カフェ・ド・フロールの賞に関しては、独自の賞ができるまで、1994年まで待たなければなりません。現在でも知的な カフェとして位置づけられているこのカフェにとって、それは筋の通ったことだったのです。ジャック・プレヴェールや、ジャン・ポール・サルトルとシモー ヌ・ド・ボーヴォワールの神話的カップルは、室内の真ん中に設置された大きな石油ストーブの近くに暖をとりにきていました。今日でも、カフェ・ド・フロー ルでは毎週月曜日には英語の作品の朗読会が、月に一度、水曜日に英語の哲学カフェが開かれています。このカフェと同じ名をもつフロール賞が創設されたのは 94年のことでした。名誉会長のミロスラヴ・シルジェゴヴィク氏が幸運な受賞者の名を発表し、彼に6000ユーロの小切手を手渡した時、会場の興奮は頂点 に達しました。この時、受賞者には、100年たったフロールのテーブルでの上で、1年を通じて飲むことのできる、彼の名が刻まれたプイイ酒のグラスも渡さ れたのです。
1994年に創設されたフロール賞は、非常に異なる タイプの作家達に賞を与え、栄冠を戴かせました。この賞における選考基準は、独創性、自主性、若さと現代性です。受賞者は往々にして、はじめは一般に無名 の人物ですが、彼らはたちまち文学界や文化的シーンに身をおくことになり、以降大いに成功することになるのです。彼らの中には例えばミッシェル・ウェレ ベックのような人物がいます。