ロワール地方、ソミュールという街の中心地のすぐそばに、豪華なワイナリーが立ち並ぶ一画がある。その中でもひときわ目をひくアッカーマン社は、ロワール地方でのスパークリングワイン生産量第1位を誇っている。
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アッカーマン社のカーヴに行くと、会社と発泡性ワインの歴史が一目でわかるだけでなく、現代アートにも触れられる。いくつかワイン産地を巡った人でもこのカーヴは驚くこと請け合いだ。大抵のカーヴは地下にあり、天井も低く薄暗いのに、この巨大な白亜質のカーヴの中には教会を思わせるほど天井が高く、自然光の差し込む空間もある。「ソミュールは乗馬の訓練で有名で、ここで乗馬ショーを開催したんですよ。皆さん本当に大満足されてました」とプレス担当のヴァレリーさん。「アッカーマン氏がロワールで初めてシャンパーニュ方式のワインを造ったこともあり、当社はイノベーターとしての側面と、消費者に手が届きやすいことを常に心がけています。ワインもアートは当社にとっては切り離せないものであり、どちらも身近であってほしいんです。」そのため3年前からカーヴ内で、 »Voyage au Centre de la Bulle(泡の中の旅) »と題し、ワインやブドウ畑をイメージさせるアーティストのオリジナルな作品を展示している。スパークリングの泡やブドウの樹をイメージした作品にカラフルな光やモダンな音楽が合い重なり、とてもワイン貯蔵庫の中にいるとは思えない。伝統的なイメージの強いワインカーヴの中で、自由奔放なアートや光が交錯し、お祭り気分をかもし出す。こんな中で友人と共ににスパークリングが飲めたらさぞかし楽しいことだろう。ここではコンサートなど、様々なイベントも開催されており、年間3万5千人もが訪れる。五感を刺激し、驚きに満ちたカーヴ探索は現代アートの美術館よりおすすめだ。
イノベーターとして、かつ多くの人の手に届きやすいものという視点を大切にするアッカーマン社は新商品の開発にも力を注ぐ。まさにこのカーヴの中で飲みたくなる、祝祭的でモダンなスパークリング、「エクス・ノワール X Noir」はフランスでも話題。真っ黒で中身の見えないボトルにショッキングピンクのラベル。非常に美しい色をしたこのスパークリングのロゼワインは、ロワール地方で最も古くからあるブドウ品種、ピノ・ドニスを使用して、タンク内二次醗酵のシャルマ方式で生産している。酸味が強く、フルーティ、後味は少しスパイシー。賑やかで小洒落た集まりに合わせたい一本だ。(6,10€)
アッカーマン社はノンアルコールのスパークリングワインも手がける。お酒がダメな人や運転手、妊娠中や授乳中など、他の人達が楽しそうに泡の立つワインを飲むのに自分はジュースというのはちょっと切なくなるものだ。だが「アフィニティ Affinity」の口当たりは本当にワインのようでありながら、アルコールもカロリーもゼロ。香ばしく、ほんのりと甘さを感じ、口の中に心地よい泡が残る。シャンパーニュを思わせるパッケージングで、味わいも3種ある。パーティやレストランに数本あれば、飲めない人もスパークリング片手に華やかな気分が味わえる。「こちらはコーラやジュースの隣ではなく、是非ワインコーナーの中に置いてほしい大人向けの商品」と力説するヴァレリーさん。フランスより飲酒運転に厳しい日本でも是非おいてほしい一本だ。(7,9€)
最後にお勧めしたいのがアッカーマン社の意外な側面を見せる一本。赤ワインのシノン「レ・ボワール Les Boires 2011」はラベルもすっきりと伝統的なスタイル。注がれたワインは非常に香り高く、上質なワインの香りが鼻の奥まで漂ってくる。口当たりが非常に柔らかく軽やかで、繊細な料理と相性がいい。こちらはカベルネ・フラン100%で10~12ヶ月樽熟成。豚しゃぶのようなあっさりしたお肉料理や、シェーブルチーズとの相性抜群。ボルドーのような重たいワインはどうも、という時に是非試してもらいたい軽やかで上品な赤。(9,5€)
アッカーマン社のクレマンや伝統的な発泡性ワインのソーミュール・ムスーは大半がシュナン・ブランとシャルドネで造られている。日本にも輸出されており、フランスではスーパーでも見つけやすい。素晴らしいクレマンは並のシャンパーニュより味わい豊かで、値段も約半分。見つけたら是非手を伸ばしてみてほしい。
アッカーマン Ackerman
19, rue Léopold Palustre
CS 84002 ST HILAIRE ST FLORENT
49412 SAUMUR CEDEX.
02 41 53 03 21