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サヴィのシェフと行く パリ郊外の卸売り市場 ランジス Marché du Rungis

ランジスは「パリの胃袋」と呼ばれる卸売市場。パリの中心部、レアルにあった卸売市場が1960年代後半にパリから南に10キロの場所に移転してできたヨーロッパ1の巨大な市場。最高の肉や魚、家禽類が揃っており、新鮮さと多様な品揃えを何より大切にしている。青果、魚介、肉、家禽類、チーズ部門と合わせて234ヘクタールあり、真夜中に大型トラックが行き交いクラクションを鳴らす姿はまるで1つの街のよう。ここでは1万2千人が働いており、市場の中にあるカフェはフランス国内でのエスプレッソの売上高1位を誇る。

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卸売業者だけでなく、個人でも入場可能だが、料金所での支払い方と市場での交渉法を知らないと買い物するのは難しい。というのも料金が常に明示されているわけではないからだ。レストラン業者はランジスの売り上げのうち30%を占めている。新鮮な旬の素材を扱うパリのビストロやレストランは皆この市場から仕入れるものだ。ここではフランスで最高の、もしくはヨーロッパいちの素材を見つけられるから。

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シャンゼリゼ近くにある、パリの名店「サヴィ」の主人兼料理長のリオネル・ドゥクランジュ氏は毎週火曜の5時にランジスに仕入れにやって来る。まずは臓物部門から。臓物部門の奥では仔牛や豚を解体しており、仔牛の頭からほほ肉、舌、脳みそから内臓に至るまで、全てが分解されて販売されている。臓物料理があるおかげでフランスの肉製品には捨てる部位がほとんどないのがよくわかる。リオネルさんは「ピエ・ド・コション」という料理に使う豚足や、ソースになる仔牛の足、それから仔牛の腎臓やレバーも購入。顧客に愛されている「テット・ド・ヴォー」用に仔牛の頭も購入する。

巨大でどこまでも続く冷蔵庫のようにキンキンに冷えた家禽類市場には、鶏だけでなく鳩、ウズラ、パテなどの肉製品も並んでいる。リオネルさんはジビエ愛好家としても知られており、自分で狩りもするという。家禽類、ジビエの市場ではモリバトを購入し、ジロル茸をとともにパテをつくる。リオネルさんはセップ茸やジロル茸などもキノコも愛する。9月末の青果市場には旬のキノコが盛りだくさん。ここではパティソンという平なカボチャと栗カボチャを購入し、栗とカボチャの味わいのスープに変身するだろう。ランジスには何からなにまで揃っているが、本当に良く知らないと上手に買い物するのは難しい。

 

※2014年の秋にエネルギッシュにランジスを案内してくださったサヴィのオーナーシェフ、リオネルさんは2015年1月に急逝されました。心よりご冥福をお祈りいたします。リオネルさん亡き後もサヴィは彼のエスプリを受け継いで営業しています。シャンゼリゼ訪問の際はぜひお立ち寄りください。

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