10月29日、東京のリッツ・カールトンにてガンベロロッソの「トレ・ビッキエーリ試飲会」が開催された。「トレ・ビッキエーリ試飲会」は、世界で最も権威あるイタリアワインのガイドブック『ヴィーニ・ディタリア 2025年版』の最高評価「トレ・ビッキエーリ」を獲得したワインが集まるイベントで、1100名が来場した。2025年版では25231本のワインが言及され、498本が「トレ・ビッキエーリ」を獲得した。その中でも特に抜きん出ているものに与えられるのが特別賞だ。
試飲会と同時開催された『ヴィーニ・ディタリア』特別賞セミナーでは、『ヴィーニ・ディタリア』編集長のマルコ・サベリコ氏と、ワインジャーナリストの宮嶋勲氏が特別賞に選ばれたうちの12のワインについて解説してくれた。その中でも特に印象に残ったワインをご紹介したい。
「今年の最優秀スパークリングワイン」に選ばれたのはCalatroni OP M. CI. Pinot Nero Pas Dosé Poggio dei Duca ’19。こちらはロンバルディアの郊外、フランチャコルタに近いオルトレポ・パヴェーゼ産のブドウでできたワイン。オルトレポ・パヴェーゼはピノ・ネーロの素晴らしい産地として知られ、ピノ・ネーロを使った、瓶内二次発酵の高品質な辛口スパークリングに力を入れている。アロマティックハーブや柑橘類の香りがあり、ミネラル感と塩味が感じられるコクのあるしっかりした味わいのワイン。この塩味がアペリティフのクラッカーや生ハムと絶妙に合いそうだ。
「今年の連帯賞」に選ばれたのはイタリア北東部、フリウリのLis Neris Friuli Isonzo Pinot Grigio Gris’22。1879年から続く有名なワイナリーで、社会貢献に熱心で、ミャンマー、ウガンダ、インドなど、世界で30以上の学校を創っている。イソンゾ産のピノ・グリージョはどんどん品質が向上しているという。この白ワインは非常に果実味豊かでとてもフルーティ、厚みとまろみがあり、熟した果実、桃や洋梨のニュアンスがある。まろみがあるが、塩味もあるため、ボテッとした味わいにならず、輪郭がはっきりし、力強いがエレガントな白ワイン。このセミナーで感動した人たちが試飲会のスタンドに殺到したというお墨付き。
「最高のコスパ賞」に選ばれたのは微発泡性の赤ワインのランブルスコCantina Settecani Lambrusco Grasparossa di Castelvetro 7Bio ’23。こちらは60名ほどの小さな協同組合でつくられたもの。驚くほど泡がきめ細やかで繊細で柔らかく、酸がとても心地よく、エレガントなランブルスコだ。サラミや生ハム、ラザニアなどによく合いそうだ。
「今年最高の赤ワイン」に選ばれたのはトスカーナのTorre a Cona Chianti Colli Fiorentini Molino degli Innocenti Ris.’19 。 こちらはサンジョベーゼ100%で非常に香り高く、貴族の女性を思わさせる優雅でエレガントなワイン。柔らかく、滑らかでタンニンもデリケート。優雅な女性の印象だが、後味はわりと力強い。
「今年のワイナリー賞」に選ばれたのはガルダ湖に近いトレンティーノのSan Leonardo ’19 。カベルネ・ソービニヨン60%、カルメネール30%、メルロー10%でできた赤ワインはしっかりした味わいの濃さと優雅さやまろやかさのバランスが本当に絶妙だ。ワイナリーはまさに貴族のお屋敷のような森に囲まれたヴィラでバラも美しく、癒されたい気分の時にぜひ訪れたい場所だそう。オーナーも従業員も200年、約4世代に渡ってともに働いているというからすごい。
土着品種も豊富で個性溢れるイタリアワイン、試飲会には想像以上に多くの人が集まっており、イタリアワインはここまで人気なのかと衝撃的だった。学ぶのがなかなか難しいとはいえ、感動できる味わいに出会えるイタリアワインの世界はやっぱり奥が深い。