文京区本郷にコストパフォーマンス抜群のフレンチがあると聞いて訪れた。カウンターメインの店はすでにランチ客で混み合っており、一人で食べに来る客の姿も。平日のランチは950円〜1500円程で鴨やパテまで味わえる上にボリューム満点。今日はフレンチが食べたいなあ、という気軽な気持ちで本格的な料理が味わえる、そんなありがたい店が本郷のabats(アバ)。「高いとしょっちゅう行けないので、値段はリーズナブルに設定しています。もともと低価格で始めていて、ランチが950円からというのは開店当初から変えていません」とオーナーシェフの門脇憲さん。

アバのスペシャリテは自家製のシャルキュトリーやジビエ。ランチ時でさえ、パテ・ド・カンパーニュや猪のパテ、ジャンボン・ペルシエなどがメニューに並ぶほど。常時30〜40種類あるというシャルキュトリーは全て門脇さんがお店で作る。「テリーヌやアンドゥイエット、ブーダンも、生ハムも全部無添加で作っています。シャルキュトリーは手間が半端なく、1つ作るのに4−5時間ほどかかるんです。だから1日1個くらいのペースで、営業時間の合間や手が空いた時に作るようにしています。」シャルキュトリーというと、つい重たく脂っこいパテなどを想像してしまいがちだが、門脇さんのシャルキュトリーは驚くほど軽やかだ。どれも非常に丁寧に作られており、素材本来の味わいを最大限活かそうとしているのが伝わってくる。盛り合わせにはアルザスの白ワインをお勧めするというのも、なるほどと頷けるほど優しく繊細な味わいなのだ。
ジビエやシャルキュトリーを存分に堪能するなら、やはりディナーがおすすめだ。「自家製シャルキュトリー盛り合わせ」(5900円〜)は生ハムやテリーヌ、リエットなどが約15種類盛られており、食べていくうちにシャルキュトリーの奥深さに気づくはず。手作りのブーダン・ノワール(1000円)も、スパイス加減や柔らかさが絶妙で、日本にいながらこの味に出会えることに感動すら覚えてしまう。黒板には山ウズラや山鳩のロースト(ともに4000円)など、旬のジビエやシャルキュトリーのメニューが並ぶ。
この日はスコットランドから空輸された雷鳥が届き、店頭のベンチに置かれた姿はまるで眠っているかのようだった。「これから羽をむしるんです。ここで羽をむしっていると苦情がくることもありますよ」と笑う門脇さん。もはや東京ではないかのようだ。11月半ばには国産ジビエが解禁になり、キジやモリバド、小鴨やヒグマも味わえるようになるという。店には約140種類のワインが存在し、大部分がフランスの自然派ワイン。特にブルゴーニュがおすすめだ。フランスらしい肉料理が恋しくなったら真っ先に足を運ぶ価値ある、素晴らしいアドレスだ。
追記:2017年10月からはランチなし、ディナーのみ営業に変更
Abats アバ
自家製シャルキュトリー 内臓料理と自然派ワイン
住所:東京都文京区本郷2−31−3 二木ビル1階
営業時間:月・火・水曜日 18時〜22時 木・金 18時〜23時
最寄り駅:丸の内線、大江戸線 本郷三丁目から徒歩約5分