パリはついにビストロに価値を見出した。2024年、パリ・オリンピックの実現させるため、パリ市は4月26日に100のビストロを選んで表彰式を行った。この100人のシェフを選んだのは3つ星シェフのアラン・デュカス氏。彼はこの100人をパリで最も腕のいいシェフだと紹介した。
とはいえ、パリにあるビストロの多くはこの市の試みに対して批判的。彼らにとって、ビストロはただビストロノミーを表すわけではないからだ。ビストロという言葉を、美食、ガストロノミー向きの意味だけでとらえると、結局値段の高いビストロだけが選ばれ、パリのビストロらしい庶民的な面が忘れ去られることになる。
真のビストロとは、社会的身分にとらわれず、本日の料理やリーズナブルな料理、ワインを囲んで人々が集う場所であり、それこそがビストロ独自の雰囲気を醸し出す要因だ。今回、社会派で知られるアンヌ・イダルゴ市長率いるパリ市に選ばれた多くのビストロが、社会階層が入り混じるタイプのビストロではないというのが皮肉な結果で、昔ながらの店を愛するパリジャンにとっては残念だといえる。