表参道の住宅街に、リーズナブルでとびきり美味しいビストロがある。1品目に出されたはずのサラダや前菜は、メインと間違えたかと思うほどのボリュームだ。色鮮やかなサラダは見た目の美しさだけでなく、シャキッとカリッと歯ごたえもいい。それもそのはず、シェフの吉田佑真さんは週に3度も築地に通って新鮮な野菜と魚を仕入れ、野菜は2日で使い切るよう心がけているという。新鮮さだけでなく、素材の持ち味をしっかり引き出すよう、野菜を別々にゆでる手間も惜しまない。
そんな吉田さんの作る魚料理は絶品だ。ホタテ1つにしても、身がふっくらしてジューシーで、外側は香ばしく焼かれており、今まで食べてきたホタテは何だったのかと思うほどの味わい深さ。魚だけでなくお肉も焼き加減が絶妙でボリューム満点。それでも意外とペロリと食べられるのは、全て自家製だからだろう。「今年はナチュラルをテーマに、手作りにこだわっています。パイ生地、アンチョビ、ソーセージやベーコン、ソースやコンソメも全部自家製。もちろん手間はかかりますが、そこだけは味として自分も好きだし、譲れない点なんです。うちでは旬を大切にしたいので、年中これがうり、というのは特にありません。築地で仕入れた野菜や魚を使った本日のおすすめを是非味わっていただけたらと思います。」
前菜の素晴らしい店はデザートにも期待がかかるものだが、ル・マンはその期待を裏切らない。おすすめの「なんてこった、パンナコッタ!!」は豆腐のように柔らかでツルッとした食感でほんのり甘いパンナコッタに、キャラメルソースのほろ苦さが絶妙にマッチする。こちらは夜のデザート付きのコースを注文するとおかわりもでき、お腹の許すかぎり甘い誘惑に浸ってられる。ヌガー・グラッセもこんなに?というボリュームだが、口の中でほろっととける喜びに浸るうち、気づけばお皿は空になる。
ビストロ・ル・マンではワインはシェフがスタッフとともに試飲し、料理に合うものを選んでいる。グラスワインは700円から、ボトルワインは3〜4千円台で気の利いたワインが楽しめる。表参道という立地にありながら、ランチは1100円程度、ディナーコースは2品2900円、3品3500円〜という抜群のコストパフォーマンス。しかもどれも絶品ときたら、他の店に行くのが難しい。フランス好きなら、こんな店を探してた、と思うこと間違いなしのアドレスだ。
Bistro Le MAN ビストロ・ル・マン
住所:東京都渋谷区神宮前 5-12-7 CULTURE 表参道1F
電話:03 6427 7143
営業時間:12時〜15時、18時〜23時 第2、第4月曜定休