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2017年ミシュランの星を獲得した日本人シェフ Chefs japonais étoilés

大宮シェフ

フレンチのシェフを志す日本人がパリでアシスタントという役割を抜け出してから長い月日が経過した。今日のパリには日本人シェフによるフランス料理店が20店程存在し、日本人シェフは1つのブームになっている。
2017年2月、ミシュランの新しい格付けが発表され、またしても日本人シェフの店が選ばれた。パリ5区、大宮敏孝シェフの「アリアンス」、16区、伊藤良明シェフの「ラルケスト」、そして2つ星を獲得したのは小林圭シェフのレストラン「KEI」だ。

 

長野出身の小林シェフは15歳の時、テレビでフランス人シェフに関する番組を観て、フランス料理界で働く事を志す。98年に渡仏した後、3つ星のアラン・デュカス・オ・プラザ・アテネなど、偉大なシェフのもとで働いてきた。2011年に自身の店「KEI」をパリ1区にオープンし、1年後には早速ミシュラン1つ星を獲得。代表的な料理に、食感を楽しむ野菜の庭や、スコットランド産スモークサーモン、クレソンのムース、レモンのエマルジョン、トマトのビネグレットとオリーブのクランブルなどがある。

小林シェフ

小林シェフは独特の風貌に加え、独立独歩の精神と素材重視の料理でパリでセンセーションを巻きおこした。彼は日本らしさも忘れることなく、伝統的なフランス料理に挑戦する。とはいえ彼は日本人シェフの一人として注目されるのは好まない。
「確かに私は日本人のシェフとはいえ、それ以前に小林圭です。今パリで流行している日本人シェフの流れの中に居たいとは思いません。日本出身なので多くの野菜や海産物を使用するとはいえ、私たちのメッセージは料理の中にあり、判断されるべきは料理そのもの。私はフランスの生活が気に入っています。フランスだけに法律や労働組合なのどのややこしさもありますが、バカンスもあり、パリとフランス料理があるのが魅力です。日本に居ながらフランス料理をするのは材料の点でも何かと難しいのです。パリでは世界中の人がフランス料理を食べにきてくれるのが本当に魅力だと思います。」

「日本人シェフ」として扱われたくないというのは現在のパリの日本人シェフブームに対する反応だろう。キャレ・デ・フイヤントのアラン・ドゥトゥニエ氏のように、このブームに対して苦言を呈するフランス人シェフもいる。彼曰く、最近では料理の腕はさておき、流行っているからという理由で日本人シェフを店に置くことがあるという。ドルトゥルニエ氏は、和食はそもそも生食を中心としたものであり、火をいれることに重点をおくフランス料理の伝統とは対極にあるのではと語る。

とはいえ今年は銀座の高級寿司店を思わせる日本人シェフ、花田氏による寿司屋「Sushi B」(パリ2区)がミシュランの星を獲得。パリのファーストフードとしての「スシ」や中国産の「日本酒」のようなまがいものではなく、本物の寿司や和食の良さがパリで徐々に認識されつつある中、日本人のシェフたちがどう活躍してくれるのか、この先がとても楽しみだ。

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