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イタリアの食の祭典 アッチ・グストで出会った逸品

11月1日〜2日、東京、浜松町で第11回イタリア料理専門展、ACCI Gustoアッチ・グスト2022が開催された。イタリアの食に関する企業やイタリア料理のシェフが一同に会するこのイベントは、イタリア好きにとっては至福の時間で、新たな発見に満ちている。

最後にワタリガニとカラスミのパスタを振る舞う落合シェフ

会場にはパスタや生ハム、チーズ、ワイン、コーヒー、オリーブオイル、ジェラートなどを扱うブースが並び、本格的に調理したイタリア料理も味わえる。刺激に満ちて心もお腹も満たされるアッチ・グスト2022で出会った逸品をご紹介したい。

ツジ・キカイさんのブースではナポリピッツァが続々焼きあがる。後ろ左手がピッツァ1枚焼きの「イーナポリ500」

アッチ・グストでは例年、絶品のナポリピッツァが味わえるが、それは業務用のピッツァ用石窯や、急速冷凍庫などを開発するツジ・キカイのブースのおかげ。生地がカリッと焼き上がり、ふんわりした味わいのナポリピッツァは、上火480℃、下火530℃の石窯に入れると、たった90秒で焼き上がる。絶品のピッツァを焼き上げる秘訣は単に優秀な窯だけにあるわけではなく、もちろん生地も重要だという。

ナポリのカプート社の小麦粉

生地はモンテ物産が扱っている、ナポリのカプート社のピッツァ生地を使用。週に3回ほどピッツァを食べる人が多く、ピッツェリアが立ち並ぶナポリにおいて、7割以上の店が使用しているのがカプート社の小麦粉だそう。日本の小麦粉と違い、小麦粉が粗いため、しっかり焼くと小麦の風味が出て非常に味わい深くなる。小麦粉から生地を作るのは熟練の技術が必要だが、すでに丸められた状態のカプート社の冷凍ピッツァ生地と石窯があれば、素人でも絶品のピッツァが作れてしまいそう。冷凍生地は12時間ほど常温で自然解凍後、発酵させて使用するため、夜のうちに出しておけば、ランチ時には使用可能。巷では冷蔵庫で解凍、発酵するものが多いそうだが、ナポリピッツァは高温で短時間で焼き上げることが重要で、短時間では中心が冷たいこともあるという。カプート社の生地は常温なのでその心配はなく、生地を伸ばしてソースや具をのせて焼くだけだ。ツジ・キカイの「イーナポリ500」はピッツァ1枚分が入る電気式のナポリピッツァ用石窯で、ピッツェリア、カフェ、バールなどで活躍。奥行きは60cmと小さく、絶品のナポリピッツァが簡単に焼けるため、他店と差別化を図りたく、メニュー開発に困っているカフェにおすすめだ。(税抜定価98万円)

ブラストチラー「ツインパティ」で熱々凍結されたナポリピッツァ

ツジ・キカイは石窯だけでなく、ブラストチラー「ツインパティ」も開発しており、「熱々凍結」をウリにしている。熱々凍結は、できたてのピッツァをすぐにブラストチラー&ショックフリーザーに入れて急速冷凍することだ。せっかくのピッツァを冷凍?という疑問が一瞬湧くが、食べてみるとその質の良さに驚きを隠せない。熱々凍結のナポリピッツァは、生地がよりカリッと肉厚に感じられ、トマトソースは凝縮されて、うまみが濃くなり、フライパンで焼いただけとは思えないほどの美味しさだ。コロナ禍で厳しい目にあったイタリアンレストランは、ピッツァの冷凍やテイクアウトに販路を見出した。お店の味を自宅でも、ということで、熱々凍結したピッツァは解凍後、フライパンで温めてすぐ食べられる。「ツインパティ」があれば、時間に余裕のある時に大量に作って冷凍できるため、スタッフの働き方改革にもなるという。宅配やテイクアウトをする余力がなくても、作り置きをしておいて、フライパンで温めるだけでこれほど高いレベルのピッツァが出せるというのは、人手不足の飲食店にとって有難いのでは。熱々凍結はナポリピッツァだけでなく、パンやデザート、お惣菜にも最適だ。

バリラの「ラザニエ」

イタリア料理といえばピザだけでなく、ラザニアというご馳走があるが、作るのに労力がかかるため、食べるのは好きでも自分で作りたい人はあまり多くないだろう。下茹で不要と書いてあっても、実際には硬くて食べられないようなラザニアも多い中、三菱食品が扱っているバリラの「ラザニエ」は、本当にゆで調理の必要がなく、厨房設備がないところでも作れるというから驚きだ。実際に会場では、ラザニアにミートソース、ホワイトソースを牛乳で溶いたものを層にして耐熱皿に載せていき、小さなオーブントースターで焼いたものが提供されていた。

バリラの「ラザニエ」はイベント内でも調理可能

普通のトースターで10分程焼いただけだが、下茹でしないと周囲が固すぎるラザニアとは違い、しっとりと柔らかく、とても食べやすい。さらりと作っただけで他人から尊敬されそうな「ラザニエ」は、イオンやOKストア、カルディなどで手に入る。上手に作るコツはしっかり隅々までソースを塗ることだそう。

IIACのイタリアエスプレッソティスティングコーナー

他にも会場にはイタリア料理の巨匠、落合務シェフによる絶品のワタリガニとカラスミのパスタの提供や、プロセッコはじめ数々のイタリアワイン、ジェラートにカンパリまで、数多くのイタリア料理が楽しめた。

落合シェフのワタリガニとカラスミのパスタ

その最後を締めくくるブースはもちろんエスプレッソ。国際カフェティスティング協会、IIACによるエスプレッソテイスティングコーナーでは、アンケートに答えるとイタリアの2種類の豆の飲み比べができる。イタリア北部、ピエモンテ地方の老舗のエスプレッソはわりと酸味がしっかりめ。砂糖を入れるとトロッとしてまろやかになり、上品な味わい。イタリア中部のトスカーナ地方のジョリー・カフェは北と南の中間的な味わいで、貴族的でエレガント、洗練された味わいだ。キャンティ・クラシコもフィレンツェの生産者が多いため、ワインもあか抜けて洗練された味わいになるというが、まさにトスカーナらしい優雅さがある。イタリアは南に行くほど味の濃い料理も多くなり、スパイスや苦味など、パンチの効いた味わいのエスプレッソが多くなるという。

ピエモンテ地方の老舗 サトルノのエスプレッソ

また、イリーのブースでもエスプレッソを味わうことができ、こちらではデカフェも扱っていた。デカフェとはいえ、味わい深くてコクがあり、まさに上質なエスプレッソだ。まだまだ日本ではデカフェの認知度は低く、注文する人も扱う店も少ないそうだが、ヨーロッパではデカフェはごく一般的で、扱わない店の方が例外的。夕方以降にコーヒーを飲みたくない人や、妊婦さんでも気軽に頼めるイリーのデカフェのエスプレッソ粉やカプセルは、アマゾンなどでも販売中。ちなみに現在、箱根の彫刻の森美術館では、イリーが誇る世界中のアーティストたちとのコラボ作品、イリーアートコレクションの記念イベントが開催されている。(2023年1月15日まで)

2017年のベネチアで展示されていたイリーアートコレクション

【問い合わせ先】
株式会社 ツジ・キカイ
埼玉県川越市芳野台1-103-11
TEL 049-225-5005
https://tsuji.co.jp

モンテ物産株式会社
東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル6階
TEL 03-5466-4510
https://www.montebussan.co.jp


三菱食品株式会社
東京都文京区小石川1-1-1 文京ガーデン ゲートタワー

国際カフェテイスティング協会 日本支部
TEL 03-5411-6619
http://coffeetasters.jp

キーコーヒー株式会社 イリー事業部
東京都港区西新橋2-34-4
TEL 03-5400-3687

By Miki IIDA

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