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最もクールなドイツワイン 2018 Germany’s Coolest Wines 

11月5日、ドイツワインの魅力を伝える「最もクールなドイツワイン」の発表会が開催された。「最もクールなドイツワイン」とは、昨年始まった、ドイツらしいデザインとストーリー性に優れた最新のワインセレクション。今年は385本の候補からワイン業界やファッション、クリエイティブ業界の審査員たちによって20本のワインが厳選された。味わいだけでなく見た目やコンセプトも重要で、ラベルの自由なデザインを見ただけでも伝統的なフランスワインとは随分違うのがよくわかる。選出されたワインの生産者の多くも若手だといい、ドイツワインの新しい動きを世界に伝えていくのにピッタリな取り組みだ。ドイツではフランスの生産者たちがこぞって訪れる世界最大のワイン・アルコール飲料の国際見本市、プロヴァインが開催されており、2018年のセレクションはそこでお披露目された。


ドイツワインといえば甘いリースリングというイメージついが浮かんでしまう。しかし、世界のリースリングの生産量の半分をドイツワインが占めるほどリースリングは大切な白ワインの品種であり「今回は甘くないドイツワインが多いということを知ってもらいたいんです」と夏にドイツを視察した、ホテルニューオータニ大阪、チーフソムリエの定兼弘さん。レストランでも食事にドイツワインはちょっと、と思われることもあるそうだが、実際にはキリッとした酸が特徴的で、すっきりした味わいのリースリングが多く存在する。また、ドイツではリースリングだけでなく、フランスで最もドイツ寄りの産地、アルザス地方でも生産されているピノ・グリ(グラウブルグンダー)やピノ・ブラン(ヴァイスブルグンダー)、ブルゴーニュで有名なピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)も生産されている。ドイツワインの面白みは素晴らしい質のワインが各地で生産されているのに、セレクトされた20本ですら平均価格が10〜15ユーロ前後と非常にリーズナブルということだ。「リースリングの最高峰のワインですら、ブルゴーニュの半分くらいの値段で手に入るんです」と定兼さん。国際的なブランド力が最高のブルゴーニュでは、品質がどうであれブランド力で販売することが可能なだけに、高額な値段のわりにイマイチという経験もあるだろう。それに対して、ブルゴーニュやシャンパーニュよりも北部に位置し、かつ丘陵地帯の多いドイツのワイン産地では、ぶどうはゆっくりと時間をかけて成熟し、繊細なアロマとフルーティさに富んでいる。それなのに値段がこの程度というのであればお得という他ないだろう。

今回テイスティングした中で特におすすめなのが、ベスト1に選ばれたというモーゼル産の「2015 Riesling trocken」だ。こちらはリンゴのような香りがあり、非常に爽やかで、すっきりサッパリした飲み心地。後味にほんのりとした甘みがを感じ、なんといっても飲みやすい。情熱あふれる若手の6人のメンバーによる「リースリング・カルテル」社のもので、囚人のようなラベルが斬新だ(8.9ユーロ)。また、赤ワイン、ピノ・ノワールの味わいも素晴らしい。ラインヘッセン産の「2015 Spätburgunder trocken FREUNDSCHAFTSSPIEL」は、ほんのりとスパイシーで、とてもやわらかく、いかにも優雅なピノ・ノワールというよりは、ドライな印象だが、その分だけどんな肉料理にも合いそうだ。「2015年のブルゴーニュを飲むと「ん?」という感じがするけれど、今ですでに美味しいというのがすごい」と定兼さん。若いピノ・ノワールにありがちなかたさが一切感じられず、すでにとても飲みやすい。記念日というよりは普段使いにしたいピノ・ノワールで、価格も14ユーロとお手頃だ。

ドイツワインって甘いんでしょ、というイメージが根強いために、高品質かつリーズナブルなドイツワインはまだまた日本市場に浸透していない。とはいえ今年はすでに日本への輸出金額が15%アップしたという。フランスワインは好きだけと高い、と悩んでいる方におすすめの、和食にもあう繊細な味わいのドイツワイン。いつもと違った買い物がしたいと思った時に、ワインショップでソムリエに尋ねてみてはどうだろう。

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