビオワインを造り続ける「シュミット・キャレール」のロランさんも出展した。今年日本への輸出が始まったというシュミット・キャレールのワインは、どれもアルザスという固定観念を覆してくれる美味しさで、特に絶品なのが貴腐ワイン。「ピノ・グリ セレクション・ド・グラン・ノーブル Pinot Gris Séléction de Grains Nobles 2009」は、優雅な甘さがあるものの、決して甘すぎることはなく、非常にバランスがとれており、素晴らしいとしかいいようがない。ゲヴェルツトラミネールの貴腐「アルザス・グラン・クリュ・フルステンタム Alsace Grand Cru Furstentum 2009」は美しく黄金色に輝いており、あんずのような香り。こちらはピノ・グリよりもずっと深い甘みとこくがあり、優しい蜂蜜を思わせる。「これとすごく古いロックフォールを合わせた時と言ったらね、もう最高だったよ」とロランさん。貴腐ワインはともにフランスで35€前後。少し味わってみただけで憂鬱な気分も吹き飛びそうなシュミット・キャレールの貴腐ワインは、まだ輸入業者を探し中。