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コート・ド・ブライのワイン生産者 シャトー・シフル・メルル

コート・ド・ブライは家族経営のシャトーが多く、若手の活躍が目覚ましい。シャトー・シッフル・メルルのエメリンさんもワイン畑で育ち、自らその世界を選んだ女性。

 

「曾祖父が1933年にワイン造りを始め、私は4世代目にあたります。大学では商業を専攻しており、卒業する頃、丁度家でも輸入やビジネスのできる人を探していたのでじゃあ試しに1年やってみようと。父は醸造、母は事務全般、私は広報や輸出担当で、仕事もあまりかぶらないので思ったより衝突もなく、結局そのまま、もう9年目になりました」と笑う。
「醸造するのは主に父ですが、顧客に会って話をするのは私ですから私も意見を伝えます。アッサンブラージュの時はちょっとしたさじ加減が重要です。どの区画の原酒でアッサンブラージュさせるべきかは父と一緒に決めています。」畑は合計25haで、大部分は黒ブドウ。シッフル・メルルの畑は3つの村に点在し、同じ品種でも区画によって地質が異なるため、味わいも異なるという。「だからこそ、その区画をいつ、どんな状態で収穫するかの見極めが肝心。全てを同じ日に収穫するとブドウの品質に差がでてしまうのです。」収穫を待つブドウ畑は緑が目に眩しいほどだ。ブドウの樹は人の背丈ほどの高さがあり、下には草が生い茂る。「うちはテラ・ヴィティスという方法で、できるだけ自然に負担をかけない栽培方法を心がけています。あまり除草しないのも大切ですし、農薬もどうしても必要な時のみ、化学薬品でないものを使います。」

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白ブドウはすでに収穫が終わり、醗酵が始まっている。はしごを上り、タンクの上から覗いてみると、シュワシュワした小さな泡が液体の表面を覆っている。「表面がこうして白くなっているのは醗酵している証拠で、終わると表面の泡がなくなるんですよ」と父のフランクさん。シッフル・メルルのワインは全てコンクリートタンクで醗酵させる。「コンクリートタンクは内部に特別な塗装がしてあるので、ワインが直接コンクリートに触れることはありません。私たちの世代はコンクリートタンクと共に育った世代。それなのにこれを壊すだなんて本当にもったいない。私にとってはこれ自体が文化遺産で私達の歴史です。そりゃあ見た目が綺麗とは言えないけれど、目的は美味しいワインを造ることなんですよ。」とエメリンさん。コンクリートだとステンレスタンクに比べ、壁が厚いために外気の温度変化にさらされにく、安定した温度管理がしやすいという。

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両親の世代から、ヴィニョロン・アンデパンダンとしてサロンにも出展してきたシッフル・メルルはブドウ栽培から醸造、瓶のラベル貼りまで一貫して自分たちのシャトー内で行う。日本語で書かれたボトルの裏表示を嬉しそうに見せる彼女にとって日本は思い入れ深い場所。大学卒業後、シャトー始まって以来の輸出を自ら試み、初めて取引できたのが日本だったのだ。「うちの赤ワインは2011年の、白は2014年のバリュー・ボルドーにも選ばれたんですよ。」2014年の白、「 Siffle Merle(シッフル・メルル・ブラン)」は100%ソービニヨン・ブラン。グラスに注ぐと香り高く、白い花や柑橘系の香り。口に含むとほんのりバターのようなコクがあって味わい深い。チーズや鳥肉料理と相性が良さそうだ。2012年の赤、「Siffle Merle(シッフル・メルル・ルージュ)」は100%メルローで、カシスの香りが豊かに広がる。12ヶ月樽熟成されており、深みのある味わいで、後味はほんのりスパイシー。鴨のオレンジソースなど、フレンチらしい味わいによく合いそうだ。ワインを愛する一家が造るシッフル・メルルのワインは輸入元の木下インターナショナルのオンラインショップ「ポントヴィーニョ」や、紀伊国屋で注文できる。

 

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