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ビストロ・パピヨン 高柳シェフ Bistro Papillon

ビストロ・パピヨンの日本人シェフ、高柳好孝さんは独特の雰囲気がある。柔らかな物腰、料理や自分について淡々と語る姿勢。そこから彼の情熱を読み取るのは難しい。だが彼の料理を口に含むとなるほど、と合点がいくようだ。研ぎすまされた感性、お皿に盛られた食材たちの見事な調和。何一つ無駄なところもやりすぎなところもない。「彼は完璧主義者。休みの日だって試作しに来る程ね」とオーナーのローランさん。

33歳の若きシェフは素晴らしい経歴の持ち主だ。2007年に渡仏し、ビストロ・パピヨンの料理長になる前は3つ星レストラン、ルドワイヤンにてヤニック・アレノ氏の下で副料理長として働いていた。ヤニック・アレノ氏とはそれ以前にもオテル・ムーリスで、その後はアラン・デュカス氏とも仕事をしていた。偉大なシェフと働いて何か感銘を受けたことは?という質問に対し、彼はさらりとこう言った。「グランシェフ達と働いて、正直そこまで感銘は受けなかったです。今まで色んなシェフと働いてきたけれど、すごい衝撃を誰かから受けたかというとそうでもありません。やはりいいところもあれば悪いところもあるんだとわかりました。」彼がそう言えるのもきっと類いまれな腕と感性を持ち合わせていたからだろう。料理との付き合いは今に始まったものではない。「料理は母の影響で、昔から好きでいつも手伝いをしていました。ただ高校は進学校だったので、大学に行くのが普通な環境だったんです。浪人した時にやはり自分の好きなことをした方がよいのではと思い、調理師学校に通うことに決めたんです。」

東京のフレンチで働いた後、ワーキングホリデーで渡仏。その後有名シェフの下で働き、2015年秋にはついに自分がシェフという立場になる。「シェフとして働くのはビストロ・パピヨンが初めてです。今まではグランシェフの下でその人の料理を作ることが仕事でしたが、これからは自分のスタイルが必要です。自分のスタイルをどんな風に編み出して行くのか、僕自身それが知りたいし探しています。まずは自分が一番食べたいものを作ろうと思っています。例えばお皿の中に要素を盛り込みすぎないもの。特にガルニチュール(付け合わせ)はただ今日この野菜があるから載っけてしまえ、ではなく、どうしてこの野菜を載せるかという意味が自分の中で定まったものを使おうと思っています。鴨は血の味がするので土臭いものと合うから、ベトラーヴのグラッセを合わせる、といった具合にです。」

ビストロ・パピヨンはビオ野菜やパリ近郊で栽培される野菜、信頼できる生産者の肉や新鮮な魚、ビオワインにヴァン・ナチュレルと食材に強いこだわりがある。新鮮で上質な素材を使ったシェフの料理はどれも非常に味わい深く、お皿の上のどのガルニチュールと合わせても見事な調和を保つよう計算されている。料理とワインの素晴らしいマリアージュのように、この店のメインとガルニチュールの組み合わせもうっとりするような幸福感が味わえる。「フランスの良さは自分の使いたいフレンチの材料が身近にあって何でも試せること」とシェフ。フランスの新鮮で味わい深い食材と、繊細な感覚と高度な技術の日本人シェフをかけ合わせるとどんな答えが導かれるのか。ブーダンやマグレ・ド・カナールのようなクラシックなメニューであってもここまで繊細で味わい深くなるものか、と驚きを隠せない。

Bistro Papillon ビストロ・パピヨン
住所:6, rue Papillon 75009 Paris
電話:01 47 70 90 03
メトロ;7番線 Cadet, Poissonière
営業時間 :月曜~金曜日 12時~14時 19時~22時
値段:平日ランチ メイン+前菜またはデザートで23€
コース 前菜+メイン または メイン+デザート28€、前菜+メイン+デザート36€

 

 

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