ビストロの料理はいたってシンプル。というのもそれは長いこと、夫婦が切り盛りするような、こじんまりしたとした店の料理だったからです。ではビストロの料理にはどんな特徴があるのでしょうか?
まず、あまり高価なものを使わないという点が挙げられます。野菜や果物は旬のものを使います。料理はシンプルで、レストランのように華麗に盛りつけられたものというよりも、たっぷりとお玉ですくってドーンと盛られるかんじです。ビストロはとろ火で煮たり、温め直したりするのが大好きです。代表的な料理といえば、牛肉のにんじん煮込みや、ホワイトソースのシチュー、それからカスレというインゲン豆のシチューなどです。
少人数で店を切り盛りするので、準備の時間も最大限に節約しないといけません。そういうわけで、牛肉のにんじん煮込みや牛肉の蒸し煮、ポトフなどがビストロの大成功を特徴づけるものになったのです。時の経過とともに大鍋を何度も温めなおし、ジャガイモやにんじんを追加しては、タピオカでソースを濃くします。こうしておけば、料理だけにかかりっきりになることもなく、お客さんをもてなしながら、カウンターと厨房を行ったり来たりできるのです。
こうした煮込み料理をつくるために頼りになるのが、牛の前方部分、肩骨あたりの肉や腕肉など、比較的安く手に入り、細かくして煮たり、蒸し煮にして使う部分です。子羊にしたって、カブ入り煮込みをするために、首の肉を使ったりするのです。
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ビストロ流節約レシピは何事も無駄にすることがありません。前日の肉の残りは、次の日にはミンチにされて、ジャガイモと牛肉のグラタン、アシパルメンティエになったりします。
家にいるのと同じように、本当のビストロではそう多くの料理は選べません。「本日のおすすめ」をいただく、という感じです。本当のビストロでは選択肢は限られていて、時には避けて通れないものもあります。例えば月曜日は牛肉のにんじん煮込み、火曜はフレンチフライというように・・・。
ビストロの料理はあまり上品とはいえない部分、つまり内臓を使った料理も特徴的です。とても庶民的な料理、例えば牛頭肉や腎臓、豚のほほ肉、牛ほほ肉、また、カーンやアヴェイロン、コルシカなど、地方色の強い内臓料理だって味わうことができるのです。