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イヴ・カンドゥボルド氏  ベアルヌ地方からパリへ Yves Camdeborde

イヴ・カンドゥボルド氏は、ピレネー・アトランチック地方の出身。未来のシェフが穏やかな少年時代を過したのは、ふるさとの味わいに満ちた家族の農場の中でした。早くも学校にうんざりしてしまった頑固者のイヴ・カンドゥボルド氏は、14歳の時に全てをやめることを決意。

 父親が見つけてくれたレストランでの修行中、彼は厳格さと規則正しさを身につけました。2年間の修行で、オムレツとタルトを完璧に作れるように。

 16歳の時からは、フランスの職人の腕を競い合うコンクールの出場者として推薦されています。17歳の時、彼はパリで一番美しい料理の世界に身を置きました。

 まずはじめに働くことになった「リッツ」で、迷える小さな田舎者だった彼に目をかけてくれたクリスチャン・コンスタンに出会います。4年間、クリスチャンは彼が成長するように見守り、彼に自分の知識を伝えていきました。魚料理で名高い「マレ」の後、イヴ・カンドゥボルドはソース専門のシェフとしての役割が用意されていた「トゥール・ダルジャン」に移ります。しかし、クリスチャン・コンスタンはすぐにイヴを彼のもとに呼び戻します。「ホテル・クリヨン」の状況が悪化していたのです。もう一度この店を立て直そうという彼らの冒険は4年間続くことになりました。

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 その後、イブ・カンドゥボルド氏は自分の店を持つことを決意。1992年の5月、26歳の時に、若きシェフは、「レガラード」というパリ14区にあるビストロを購入します。その頃起こっていた第一次湾岸戦争は、彼が今後発展させていくべき事業のスタイルを考えなおさせる機会になりました。高級料理はこの陰鬱な時期にあまり支持されなかったのです。

 彼はレストランの新しいコンセプトとして、「半・高級料理」「半・ビストロ」というのを打ち出しました。これはレストラン界における小さな革命でした。装飾もサービスも料理も、全てがシンプルになりました。そして本当に大事なものだけ、そう、質のいい料理を出すということだけを守ることにしたのです。雑誌や新聞の取材も制限されました。そんな態度を、大半の人たちははかない流行で終わるだろうと思っていました。でも予想は裏切られ、お店に来た人々の口コミによって評判は人から人へと伝わっていき、56席のこの店は、8ヶ月先まで予約がとれないということで知られるようになったのです。

 45歳にして大成功を収めた彼は、この店を売却することに決めました。妻、クローディーヌと娘とともに、彼らは新しく一目惚れできる店を探しに旅立つことにしたのです。彼らの目はオデオン通りの交差点で止まり、2004年から一家がこの店の跡を継ぐことになりました。そしてもちろんパリジャンたちも彼らのあとに続いて「カウンター」(店名の「コントワール」はカウンターという意味です)に並ぶことになったのです。

「コントワール」、イヴ・カンドゥボルド氏のビストロ

 偉大な料理人たちのそばで過した数年間で、彼は質の高い素材、それから顧客に対して敬意を払う姿勢を学びました。イヴ・カンドゥボルドは、美食の擁護者となり、2004年にサン=ジェルマン大通りの交差点にレストランを開いてからは、星付きのレストランの高級料理と、ブラッセリーの中間を目指した料理を提案。
これぞまさにグルメな人たちが求めていたものだったのです。彼は一人40ユーロ以下で、質の高いコース料理を提供しています。彼はこうしたスタイルをとることで、ここに来てくれたお客さんが舌鼓を打つ喜びに慣れ、好奇心を研ぎ澄まし、高級フランス料理へと続く道のりを提案することができたら、と考えています。

ランチ時には、旅行客や学生、通りすがりのビジネスマンなどがやってきます。サン=ジェルマン地区のエスプリに沿って、カフェ、ブラッセリーのメニューも用意されています。例えばスモークサーモンのクロックムッシュー、ニース風サラダ、豚足などです。どれもがとてもサン=ジェルマン・デ・プレのビストロの雰囲気に
合ったものです。

 ディナータイムには装飾ががらりと変わり、「コントワール」は美食レストランに変身。ランチタイムにあった22のテーブルは9つに減り、クリスタルのワイングラスがテーブルの上にきらめき、とても繊細な味のコースが1つだけ用意され、「コントワール」はディナータイムに入るのです。

ル・コントワール・デュ・ルレ Le Comptoir du Relais
住所:5 Carrefour de l’Odeon 75006 Paris
電話 01 44 27 07 97 メトロ Odeon
毎日正午から18時までノンストップ営業(土日は23時まで)

レストランは要予約、20時半から(土日を除く)

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