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パリの大規模ストライキ Grève à Paris

12月5日に始まったパリの大規模なストライキはパリの交通を麻痺させている。フランス政府が全国民に同じ年金システムを導入するという方針は、パリのメトロ、バスと鉄道の運転手たちにとって宣戦布告だったのだ。一般の会社員の定年は63歳だが、彼らの定年は52歳だからである。1995年に起きたパリの大ストライキも同じ動機で始まったとはいうもの、そちらの方がまだましだった。というのも、今回はパリとパリ郊外の交通が3週間にわたって麻痺し続けているからだ。

バスやメトロを動かすRATPの12500人の運転手と、フランス国鉄SNCFの16000人弱の人々がストライキをすることで、その影響を受けるのは何百万人もの人々である。最低限のサービスすらほとんど機能しておらず、まともに動くメトロは運転手のいない1番線と14番線だけである。

たった数日でパリは大混乱に陥った。凄まじい渋滞、赤信号を無視して突っ切る車、スクーターや自転車は歩道の上を走るありさま。こんな状況にパリジャンたちは疲弊している。駅周辺ではイラついた人々がののしり合い、時には喧嘩も起きている。郊外の住民は仕事に行くために通勤に4時間かかることもある。人々はパリ中を歩いているとはいえ、仕事に、帰宅に急いでいる彼らにはカフェやビストロでほっと一息つく余裕もないため、ビストロも大打撃を受けている。こんな状況が一体いつまで続くというのだろう。

パリのビストロやレストラン、ホテルも経済的に大打撃を受けている。最もひどい被害を受けている地区はグラン・ブルヴァール、サンラザール、モンンマルトルなどで、売り上げがマイナス60〜70%のところもあるという。観光客はパリを避け、予約もどんどん取り消される。昨年の12月も、本来なら一年で一番売り上げがあがるクリスマスシーズンに、黄色いベスト運動で打撃を受けたばかりなのに。

大渋滞のため、食料品の供給網にも影響が生じている。生牡蛎の生産者やワイン生産者、畜産業者も被害を受けている。もともとメトロを使わず、車で訪れる顧客が多いような高級フランス料理店もかなりの打撃を受けている。アラン・デュカスのレストランでさえ、売り上げが落ちた店がある。リヨン駅にある、美しい内装で知られるル・トラン・ブルーも、通常はランチに300席用意していたが今では30席だけだという。

そんな中でもなんとかやっているビストロは、近隣の常連の多い店と、今流行りの「ガストロ」と呼ばれる、質の高い料理を売りにしたスタイリッシュなビストロである。例えば36歳の若手シェフで、8区に「オリジン」をオープンしたジュリアン・ボキュスしは、この状況のわりに12月は悪くないと語っている。

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